ライフスタイリスト小林朗子さんによるクローゼット/ウォークインクローゼットの賢い整理収納と運用術

MAJOR'S Column

2022年5月19日

最近の新築マンションは、収納に配慮したクローゼットやウォークインクローゼットが付いていて使いやすくなっています。しかし、まだまだ上手に使いこなせていないという声もあるようです。ライフスタイリストの小林朗子(あきこ)さんに、賢いクローゼット/ウォークインクローゼットの運用方法と整理収納をアドバイスしていただきました。

クローゼット/ウォークインクローゼットのメリット・デメリット


一般的なクローゼットやウォークインクローゼット(コの字型やL字型)の他に、
最近は出入口が2カ所あるウォークスルークローゼットもあります。

小林さん一般的なクローゼットやウォークインクローゼットには、以下のようなメリット/デメリットがあります。デメリットを知り、メリットを活かす収納を心がけるとよいですね。

メリット
・衣類を一箇所に集約できるため、持っているものが把握しやすい=無駄に買い物をしない・「あれどこいったかな?」がなくなる
・コーディネートや衣類の管理が容易=「何を着ていこうかな?」という、迷う時間が減る
・衣替えが簡単=時間が短縮できる
・洗濯物を片付ける場所が集約できる=家の中を行ったり来たりせずに済む
デメリット
・ルールや定位置を無視して何でも突っ込みがち
・整理が出来ていないと、物が探し出せない
・クローゼットは奥行きが浅いため、衣類の収納には向いているが、布団などの収納には向かない

小林さん以前の記事でも「モノの定位置決め」をアドバイスしましたが、クローゼット/ウォークインクローゼットでも同様に、アイテム毎の洋服の定位置を決めることから始めると良いと思います。次に、その前にやっておきたい整理収納についてお話します。

整理と収納は違う


たっぷり収納スペースがあるからと、無計画に何でも放り込むと
収拾がつかなくなってしまうこともあります。

小林さんよく「整理収納」と言いますが、この2つは異なるものです。「整理をしてから収納する」のが基本。この順番を間違えると、結局物が溢れて収納できないことになります。整理で大事なのは、「手放すこと」ではなく、「なぜ手放さなくてはいけないのか?という理由」です。これは、チェック項目を定めて整理します。「整理収納」のうち、「整理には7〜8割」の時間を費やすほど重要です。
以下に洋服を整理する時に必要な基本のチェック項目と手順をまとめました。引っ越しして新しいクローゼット/ウォークインクローゼットに洋服を入れる前に、ぜひこの整理作業をしてから収納してください。「整理」で大事なことは、「すべてを把握すること=全部出すこと」です。

洋服の整理方法
【チェック項目】

□ 柄が好みでなくて、着ない・履かない

□ 傷んでいる、変色している

□ サイズが合わない

□ 似たような服が多い

□ 組み合わせ(コーディネート)ができない

【手順】

1. すべての服をグループ分けしながら出す(Tシャツ、ロングTシャツ、セーター、ニットなどなど、細かく仕分けしながら出す)

2. 上記チェック項目に合致する服を調べ、該当する服を抜いていく
 (他にも必要に応じて、チェック項目は追加)

3. 洋服の種類別(トップス/ボトムスなど)にグループ分けして収納する

※明らかに着ない服は、処分する
※「着なかった」理由を忘れないように、シーズンの終わり・次の衣替えをする前にこの整理作業を行うとよい

小林さん2の作業中に「今使っている」と自分で判断した物が、「本当に今使っている物」なのか、きちんと仕分け出来ているか、再度見きわめてください。それとは別に、「本当に大切な物」は間違っても手放さないようにしましょう。
「多すぎる」と判断できるのは、よく目にして自分で気付いているからです。家の中にはもっと「気付いていない」物がたくさんあります。だからこそ、すべての服をグループ分けして出すのが効果的なのです。

衣替えの必要がないクローゼット/ウォークインクローゼット運用術


オールシーズン対応のクローゼット/ウォークインクローゼット運用術は
シーズン別→アイテム別の順番で、洋服の定位置を決めて吊します。

小林さん先ほど申し上げたように、クローゼット/ウォークインクローゼットのメリットは、一箇所にまとまっていて、どんな洋服があるのか一目でわかることです。広めのクローゼット/ウォークインクローゼットなら、衣替えをしなくて済むように、大まかに2シーズン別(春・夏物/秋・冬物)・アイテム別(コート・トップス・ボトムスなど)に定位置を決めて分けて吊します。アイテムはその人によって好みが異なると思います。
たとえば私はシャツが多いので、シャツだけで並べて吊してあると、どんなデザイン・色があるのか一目瞭然で分かり、コーディネートもしやすいです。持っている洋服が把握できていると、余計な物を買わなくなります。また、洗濯した洋服は必ず定位置に戻すというルールにすると、家事動線も効率化できます。


シーズンオンは上の段の引き出し、シーズンオフは下の段の引き出し、真ん中は中間服。

小林さん畳んで収納するカットソーやニット、Tシャツ、トレーニングウェアなどは、各シーズン分を引き出しとカゴにまとめています。衣替えは、引き出しの位置を上下入れ替えるだけです。
ただシーズンオフとオンの収納方法の違いは、ひとつ。洋服の畳み方を変えることです。


シーズンオンの洋服は、輪になる部分(山の部分)を上にして、立てて収納します。

小林さんシーズンオンの洋服は、引き出しのサイズに合わせて、洋服の中心が山になるように、四角く畳みます。輪になる部分(山の部分)を上にして自立して収納すれば、取り出しやすく使いやすいですよ。


シーズンオフの洋服は、平らに畳んで、シワが少なくなるように収めます。
シーズンの終わりに洗濯を終えたら、こうして収納しておくとよいですね。

完成で安心しない!その後の運用と改善が大事


ショップのようにきれいに収納できたからといって、ここで完成ではありません。

——他に注意する点はありますか?

小林さんきれいに整理・収納できたら、「これで完成!」と思いがちですが、実はその後の運用が大切です。洗濯後にまとめてクローゼット/ウォークインクローゼットへ行きやすい家事動線が考えられていないと、クローゼット/ウォークインクローゼット以外の場所に洋服溜まりが生まれます。また、収まり切らないと、迷子になる洋服が増えます。所有する洋服は、収まるだけの分と決めることも大切です。整理収納を完成させても、なぜか洋服が片付かない場合には、必ず原因があります。その都度、臨機応変に改善しながらうまく運用してください。クローゼット/ウォークインクローゼットに洋服がたくさん入っていることで「満足感」を得てしまう方もいらっしゃいますが、本当に必要な洋服を持ち、コーディネートで新しい発見があると、もっと毎日の洋服選びが楽しくなるはずです。
クローゼット/ウォークインクローゼットの整理収納ができれば、時間を上手に使ったり、すっきりして気持ちが楽になったり、無駄づかいがなくなったり、暮らしにとってプラスとなります。


使いやすくなるように、臨機応変に運用していくのがベスト。

「クローゼット/ウォークインクローゼットの整理収納に完成はない・常に運用しながら改善する」というアドバイスには「なるほど!」と頷けます。新築マンション探しの参考になさってください。

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ライフスタイリスト・整理収納アドバイザー 小林朗子(あきこ)さん

整理収納アドバイザー、宅地建物取引士。不動産仲介、リフォーム業界、社会人修士として整理収納研究課程を修了、整理収納コンサルティングや執筆、セミナーをベースに、暮らしに携わる活動を行っている。監修『ひとり暮らしで知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)。
ブログTIDY LIFE DIARY ※外部サイト

記事監修:小林朗子

取材内容は2022年5月19日現在のもので変更になる可能性があります

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