野村不動産「プラウド神田駿河台」にみる国産木構造部材利用への挑戦を担当者に聞く

2020年に竣工した「プラウド神田駿河台」は、日本初※1の木造ハイブリッド高層分譲マンションです。国産の木質構造部材を使用した本物件は、「2021年度グッドデザイン賞」「グッドデザイン・ベスト100」に選出され、高い評価を得ました。今回は、野村不動産株式会社のサステナビリティへの取り組みについて、担当者にお話を伺いました。

日本初※1の木造ハイブリッド高層分譲マンション「プラウド神田駿河台」の挑戦


2021年1月に竣工した14階建て・総戸数36戸の「プラウド神田駿河台」(販売終了)。
日本初※1の木造ハイブリッド高層分譲マンションとして注目を浴びました。

野村不動産住宅事業本部 商品戦略部 次長 吉田 安広さんにお話を伺いました。

——木造ハイブリッド高層分譲マンションとはどのようなものでしょう?「マンションが木造なの?」と勘違いしそうですね。

吉田さん木材をそのままマンションの柱に使用するのではありません。鹿児島県産のスギや山梨県産のアカマツなどをパネル加工した上で、建物を構成する柱・壁などの主要構造部材に使用しています。これは、日本国内の高層分譲マンションでは初めての採用となります。


中層階(2~11階)には、単板積層材(LVL※2)と鉄筋コンクリート造耐震壁を組み合わせた
「LVLハイブリッド耐震壁」、高層階(12~14階)には、直交集成板(CLT※3)を用いた
「CLT耐震壁」および耐火集成材「燃エンウッド®」を使用しています。

吉田さん「プラウド神田駿河台」の住戸やエントランスホールでは、木質構造を一部露出し、国産木材の内装材と合わせてインテリアデザインを行い、木のぬくもりを感じる演出を行いました。林野庁の「科学的データによる木材・木造建築物のQ&A」でも、内装や外装に木材を使うことが、心理面や生理面によい影響を及ぼすことが紹介されています。販売担当からも、木のぬくもりを感じる内装がお客様に好評だったと聞いています。


「プラウド神田駿河台」モデルルームの様子。

「プラウド神田駿河台」建設中の風景。

「グッドデザイン・ベスト100」に選出!


「グッドデザイン・ベスト100」を受賞した「プラウド神田駿河台」。

「プラウド神田駿河台」は、高層・木造ハイブリッドに果敢に挑戦したコンセプトが評価され、「2021年度グッドデザイン賞」を受賞。さらに受賞作品中、特に高い評価を得た100件に贈られる「グッドデザイン・ベスト100」にも選出されました。

グッドデザイン・ベスト100 集合住宅 [プラウド神田駿河台]


「プラウド神田駿河台」室内写真。
目の前の緑と、室内の木のあたたかみが相まって、
都心にありながら、自然のぬくもりを感じる部屋に仕上がっています。

吉田さん「プラウド神田駿河台」は、大きなコーナーサッシによって内装の木を外部に表出させました。外装には木彫タイルなどを使用しながら、外観からも木の雰囲気が感じられるように意識してデザインした点を評価いただいたようです。現在では、神田駿河台のランドマーク的マンションとなっており、関わった私達も嬉しい限りです。


木のぬくもりを感じる「プラウド神田駿河台」エントランスホール。
構造部材で採用したLVLの積層面による壁画デザインが用いられています。

国産木材の使用で森林サイクルを活性化


日本の森林の面積は、国土面積の約3分の2に相当し、
その約6割が「人工林(人の手により植栽されたスギヤヒノキなどの森林)」です。
しかし成長した人工林は、国内木材需要量の約3割程度に留まっています。

——ハイブリッドとはいえ、マンションに国産木材を使うのはコスト的にも工程的にも課題が多いと聞きます。あえて国産木材を使用したのは何故ですか?

吉田さん野村不動産グループでは持続可能な街づくりを目指して、脱炭素・循環型社会に向けた不動産開発を行っています。高層分譲集合住宅において、これまで実現し得なかった構造部材への木材利用を推進していくことで、森林資源の活用とCO2の削減、またお住まいになる方への健康増進にも寄与し、持続可能な社会づくりに貢献できると考えました。


木は、成長する段階でより多くのCO2を吸収し、酸素を放出します。
しかし成熟するにつれてCO2の吸収量は減っていきます。
成熟した木を切って若い苗木を植えることで、
森の新陳代謝を促す「森林サイクル」ができあがり、
山林の活力を取り戻すことができます。

吉田さんこれまでは輸入木材を使うことが多かったのですが、私達が積極的に国産木材の利用を推進することで、日本の山林の「健康な森のサイクル」を回すことができます。「健康な森のサイクル」ができあがれば、CO2削減や土砂崩れなどの自然災害抑制にも役立ちます。「プラウド神田駿河台」のプロジェクトは、こうしたサステナビリティへの取り組みの一環でもありました。


「プラウドシティ伊丹」(写真左)と「プラウドシティ吉祥寺」の木造共用棟。

吉田さんこれまでにも野村不動産では、プラウドを初めとした大規模マンションの共用棟を木造にする試みを行ってきました。今後は、マンションの共用棟を始め、共有ラウンジ、エントランスホールなどに国産木材を取り入れていき、実績を積んでいきたいと考えています。

集合住宅での省エネルギー実現を目指して


持続可能な社会づくりへの貢献を目指して。

——分譲マンションへの国産木材の積極的使用以外に、マンションでSDGsの取り組みを計画されていますか?

吉田さんすでにプラウドシリーズで採用している「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」もそうですね。これは、断熱性能を高め、高効率設備の導入によって、マンション全体でのエネルギー消費量を減らす取り組みです。
さらに、マンションに取り付けた太陽光パネルで蓄電した電気を、日常的に使えるようになれば、災害時に蓄電池でエレベーターを使えるなど、防災効果を高めることもできるでしょうね。


吉田さんの胸元のSDGsバッジは、なんと木製でした!

吉田さんまたEV(電気自動車)の普及推進を考えると、これからの新築分譲マンションには、再生可能エネルギーを使ったEV充電設備を増やしていくことが必須でしょう。野村不動産が開発している相模原市で2025年に竣工予定の大型タワーマンションには、駐車場全ての区画にEV充電設備を設置予定です。今後も当社は、持続可能な社会づくりへの貢献を目指して、さまざまな取り組みを行っていきます。


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野村不動産の代名詞ともいえるマンションブランドが『プラウド』です。お客様に「世界一の時間」と思える時を過ごしていただけるよう、「豊かな暮らし」と「安心の住まい」を実現するため、グループを通じた、製造・販売・管理の一貫体制を守りつづけてきました。2002年にシリーズ第1号を発表後、首都圏・関西圏を中心に展開。着工から竣工まで数百の項目を専門のスタッフがチェックし、さらに多くの検査を行うことで住まいの品質維持に取り組んでいます。また、竣工後のアフターサービスも野村不動産自らが責任を持って行う体制をとり、入居後は「野村不動産グループカスタマークラブ」などにより多面的にお客様をサポートしています。

記事監修:野村不動産株式会社

※1 CLT協会調べ(住宅棟において10階を超える木造ハイブリッドの新築分譲マンション実績はなし 2020年1月時点)
※2 LVL・・・Laminated Veneer Lumberの略。原木をかつら剥きの要領で切削して厚さ2~4mmの単板にし、繊維方向を平行にして積層・接着して作られる木質パネル。
※3 CLT・・・Cross Laminated Timberの略。1995年頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい構造材で、板の層を各層で互いに直交するように積層接着した木質パネル。

取材内容は2022年2月7日現在のもので変更になる可能性があります

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