マンションで手軽にコンポストを始めよう!こすぎこんぽすと部

MAJOR'S Column

2024年2月20日

家庭から出る生ごみを、微生物の働きで発酵・分解して堆肥を作るコンポストをご存じですか?コンポストは、生ごみを無駄なく活用でき、堆肥はベランダガーデニングの植物や野菜作りに活用して、循環する暮らしを実現します。食循環となるコンポスト活動を、神奈川県川崎市内で広めている「こすぎこんぽすと部」のメンバーの皆さんに、マンションのベランダで簡単にできる、バッグ型の「LFCコンポスト」の使用方法を紹介いただきました。

●コンポストってどんなもの?


「こすぎこんぽすと部」は、神奈川県川崎市内のイベントなどで
コンポスト体験と親子で楽しめるワークショップを行っています。
写真は、「こすぎこんぽすと部」のみきさん、ちさとさん。

——「こすぎこんぽすと部」の活動はいつから行っていらっしゃいますか?

みきさん「こすぎこんぽすと部」は、2022年から、私、ちさとさん、あつこさんの3人で活動を開始しました。主に川崎市内のイベントなどで、コンポスト体験と親子で楽しめるワークショップを行っています。私達3人が住む神奈川県川崎市中原区を中心に、コンポストを通じた食循環の輪や人と人のつながりを育むために、出来ることを少しずつ進めています。

あつこさん3人ともそれぞれ、以前から自分でもコンポストをやっていて関心がありました。令和3年度に環境省に採択された「eco-wa-ring Kawasaki(エコワリング川崎)プロジェクト」という、川崎市、企業、農園、地域住民がつながって共創する食資源循環・フードサイクルプログラムを通じて、3人が出会いました。川崎市は、昔から生ごみの堆肥化を行うコンポスト容器や機器の利用を推進していて、購入費用の一部を助成してきました。他の自治体でもコンポスト機器の購入費助成金が設けられている場合がありますので、興味がある方はお住まいの自治体に問い合わせてみてください。


なんと固いカニ殻も、微生物が分解して堆肥にしてくれるそう。

みきさん川崎市内には実は農家さんが多く、生ごみ堆肥の受け入れ場所もあります。家庭の生ごみが栄養ある堆肥になって、それが地元の野菜作りに役立つこともあります。「こすぎこんぽすと部」では、コンポストの使い方だけでなく、生ごみ堆肥の受け入れ場所や生ごみ堆肥を使ってくれる農園さんを紹介することも行っています。

忙しい人も続けやすい、バッグ型「LFCコンポスト」


「LFCコンポスト」(ローカルフードサイクリング株式会社)の専用バッグ(写真)には、
1日約400gの生ごみを1.5ヶ月〜2ヶ月投入できます。
各家庭で排出される生ごみの量は、家族の人数や1日の食事の量によって変わってきます。
写真手前の生ごみは、約100g目安です。

みきさん・ちさとさんは、ローカルフードサイクリング株式会社が製造販売する「LFCコンポスト」の公認アドバイザー認定資格を取得後、川崎地域で講座を通じてLFCコンポストの普及を行っています。あつこさんは公認アンバサダーとして、自身の体験をご友人やお友達に伝えています。

※「LFCコンポスト」については、LFCコンポスト公式ページをご参照ください。

ちさとさんコンポスト機器は、大がかりなものからコンパクトなものまでさまざまな種類があります。私達は、マンションなどの都市型住宅のベランダでも気軽に出来る「LFCコンポスト」をオススメしています。
「LFCコンポストセット」は、トートーバッグ型のコロンとしたファスナー付きの専用バッグの中に、生ごみの分解を速める独自配合の「コンポスト基材」を入れます。そこに1日約400gの生ごみを1.5ヶ月~2か月間投入することができ、その後2、3週間ほどで栄養価の高い堆肥へと変わります。


専用バッグの中で堆肥ができるってなんだか愛らしいですね。

みきさんのお住まいのベランダガーデニング。
「バッグを開けると微生物の働きでホカホカしていることもしばしば!
コンポストがペットみたいに愛しく感じます(笑)」

みきさん生ごみを入れて、その都度混ぜることで堆肥ができるので、初心者の方にもハードルが低いと思います。LFCの専用バッグは、ベランダに置いてあってもお洒落です。私は、毎日の料理のお片付けの時に生ごみをまとめて入れて混ぜるようにしています。

「LFCコンポスト」の使い方


では、実際にみきさんがご利用の「LFCコンポスト」を見せていただきましょう。
「LFCコンポスト」専用バッグに
「コンポスト基材(生ごみと混ぜ合わせる原料)」を入れます。

生ごみは、なるべく小さめの一口大にカットしておくと分解が速く進みます。
1回の投入量は、1日約400gが目安です。
コンポストに入れていいものは、食べられるものならたいてい大丈夫。
詳細は、LFCコンポスト公式ページを参照ください。

中央に生ごみを入れて、「コンポスト基材」と一緒に軽くかき混ぜます。

生ごみを入れ終えたら、外から虫が入らないように
専用バッグのチャックをしっかり閉めます。
「LFCコンポスト」は、網かごなどの上に載せて
雨が当たらず風通しがいい場所(ベランダ)に置いておきます。

みきさん生ごみ投入とかき混ぜる作業を繰り返した後、生ごみ投入は一旦ストップして熟成期間に入ります。3週間ほど堆肥の乾燥度合いに応じて水を追加して混ぜれば、堆肥の完成です。

【LFCコンポストに入れていいもの】

傷んだもの/腐ったもの、カビたもの/シンクの排水溝の生ごみ/果物・野菜くず、調理くず/種(アボガドは切って投入、カボチャは加熱して投入)/卵の殻/肉・魚類(骨・内臓もOK)/調理済み食品、食べ残し/廃油(週に1回100~200㏄)/コーヒーがら、お茶がら

【LFCコンポストに入れない方がいいもの】

貝殻/栗の皮/タケノコ、トウモロコシの皮/塩分が多い調味料(日々口に入る程度の量であればOK)/生ごみ以外のもの/雑草、生花

(情報提供:LFCコンポスト)

※詳細は、LFCコンポスト公式ページを参照ください。

——コンポストで気になるのはニオイなのですが、その点はいかがですか?

ちさとさんイベント会場では、私が日々使用している「LFCコンポスト」をお持ちしてニオイを確認していただいたりもしています。皆さん「ほとんどニオイがしないんですね」と驚かれます。分解中にニオイがする場合には、しっかり酸素が行き渡るようにかき混ぜると数日で収まります。チャックをしっかり閉めることで、ニオイが余り気にならないのもLFCコンポストの利点です。

——もう一つ、コンポストに虫がついたらどうしたらよいでしょう?

みきさんLFCコンポストは虫が入りにくい工夫がされているので、それほど心配いただく必要はないかと思います。また、コンポストに発生することのあるアメリカミズアブは、人を刺すことはなく、生ごみの分解を促進して良い堆肥を作ってくれる、分解のパートナーにもなりえます。
「LFCコンポスト」の利用でわからないことがある方は、LFCコンポストのLINEホットラインや、川崎市周辺にお住いの方は私達「こすぎこんぽすと部」のInstagramでイベントなどについても発信していますので、ぜひご相談ください。
LFCコンポスト公式ページ
こすぎこんぽすと部

——コンポストをやっていて良かった点は何ですか?

あつこさんコンポストを始めてから、燃えるごみを出す量が圧倒的に減りましたね。以前は生ごみのニオイが気になって頻繁にごみ出しすることが多かったのですが、生ごみがコンポストで循環してなくなると、4人家族でも燃えるごみに出す量は本当に少なくなりました。

みきさん燃えるごみが減ったので、逆にプラスティックのごみの多さが気になるようになってきましたね。私は農家さんに専用バッグのまま堆肥を運んでいくんですが、帰りは空になったバッグにそのまま、とれたての大根などを買って帰ってきて、なるべくプラごみが出ないように気をつけています。

堆肥は、ベランダガーデニングの野菜作りや植物に活用


みきさんのベランダ菜園からの収穫野菜。
「季節によって異なりますが、今は川崎の伝統野菜のらぼう菜、
春菊、ケール、ベビーリーフなどを育てています。
ケールはスムージーにして飲むのが日課です」

あつこさんは、冬はにんにくを育てているそう。
「面倒くさがり屋なので、放ったらかしでも元気に育ってくれる野菜がいいですね。
夏はトマトなどの夏野菜、冬はにんにくに行き着きました。
よく育つし、買うより安くて重宝しています」

ちさとさんの収穫。
「紫水菜、春菊、のらぼう菜などの葉物を育てています。
ベランダで収穫してキッチンに直行できるのがいいですね」

——「こすぎこんぽすと部」は、今後どのような活動をしていきたいですか?

みきさん微生物が生ごみを分解してくれる働きに感動して楽しいから始めたコンポスト活動でしたが、堆肥を通じて食循環を伝えていくことで、仲間が少しずつ増えて広がりが生まれてきました。
今迄は仕事とマンションの行き来だけの場だった地元の街で、コンポスト活動を通じて人のつながりができて、白黒に見えていた街からカラフルな彩りと温もりのある街に変わってきた気がします。コンポストのコミュニティ活動が、住んでいて良かったと実感できる喜びをもたらしてくれたのだと思います。これからも、食循環の想いに賛同してくれる仲間とつながって、コンポスト活動を広げていきたいですね。


新築マンションではディスポーザー付き設備もありますが、あえて生ごみから栄養のある堆肥を作りたいというエコ発想な方も増えつつあります。新しいマンションでは、コンポストによる家庭菜園や堆肥作りを通じて地域コミュニティとつながっていくのも素敵ですね。

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こすぎこんぽすと部

2022年初夏発足。任意団体めぐるまちが運営する「こすぎこんぽすと部」は、地域の食循環や人と人とのつながりを広げていくことを目的に、主に神奈川県川崎市中原区・幸区で活動している。コンポスト講座の開催、地元農家と協働してのマルシェ開催、イベント出店などで、コンポストの魅力を紹介。こすぎこんぽすと部メンバー間のLINEグループで、コンポストや堆肥活用の情報交換などを実施している。インスタグラムで活動紹介中。
@kosugi_compost

LFCコンポスト(ローカルフードサイクリング株式会社)

コンポスト研究の長年の実績を活かし、ベランダで家庭の生ごみを減らして、美味しい野菜のための堆肥を作れる「LFCコンポスト」を開発および普及活動を行っている。半径2km圏内での、たのしく安心安全な食の循環を目指す。
LFCコンポスト公式ページ

記事監修:こすぎこんぽすと部
取材協力:LFCコンポスト(ローカルフードサイクリング株式会社)

取材内容は2024年2月20日現在のもので変更になる可能性があります

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