マンションのシューズインクローゼットとトランクルームを有効に活用する方法—整理収納アドバイザーの野中幸子さん

MAJOR'S Column

2023年10月17日

マンションの収納スペース活用アドバイスシリーズとして、前回のウォークインクローゼット(WIC)収納法に続いて、今回はマンションのシューズインクローゼット(SIC)やトランクルームの収納方法や使い方についてご紹介します。整理収納アドバイザーの野中幸子さんにお話を伺いました。

マンションの戸内収納と戸外収納の考え方

最近の新築マンションには、さまざまな収納スペースが付帯しています。専有部住戸内の各種収納スペースはもちろん、住戸外の共用部に設置された居住者用トランクルームなどがあると、さらにさまざまなモノが収納できます。
ただ、マンションへ引っ越した方に聞いてみると、広い収納スペースがあっても、引っ越し時の荷物を段ボールのまま、ウォークインクローゼットやトランクルームに放り込んだまま何年も放置しているという声もちらほら。せっかくある収納スペース、うまく効率的に活用したいものですね。

——最近の新築マンションの収納スペースを、上記の表に分類してみました。収納スペースによって、どのように物を収めたらいいのか、注意点などありますか?

野中さんお部屋の中にある戸内収納は、それぞれの目的に応じて前回の記事のように「3分割収納法」で、奥行と高さを意識していただければよいかと思います。お部屋の外にある戸外収納のトランクルームなどは、住戸内とは環境が異なるため、掃除しやすい素材や多少汚れても大丈夫なモノを収納するとよいと思います。


こちらはウォークインクローゼットの収納を平面で考えた「3分割収納法」ですが、使用頻度による置き場所の決め方はシューズインクローゼットやトランクルームにも応用できます。

野中さんどの収納スペースでも共通しますが、ほこりが溜まったり物が汚れたり乱れたりすると、物の扱いが雑になる→散らかりやすくなる→掃除がしにくくなる→さらに物が乱れる・汚れる→クローゼットに入りたくなくなる→物を放置しやすくなる。というような心理的な負の連鎖が生まれて、せっかくの収納スペースが、ただ物とほこりを溜め込む場になりかねません。その人に合った手入れしやすい収納法で整理するようにしましょう。次に、シューズインクローゼットやトランクルームでよくある困りごとと解決方法をご紹介します。

シューズインクローゼットの困りごとと解決方法


シューズインクローゼット(SIC)の間取り例。玄関入ってすぐに、扉のあるクローズドタイプの収納スペースとなっています。
(間取り掲載元:ブランズ千代田富士見 Dタイプ間取り)

→ブランズ千代田富士見

野中さんシューズインクローゼットは、ウォークインクローゼットのように中に入って物を取り出しできる収納スペースです。靴や傘、ベビーカー、ショッピングキャリー などのお出かけ用品をまとめて収納できる一方で、小さな物から大きな物まで、収納する物のサイズもさまざまなため、見た目も散らかった印象になりやすくなります。お出かけ時に使う物は靴以外でも細かな物が多いので、なんとなく何でも置いていってしまうと乱雑になりがちな点も問題です。


シューズインクローゼット内には、可動式の棚が付いていることが多く、靴の見える収納にはぴったり。

野中さんシューズインクローゼットも「3分割収納法」の考え方で、手前(頻度が高い物)/奥(頻度が低い物)、下段/中段/上段に、使う場面や使用頻度で分けて配置します。収納ケースを置く場合は、使う場面や物の種類ごとに収納ケースにまとめ、収納ケースも色・素材を揃えるだけで、全棚・全空間が最大限活かせ見た目も違和感なく使用することができます。
またウォークインクローゼットと同様に、人が中に出入りすることを考えて、人が歩くスペースの60cmはきちんと確保できるように収納を考えましょう。

トランクルームの困りごとと活用方法


トランクルームの間取り例。
上記のように、玄関の外の共用廊下に隣接して専用トランクルームがあるタイプの他、共用部分や別棟などにトランクルームを集約しているタイプなどがあります。
(間取り掲載元:パークホームズLalas名古屋みなとアクルス ガーデンスクエア A-90HDタイプ間取り)

→パークホームズLalas名古屋みなとアクルス ガーデンスクエア

野中さん住戸外のトランクルームは、うまく活用すれば便利な一方で、一旦部屋の外に出ないといけないため、不要な物のたまり場になりやすいのが問題点です。また住戸内より使用頻度が低くなるため、何を収納したのか忘れやすいということもあります。デイリーのストック品を入れたまま、忘れてしまって同じ物を買ってしまう、ということもよく起こりそうです。


マンションの共用部分にまとめたトランクルームもあります。住戸から離れるほど、使用頻度は低くなりがちなのが問題点。

野中さんトランクルームは、可動式の棚板などもなく、ガランとした空間が提供されているだけということが多いようです。まず空間と共に、(物や棚を搬入するための間口の確認として)扉の計測を行って、収納する物に合わせた棚などの収納用品を考えましょう。
トランクルームも、奥まで歩くスペースを確保しつつ「3分割収納法」の考え方で、手前(頻度が高い物)/奥(頻度が低い物)、下段/中段/上段に、使う場面や使用頻度で分けて配置します。棚を用いて、物の上に物を直に置かないようにして(取り出しにくくなるため)、縦空間も有効に活用しましょう。

野中さん上記にトランクルーム収納に適した物を挙げてみました。戸外にあるため、大きな物や使用頻度の低い物を収めておくのが最適だと思います。注意したいのは、共有部分に設置してあるとはいえ、空調設備の整った戸内とは気温や室温が異なるということ。基本的には外部環境と同じだと考えると、衣類や食品の収納にはおすすめできません。

収納スペースの有効活用方法とは?


きれいに箱に収めた物も、使わないままで死蔵品になっている可能性があります。

野中さんマンションには多様な収納スペースが付帯していて、賢く活用すればこれほどよいものはありません。ただ、収納の基本に立ち返って考えていただきたいのは、物をたくさん収納することが本来の目的ではないということ。必要なものが、衛生的かつ出し入れしやすい状態で収納できているかどうかが重要です。持っている物を把握して、必要な時に使える状態にできるように計画して、収納スペースの有効活用を心がけてください。


シューズインクローゼットもトランクルームもマンションの人気設備のひとつです。有効活用できるように、収納計画を考えたいものですね。人気設備のある新築マンション探しに、MAJOR7をご活用ください。

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整理収納アドバイザー 野中幸子さん

整理収納片づけを通してこころを育む「ここはぐおかたづけ」代表。物は価値観や人生の歴史が詰まった持ち主そのものという思いのもと。物を通して住む環境だけでなく心と思考のくせを丁寧に共に見つめていく対話を大切に活動中。片づけを通して、その人の「らしさ」である「好きと得意」を生かし、心地よく生きるための住環境づくりを。大人だけでなく小学生向けにも片づけレッスンをしています。整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士、発達支援教育士、親・子の片づけインストラクター1級、企業内整理収納マネージャー。

→ここはぐおかたづけ公式HP

→ここはぐおかたづけインスタグラム

記事監修:野中幸子

取材内容は2023年10月17日現在のもので変更になる可能性があります

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