マンションのウォークインクローゼットを最大限に活用するアイデア—整理収納アドバイザー野中幸子さん

MAJOR'S Column

2023年9月19日

マンションの収納で人気のウォークインクローゼット(WIC)。「うまく使いこなせていない」「どう整理するのが効率的?」という声もちらほら。今回は、整理収納アドバイザーの野中幸子さんに、ウォークインクローゼットの「3分割収納法」や形状別の使い方についてお話を伺いました。

マンションのウォークインクローゼットでありがちなお悩み


新築マンションのウォークインクローゼット。どんな風に使おうか、夢が膨らみます。

野中さんウォークインクローゼットのように奥行きのある収納は一見たくさんの量が収納でき、便利に見えますが、広い空間だけに計画的に物を収めていかないとうまく生かせません。その特徴上、以下のようなお悩みも生まれやすくなります。

住居内の大型収納スペースでよくあるお悩み

  • 奥に置いた物が取り出しにくい
  • どこに何が置いてあるのかわからなくなる
  • 手の届きやすい、手前のラックや床に物がたまりやすい
  • 物の前に物を置いてしまい、いざ奥の物が必要になった時に取り出せない
  • 奥行や広さをどう生かしたらいいかわからない
  • 野中さん大型収納ウォークインクローゼットのせっかくある空間を生かすためには、いくつかのコツを知って計画的に物を収める必要があります。たとえば「人間が物を持って歩ける幅は、最低60㎝必要」などもコツのひとつ。それを知って、奥までこの幅を確保して歩いて行けるようにすれば、より空間を活かすことが出来る。そんなイメージです。
    次にご紹介するのは、収納場所にある奥行と高さ、それぞれを使用頻度で分けて考える「3分割収納法」です。物を収める時にエリア分けをイメージしながら収めると、空間を生かすことができます。

    奥行と高さを最大限に活かす「3分割収納法」でお悩み解決!


    ウォークインクローゼットを平面でとらえた場合。
    扉に近い場所に、使用頻度の高いよく使う物を、
    扉から遠い場所に、使用頻度の低い物を置きます。

    野中さん図のように、空間を3分割して考える上で掛け合わせるのは、使用頻度です。
    空間を、「手前、中ほど、奥」の3分割にして考え、日常使う使用頻度の高い物を手前に、奥に行くほど、日常では必要のない使用頻度の低いものを配置していきます。
    奥に配置した使用頻度が低いシーズンオフの物などは、シーズンの入れ替え時に移動しやすいように台車に載せたりキャスター付きの収納にしたり、小物類は同種類などで分類分けしてケースにまとめるなどの工夫を施します。またケースを開けなくてもすぐに中身が判別できるように中身がわかるラベルを貼ることもおすすめします。
    最初のたとえでお伝えした「必要通路幅60㎝」を確保しつつ、使用頻度を意識して物の配置を考えると、前述のお悩みにある「奥の物が取り出しにくい」「手前に物がたまりやすい」のほか、ほとんどのお悩みを解消することができます。


    ウォークインクローゼットを高さで考えた場合。
    使用頻度が低い物は上段に、使用頻度が高く日常的に使う物は中段・下段へ置きます。

    野中さん平面(奥行)の配置が済んだら、次は棚の高さと使用頻度を掛け合わせて高さを生かす配置を考えましょう。使用頻度の低い物は取りにくい上段へ置き、日常的によく使う使用頻度の高いものは中段、その次によく使うものは下段に配置します。
    ウォークインクローゼットの棚板が可動式であれば、置きたい物に合わせて棚板の間隔を調整しましょう。棚板は重く、入れ替えにも手間がかかるため、私が訪問するお客様のお宅でも、引き渡された時のままの位置で使用している例が多くみられます。せっかくの可動式棚板の収納を活かしきれていないのはもったいないので、ぜひ棚板を置きたい物に合わせて動かして「可動」という最大の強みを生かしてあげてください。

    野中さんよく使う物は中段、次に下段とお話しましたが、さらに日常使う使用頻度の高い物は、使う人の身長に合わせて「人の腕が届きやすい」、それぞれのベストポジションに配置するとさらに出しやすく戻しやすい形で空間を有効活用できます。
    ベストポジションとは、図のように「大人の場合は、腰高~目線」、「子どもの場合は床から胸までの高さ」です。使用頻度が高く日常的によく使うものは、このポジションに定位置を決めるといいですね。
    そしてお子さんのいるご家庭では、「大人は中段」「こどもは下段」に配置します。これも、それぞれのベストポジションから考えます。
    もしお子さん用の低い位置にハンガーパイプがなければ、「ひも(チェーン)+突っ張り棒」で簡易的にハンガーパイプを作って、ハンガーパイプを2段にすることも可能です。
    自分の手が届きやすい場所にお子さんだけの個人エリアを設けてあげると、お子さんも「自分の収納場所」という意識が生まれます。こうした物の配置から、自分の物を自分で管理する自己管理能力も育てることもできますので、お子さんと一緒に収納をつくる時間と場所を設けてみてください。


    洋服をかける・畳んで引き出しに入れるなど、
    その人によって使いやすい収納方法が異なるため、
    自分にあった方法を選びましょう。

    ウォークインクローゼット形状別使い方(Ⅰ・Ⅱ・L・コの字型)


    Ⅰ型

    野中さんウォークインクローゼットは、間取りによってさまざまな形状をしています。代表的な形状に応じた使い方の注意点をご紹介します。

    【I型】写真のように、奥にハンガーパイプがあるものや、左右どちらかの壁にハンガーパイプがあるものなどがあります。この形状も基本の使い方のとおり、入って一番取りやすい位置や手前に日常使う物を、奥や少し取りにくい位置にシーズンオフの物に分けて配置します。
    ハンガーパイプのない壁の部分にはフックを付けて、服・バッグや帽子をかける収納にしたり、明日着る服の定位置にしたりするのもおすすめです。


    Ⅱ型

    【Ⅱ型】奥行の活かし方は、「Ⅰ型」と同じく、基本どおり「手前に日常使う物」「奥にあまり使わない物」を配置します。奥まで行けるように60cm幅を確保して両側に物を配置します。下の段(床部分)に引き出しを使用する収納は、両側に配置してしまうと、引き出して使う際に物を出し入れしにくくなります。片側のみ引き出しにするという方法もありますし、または「右の引き出しはオンシーズン」「左の引き出しはオフシーズン」などの左右で分ける配置にするという選択肢もあります。


    L型

    【L字型】「Ⅰ・Ⅱ型」と同じように、基本どおり使用頻度を意識して、手前と奥に分けて物の配置を決めます。L字の角の部分は、ハンガーパイプ同士が近く、服が重なって使いにくいため、「重なるパイプのどちらか一方は潔く何もかけない」ということも選択肢に入れてください。
    「L字型」は、角にデッドスペースが出来て、物が重なりやすいため、収納する服や物の量を厳選して収納を計画したいものです。


    コの字型

    野中さん「Ⅰ・Ⅱ・L字型」のように、基本どおり、日常よく使う物は手前、シーズンオフなどは奥に、配置を決めていきます。「コの字型」は、どの形状よりも、幅も奥行もある大空間なので歩くスペースの60cmは確保しやすいのですが、奥まで遠いのが難点。より「使用頻度高め=手前側のすぐ取り出しやすい場所」を意識して物の配置を決めます。

    ウォークインクローゼット収納で役立つアイテム


    洋服を分類できる「衣類インデックス」(ファイルメーター)
    ハンガーパイプや引き出しの衣類をわかりやすく分類できます。

    野中さん我が家のハンガーラックの洋服の仕分けと選別スタイルは、以前の記事でも紹介しましたが、ハンガーパイプに掛けたアイテム種別が一目でわかるように、簡単に洗濯ばさみをラックに付けて区切っています。ですが見映えは言うまでもなくイマイチです。
    写真のようなハンガーラック用「衣類インデックス」(ファイルメーター)も市販されています。こういうものを活用して、見た目がきれいに素敵にするのもいいですね。またシーズン中に着なかった洋服は、ラックの端に分けて吊してよけておくと、不要な洋服の判別もしやすく取捨選別にも役立ちます。


    バッグを立てて収納する「バッグ収納スタンド スマート2個組」(山崎実業)。
    バッグのサイズに合わせて仕切り幅の調整ができます。
    (写真は1個のみ/カラー:ホワイト、ブラック)

    野中さんバッグなどは、写真のような「バッグ収納スタンド スマート2個組」(山崎実業)を使って、ベストポジションよりも上の高さ位にある棚に配置すると取り出しやすくなります。この商品は、バックの幅に合わせて調整できるため、バックを折ることもなく収納できておすすめです。
    ウォークインクローゼットは、ただ大容量に物を収納できればいいのではなく、必要な物が出し入れしやすく、かつほこりをかぶらず衛生的な状態で収まっていてこそ、本来の強みを生かせると言えます。持っている物が出し入れしやすく管理収納されていることで、目に入る物が自分にとって必要か不要なのかも見えてきやすく、定期的な整理・取捨選別が捗ります。それが結果的に、物で溢れないウォークインクローゼットを維持することに繋がります。
    奥行・高さx使用頻度による「3分割収納法」をうまく活用して、より使い心地のよい収納を目指してください。


    マンションの人気設備ウォークインクローゼットを活かすのも、整理収納意識があってこそですね。ウォークインクローゼットのある新築マンション探しには、MAJOR7をご活用ください。

    【MAJOR7で大規模物件特集のマンション一覧を見てみよう!】

    整理収納アドバイザー 野中幸子さん

    整理収納片づけを通してこころを育む「ここはぐおかたづけ」代表。物は価値観や人生の歴史が詰まった持ち主そのものという思いのもと。物を通して住む環境だけでなく心と思考のくせを丁寧に共に見つめていく対話を大切に活動中。片づけを通して、その人の「らしさ」である「好きと得意」を生かし、心地よく生きるための住環境づくりを。大人だけでなく小学生向けにも片づけレッスンをしています。整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士、発達支援教育士、親・子の片づけインストラクター1級、企業内整理収納マネージャー。
    ここはぐおかたづけ公式HP
    ここはぐおかたづけインスタグラム

    記事監修:野中幸子

    株式会社ファイルメーター ※amazonでも販売中「衣類インデックス」と検索

    山崎実業

    取材内容は2023年9月19日現在のもので変更になる可能性があります

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