著述家・編集者の石黒謙吾さんとエッセイストの石黒由紀子さんは、世田谷区のマンションで「センパイ」という名の豆柴と「コウハイ」という名のミックス猫と暮らしています。マンションを選んだ理由や、仕事や暮らしについてお話いただきました。
窓からの眺望を見た瞬間、購入を決めた!
石黒謙吾さん、由紀子さん夫妻。
写真奥には、お気に入りのオーディオセットがあります。
映画化された『盲導犬クイールの一生』などの著書をはじめ、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』などのさまざまなジャンルの書籍を企画・プロデュースする著述家・編集者の石黒謙吾さん。一緒に暮らす『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』シリーズが大人気の、エッセイスト石黒由紀子さん。今回は、石黒夫妻と2匹のマンションライフをご紹介します。
石黒さん夫妻は、15年前に3LDK(約70㎡)のマンションを購入。3LDKから2LDKに間取りを変更して、自分達のテイストにこだわったスケルトンリノベーションを行いました。
——マンション購入のきっかけは何でしょうか? 当初一戸建ても選択肢にありましたか?
由紀子さん犬を飼える環境がほしいということもあって家探しを始めました。私は実家が一戸建てで、庭の維持や家のメンテナンスの面倒さを実感していましたので、気軽に暮らせるマンションがいいなと思っていました。
謙吾さん僕はどちらでも良かったんですけど、当時は一戸建てや新築マンションが高かったので、自然と選択肢は中古マンションになりました。4か月位探しましたが、このマンションに決めたのは、南向きのバルコニーからの眺めでした。高尾方面の山々からスカイツリーまで180℃のパノラマが広がっていて、この眺望を見た瞬間に「ここだ!」と思いました。
自由にリノベーションできることも、マンションの魅力のひとつ
天井から下げて調光できるようにしたジェルデ社のデスクランプ。
「スターウォーズのストームトルーパー(帝国軍兵士)みたいでしょう?」と謙吾さん。
石黒さん夫妻が購入したマンションは、1984年竣工の7階建てマンションの最上階。購入した当時で築15年でしたが、気の合う建築家や現場監督の協力を得て、水廻り以外はスケルトンリノベーションを施しました。なるべくお金をかけないで、リノベーションにとことんこだわったのも石黒家流です。
マンション購入から2年後に運命の出会いを果たした豆柴の女の子「センパイ」と、
その5年後に迎えられた保護猫の男の子「コウハイ」。
由紀子さんの著書『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』シリーズで人気の仲良し姉弟です。
由紀子さん新居は「犬を飼って暮らすこと」を前提に考えていたので、友人5人と3日かけて壁と天井を自然素材に塗り直したり、犬が滑らない床材を選んだり、犬と暮らすための素材選びにこだわりました。
謙吾さん元々インテリアにこだわりがあったので、他の人に任せることができなかったというのもあります。カラマツの床材は、新木場の卸屋さんで選びました。卸屋さんが「いま冬でシベリアの川が凍っていて海まで流せないから、雪解けまで待ってくれる?」と言われて、日本に床材が届くまで待ったのも、良い思い出です。
由紀子さん私は、マンションの専有部をここまで自由にリノベーションできたことが良い思い出です。特に、壁と天井を自分達で塗り替えたことは、大変だったけれどやって良かったなと思います。
メールで家庭内連絡、仕事の資料は倉庫へ、職住一体の暮らし
写真向かって左は石黒由紀子さんの著書、右は石黒謙吾さんの著書。
——お二人共、自宅で仕事をされていますが、職住一体の暮らしぶりはいかがでしょうか?
謙吾さん以前は渋谷の事務所と家を往復していたのですが、いまは自宅兼事務所にしています。僕は、リビングの反対側の仕事部屋で、彼女はリビングダイニングのテーブルで、それぞれ仕事をしています。
毎日膨大な仕事量がありますが、家で仕事をするにあたってはオンオフをはっきりさせて、家でも時間を決めて、朝10時から夜10時まで仕事。あとは家でゆっくりするオフタイムという風にメリハリをつけています。仕事が終わったらパソコンでのメールチェックはせず、スマホもいっさい見ません。
由紀子さんは、ダイニングテーブルでお仕事。
ノートPCだと場所を取らなくて良いですね。
由紀子さん書斎とリビングで離れて作業しているのもあるのですが、日常の家庭の連絡事項も「メールで連絡して」って言われるのはどうかと思いますが(笑)。
謙吾さん常に数10案件の書籍企画が同時進行していることもあって、毎日100〜200件のメールが届きます。メールの受信箱をTO DO(やるべきこと)ボックスにしているので、仕事のことも家庭のこともメールに集約して、処理したらフォルダに入れるというルールを決めているんですよ。メモを置かれてもどこかになくしちゃうから、メールに一元化する! これが家庭円満の秘訣です(笑)。
謙吾さんの仕事部屋は、さながらコックピット。
仕事に必要なすべてのものが、手が届く場所に効率的に配置されています。
「センパイ」「コウハイ」も膝の上に!
——2人の仕事柄、自宅に仕事の資料も多いと思うのですが、どのように整理収納されていますか?
謙吾さん僕は、マンションから徒歩数分の場所に8畳ほどの部屋を借りて、資料を置く倉庫にしています。コンピュータの容量が不足したら外付けハードディスクを使うように、マンションの収納が不足したら、外部のストレージサービスを活用するのもいいと思いますよ。
由紀子さん私は、不用になった本は寄付して、常に一定数を保つように心がけています。最近のマンションは、共用部分にストレージが用意されているものもあると聞きますから、そういうものを活用してもいいですね。
将来、変えられること・変えられないことを見きわめる
石黒謙吾さんがフリーの編集者として出版した書籍、
ナガオカケンメイ著『コマボン』(扶桑社)。
グラフィックデザイナーであり発想家のナガオカケンメイ氏と共に、
摩訶不思議な物件の間取りを掲載した妄想不動産広告のページ。
——謙吾さんは、間取り好きの「マドリスト」でもあるそうですね?
謙吾さんフリーの編集者として初めて手がけて、1996年に刊行された書籍『コマボン』で、ナガオカケンメイ氏と面白い妄想間取りの広告ページをつくったほど、間取り好きですね。友人が家を探していると聞いたら、物件探しからとことん付き合うタイプです(笑)。
——頼もしいアドバイザーです! これからマンション購入を考えている方々に、購入のアドバイスをいただけますか?
由紀子さん私たちは中古でしたが、新築マンションであれば、将来の生活の変化に合わせた買い換えやリノベーションも考えられます。ライフスタイルに合わせて「変えられること」の選択肢が多いのは、マンションのメリットだと思います。
謙吾さんうちはリノベーションで元々あった和室をなくしましたし、マンションの間取りは将来的に「変えられること」のひとつ。そのかわり、立地や環境・景観といった、あとから「変えられないこと」についてはよく考えて、マンションを選ぶといいと思います。
思い通りのリノベーションで出来上がった空間は、人にとっても犬猫にとっても、とても居心地のいい雰囲気に満ちていました。職住一体のマンションライフは、長く家で過ごすこともあり、お気に入りのインテリアや間取りにこだわりたいですね。ぜひ皆さんのマンション選びの参考にしてみてください。
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著述家・編集者・分類王・全国キャンディーズ連盟代表。書籍の執筆、プロデュース&編集を手がける。著書に、映画化された『盲導犬クイールの一生』『分類脳で地アタマが良くなる』『2択思考』など50冊以上。プロデュース・編集した書籍に、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一、菊池良)など200冊以上。
エッセイスト。女性誌や愛犬誌、WEBなどの連載を中心に、エッセイやコラム、雑貨やペットグッズのコメントを執筆。著書に、『猫は、うれしかったことしか 覚えていない』(ミロコマチコ・絵)、『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』など。
⇒ゆるゆる
記事監修:石黒謙吾・石黒由紀子
取材内容は2019年4月24日現在のもので変更になる可能性があります