コロナ禍で、グリーンを取り入れておうち時間を楽しむ人々が増えています。リビング、寝室、バルコニーなどの部屋別・方角別に育てやすい観葉植物や、育てる上でのコツやトラブル対処について、グリーンコーディネーターとして活躍する寺井通浩さんに教わります。
部屋の方角別に考える、育てやすい観葉植物
ガーデンデザインとインドアプランツのお店「からならの木」のオーナーであり、
グリーンコーディネーターの寺井通浩さんに、代々木上原にあるお店でお話を伺いました。
(写真提供:からならの木)
——新築マンションを購入したら、「バルコニーでガーデニングをしたい」「お部屋をグリーンでいっぱいにしたい」などの夢が広がります。「からならの木」にも、そういうご相談は多いですか?
寺井さん個人宅のグリーンコーディネートは、マンションを購入して引っ越し前にご相談いただくことが多いですね。ご相談があったら、まずお客様が考えているインテリアのコンセプトやイメージをきめ細かく伺って、それに合わせたグリーンの提案を行います。お客様のインテリアイメージが明確に決まっていると、我々も提案しやすいです。
多肉植物の寄せ植えは、簡単に取り入れやすく、お部屋もお洒落な雰囲気になります。
「多肉植物は、直射日光を避けて、ガラス越しでよく日の当たる場所がベストです。
日照時間が足りないと、葉色が悪くなる・ひょろひょろと間延びするなどの状態になります。
たまにテーブルの上に飾るのもいいですが、基本は日の当たる場所で育ててください」
(写真提供:からならの木)
——マンションのお部屋の方角や日当たりによって、育てやすい観葉植物は変わってきますか? せっかく素敵な観葉植物を買ったのにうっかり枯らしたという話もよく聞きます。
寺井さん観葉植物を育てるには、バルコニーでも室内でも、東向きや南向きの日当たりのよい方角がベストですが、その部屋の日照時間に合った性質の観葉植物を選ぶと良いですね。
西向きは日当たりが強すぎる場合もあるので、丈夫で乾燥に強いサボテンやサンスベリアなど。北向きで、窓はあっても直射日光が入らない部屋には、耐陰性があって丈夫な植物、サンスベリア、ドラセナ・ストリクタ、ドラセナ・グローカルなどがおすすめです。
縞模様が個性的なサンスベリア・ゼラニカは、丈夫で乾燥に強く、
初心者にも育てやすい観葉植物のひとつ。
▼寺井さんがバルコニーガーデニングをお手伝いした事例
国内の家1000軒以上を取材してきた、ライター&エディター加藤登紀子さんのマンションライフ
テレワーク部屋の観葉植物を長持ちさせる
ドラセナ・ストリクタも丈夫で乾燥に強い観葉植物。
お部屋の中に、この位大きな観葉植物があれば素敵ですし、目も心も癒やされそうです。
寺井さん丈夫な観葉植物といっても、ときどき太陽と風に当ててやることは必要です。このドラセナの大鉢は、プラントムーバーという鉢移動用のキャスター付き台に載せています。日当たりの良い窓際に移動させるときに便利です。キャスターはストッパーもあるので安全です。
「プラントムーバーは、鉢カバーと合わせて色や材質を選ぶと、目立たず気になりません」と寺井さん。
寺井さん観葉植物といっても、もともと外の環境で育つものです。本来は、太陽の光、風、雨に当たるのが植物にとっても良い環境です。ときどきは直射日光の当たらない、外の日陰、たとえばバルコニーに出してあげると良いですね。プラントムーバーは、そういう移動に役立ちます。
寝室に大きな観葉植物があれば、心安らかに目覚められそうです。
(写真提供:からならの木)
——いま自宅でテレワークをしている方が増えていて、家族がいる方だと、個室になる寝室をテレワーク部屋として併用されているケースも多いようです。テレワーク部屋にグリーンが欲しい場合、どんな種類がいいのでしょう?
寺井さん部屋の向きによりますが、マンションの場合、リビング・ダイニングが南向きで、寝室は北向きという間取りが多いかもしれません。北向きのリモート部屋の場合は、先に紹介した、耐陰性のある丈夫な種類の観葉植物を選んで、週に3〜4日は、日当たりの良い場所に置いてあげてください。2つの観葉植物の鉢を用意して、週の半分はどちらかをテレワーク部屋に置くというように、数日毎にローテーションしてもいいかもしれませんね。目に入る観葉植物が替われば、気分転換にもなります。
壁や天井からグリーンを吊すハンギングホルダーも、インテリアとして便利です。
こちらは、特殊な紙でできたハンギングホルダー。
写真のようにアンティークの鉄製の飾りに吊すのもいいですね。
寺井さんローテーションする場合、大きい観葉植物はプラントムーバーに載せて移動できますし、ハンギングホルダーに入れた観葉植物なら移動も楽です。
鉢スタンドにも、いろいろなタイプがあります。
スタンドがあれば、小さい観葉植物であっても存在感が出ますね。
「廊下や玄関に置きたくなるデザインですが、日当たりの悪い場所に置く場合は、
週の半分は日当たりの良い場所で管理してあげてください」
▼最近のテレワーク部屋の事例
マンションの在宅勤務で見えてきたテレワークのコツ、そのメリットとデメリット
トラブル1位は水のやりすぎ!弱った観葉植物を再生する方法
最近は、多種多様な鉢カバーが揃っています。
インテリアと鉢カバーの色や材質を揃えると、統一感が出ます。
(写真提供:からならの木)
——お客様からの相談やトラブルで多いのは何でしょう?
寺井さんほとんどの方が、水をやりすぎて植物を弱らせています(笑)。毎日水を与えないといけないと思っている方がいらっしゃいますが、「水やりは、土が乾燥してから」が基本です。これを徹底してください。見た目でわかりづらければ、土を触ってみて乾燥していれば、水やりのタイミングです。
水やりをするときは、鉢底に水が出るまで、じゃーっと流す。そしてまた、土が乾燥するまで水やりを待つ、というサイクルでやってください。
以前、寺井さんが切り戻したのちに再生したパキラ。
成長が早く樹形が乱れやすいパキラを、4月中旬に葉をすべて落としました(写真左)。
その後、店内の日当たりのいい窓辺で養生。
7月中旬に新芽が芽吹き、8月中旬には枝葉が生い茂りました。
——寺井さんは、お客様に弱った観葉植物の再生方法のアドバイスをすることがあるそうですね。どんな風に再生できるのでしょう?
寺井さん気温が高くなる春から夏かけて、戸外に出します。直射日光は必要ないので、出来れば雨のあたる場所が望ましいです。マンションなら、バルコニーに出してあげるとよいでしょう。外に置くと、水を吸い上げる力が強まって土の乾燥も早いので、水やりのサイクルはもっと頻繁になります。写真のパキラの切り戻し事例と同様の手順で、再生できます。
観葉植物のメンテナンスに使う肥料。
写真右から、メネデール(発根促進剤)、土の上に置くだけのハイポネックス錠剤肥料、
薄めて使うハイポネックス液体肥料。
寺井さん切り戻したときや再生するときに使うメネデールは、いわば弱った植物の病人食です。水やりして土が湿ったあとに、希釈して与えます。発根促進剤は、根が育って栄養を摂りやすくなります。調子が良くなってきたら、錠剤肥料や液体肥料を与えます。ただ、肥料負けすることもあるので、水やり同様、与えすぎには注意です。観葉植物の管理は、何事も「しすぎない」心構えが重要ですね。
寺井さんのお店「からならの木」では、
植物を購入した方に、オリジナルの「育て方カード」をお渡しています。
バルコニーのガーデニングは大規模修繕工事も見据えて
バルコニーのグリーンコーディネート導入事例。
アイアンのフェンスに蔓を這わせ、段差のあるウッドプランターを造作しました。
(写真提供:からならの木)
——寺井さんは、庭やバルコニーのグリーンコーディネートも数多く手がけています。バルコニーにある、隔て壁(蹴破り戸、バルコニー隔板などとも呼ぶ)や避難ハッチを物で塞がないという基本的なルール以外に、バルコニーガーデニングで注意する点は何でしょう?
寺井さんマンションは、だいたい12年周期で大規模修繕工事が予定されています。プランターやパネルデッキを設置する際には、将来工事が行われるときに撤去・移動しやすいよう考えておく必要があります。新築マンションの入居時に取り入れたグリーンであれば、10数年経てば木や土も痩せてきています。ちょうど取り替え時期でもあるので、工事のタイミングに合わせて、植え替えするなど、グリーンもメンテナンスすれば良いですね。
▼敷地全体が豊かな自然環境に囲まれているマンション事例
23区内に東京ドーム3個分の敷地・雑木林5万本を有するマンション「サンシティ」で、住民が自ら育んだ資産価値
新築マンションを購入したら「バルコニーでガーデニングをしたい」「お部屋をグリーンでいっぱいにしたい」など、いろいろ夢が広がります。まずはMAJOR7でマンション情報を探してみませんか? モデルルームのインテリアに合わせたグリーンコーディネートも、きっと参考になるはずです。
【MAJOR7で新築物件特集のマンション一覧を見てみよう!】
東京都渋谷区上原にある、ガーデンデザインとインドアプランツのお店「からならの木」のオーナー。室内のグリーンコーディネート、ガーデンデザイン(店舗、個人宅、商業施設)、植栽の施工、管理、メンテナンスなどを手がける。
→からならの木
記事監修:寺井通浩
※マンションのバルコニーは共用部となります。バルコニーの利用方法は、事前に必ず管理規約をご確認ください。
取材内容は2021年8月4日現在のもので変更になる可能性があります