マンションを購入したら、自分のものだからこそ、好きなものに囲まれた居心地の良い空間にしたいものです。今回は、国内外のさまざまなジャンルの作家の企画展を開催・作品販売をしている南青山の「ギャルリーワッツ」の山本詩野さんに、暮らしの中にアート作品を取り入れるアドバイスを伺いました。ご自宅マンションで実際の飾り方も見せていただきました!
マンションライフにアートを取り入れよう!
「ギャルリーワッツ」の山本詩野さん。
アート作品に囲まれた素敵なマンションに、夫・息子3人でお住まいです。
「そもそもアート作品を飾るのって敷居が高い」「何を選べばいいのかわからない」という初心者の方もいるかもしれません。今回は初心者の方へ向けて、マンションにアート作品を気軽に取り入れるアドバイスを伺いました。
詩野さん窓や扉などの開口部が多くて、作品を飾る壁が少ないという声を聞くこともありますが、壁にかけるだけでなく、天井から吊したり床や家具に置いたりしても飾れます。「スペースがないから飾らない」のではなく「この大好きな作品をうちに飾りたい!」という思いを大切にどんどん飾ってほしいですね。飾り方にルールはないので、自分らしく楽しんでみてください。
ゲスト用にストックしているスツール。
そこに作品を置けば、アクセントのあるアートコーナーになります。
写真向かって右は、額装せずにキャンバスのままで絵を立てかけています。
床に直置きにしても素敵です。
詩野さんアートは単なる癒やしだけでなく、自分をちょっと俯瞰してみる存在でもあります。単に好き嫌いで終わるのでなく、なぜ自分はそれを好きなのか?なぜ苦手なのか?と自分の心に問いかけて、作品をきっかけにして、自分のものの捉え方や考え方などを深掘りしてみると、広がりがあって面白いですよ。コロナ禍で、自分の好きなものや居心地のいい空間について見直す人達が増えています。こういう時代だからこそ、住まいやアートが与える影響は大きいのだと思います。
子どもの目線や動線でアートを飾る!
玄関のシュークローゼットのトップに設けた、アート作品を飾るコーナー。
吉村貴子さんの彫刻は、固い石なのにどこか触りたくなるぬくもりのあるフォルム。
遊びに来た子ども達が、作品に誘われるように触れるそうです。
詩野さん子どもの感性って直感的だから、作品に触れたり見たりすることで、無意識のうちに何かを感じとっていると思います。我が家の玄関に置く作品は、その時々の気分で替えていますが、息子や遊びに来た友達が「あ、玄関の様子が変わったね」と気付いてくれます。作品がコミュニケーションツールにもなっていると感じます。
廊下に、子どもの目線の位置に飾られた作品。(マツバラリエ作)
作品のキャプションのフレーズが素敵で、額縁に付けて飾っていたら、
いつのまにかお子さんがそのフレーズを覚えていたそうです。
詩野さん大人の目線や動線で作品を飾るだけでなく、まだ小さいお子さんがいらっしゃる家庭なら、子どもの目の高さに飾ってあげてもいいと思います。「まだ子どもだからわからない」のではなく、目や心に自然と刻まれた感覚は成長につれて理解につながるでしょう。私も、子どもが作品のフレーズをいつの間にか覚えていたことに気付かされました。
暮らしの中にアート作品が溶け込むことで、その環境が心を豊かにしてくれるに違いありません。
家族のアニバーサリーにアートを買う習慣はいかが?
家族のホロスコープが織り込まれたオブジェ作品。(mïndy作)(人型は西浦祐太作)
吊して飾るオブジェは、空間を立体的に彩ってくれます。
——アート作品を購入するのは敷居が高いという方もいますよね。
詩野さん有名な作家さんじゃなくてもいいと思います。いろいろなギャラリーを見て歩いて、傍に置きたいと感じた、小さな作品を買ってみることから始めていただければ。大切なのは、買って、自分のものにして感じること。30年くらい前ですが、私も、初任給で初めて絵を買いました。それはいまでも元気を与えてくれる存在になっています。
写真左から、母の日、結婚記念日、子どもの1歳の誕生日の歩き始め記念に購入した、
彫刻家 掛井五郎さんの作品。
小さなアートは、本棚やテーブルなど、飾る場所を選びません。
「人、動物、好きなモチーフを集めることから始めてみても面白いですよ」と、詩野さん。
詩野さん我が家では、結婚記念日や誕生日など、家族のアニバーサリーに何かひとつ作品を買うことにしています。作品と家族の歴史が重ね合わさることで、その作品がかけがえのない特別な存在になります。
作家の方に特別にお願いして、家族3人の干支を入れて貰った
ミシンドローイングとのコラージュ作品。
(Nutel & KILLIMAN JAH LOW WORKS作)
詩野さんの兄が、子どもの頃に描いたピノキオの絵。
「ギャルリーワッツ」オーナー川崎淳与さん(詩野さんの母)が、大切にとっておいて、
兄の20歳のお誕生日に軸装してプレゼントしたものです。
詩野さん作家の作品だけでなく、子どもが描いた絵や立体作品も立派なアートです。我が家でも、息子の作品を飾っていますし、私の母のように、成人したときに本人にプレゼントするのも素敵ですよね。子どもの作品とアーティストの作品を一緒に飾ると、空間が締まります。
子どもの感性や思い出を育む視点でマンションを選ぶ
お気に入りの作品のポストカードを飾ってみることから始めてみても素敵です。
パリで買ってきたアンティークのメニュー立てに、ポストカードを挟んでいます。
詩野さんうちは、三井不動産さんが建てた数棟構成の大規模マンションです。各棟の1階エントランスには、それぞれ動物や昆虫モチーフのオブジェが飾ってあって、小さい子どもは「うちは、でんでん虫のマンション」と目印にしたり、作品を触ったりして自然に遊んでいます。エントランスはマンションの顔ですし、毎日見るアート作品が住民の心を育んでくれると思います。共用部にアートを飾る取り組みは、どんどんやっていただきたいですね。
詩野さんは、子どもの感性や思い出を育む視点で、これから住むマンションを選んでみては?とアドバイスします。そのマンションや街が、これから生まれる子どもや、そこで育っていく子どもに、どんな思い出をプレゼントすることができるのか、そこまで想像してマンションを選ぶのも素敵ですね。
作家さんのワークショップに家族で参加して、それぞれが作った木工のオブジェ。
小さなテーブルを飾り台にして、オブジェコーナーになっています。
詩野さんギャルリーワッツとして、モデルルームのアート提案を依頼されることもあります。最近は、素敵なアートを取り入れたモデルルームが増えていますよね。マンション探しをするときには、モデルルームに飾られている作品もチェックして、自分の家だったらどんな作品を飾りたいか?と考えてみるのもいいかもしれませんよ。
ステイホームの時間が増えたことで、ほっとする居心地の良い空間を求めて、マンション購入を検討する人が増えてきました。お気に入りのアート作品を飾ることができる、自分だけのマンションを見つけたいものです。MAJOR7で探してみませんか?
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感性に働きかけるものをアートと捉え、多ジャンルで、個性的な作家の展覧会を開催する南青山のギャラリー「ギャルリーワッツ」。「こだわりを持って日々を過ごそう」という思いをコンセプトに、作品や作家との出会いの場を創造する。
作品は購入可能で、ギャラリーや「WA2 ONLINE STORE」で入手できる。「マグカル・ドット・ネット」にて、「kanagawaギャラリーさんぽ」を連載中。
→ギャルリーワッツ
→ギャルリーワッツFacebook
記事監修:ギャルリーワッツ
取材内容は2021年6月3日現在のもので変更になる可能性があります