造形作家 鈴木尚和さんの表参道&神奈川の2拠点アートライフ

MAJOR'S Column

2020年7月30日

造形作家・デザイナーの鈴木尚和さんは、武蔵小杉駅東口駅前広場に設置されたモニュメント「家族の絆」をはじめ、マンション共用部のモニュメントやオブジェ作品、インテリア、プロダクト、グラフィック、空間デザインに至るまでさまざまなジャンルを幅広く手がけるクリエイターです。東京・表参道と神奈川の2つのマンションを行き来して暮らす2拠点生活や、10年以上前から行ってきたシェアオフィスやリモートワークについてお話いただきました。

仕事と人と交流する「表参道邸」と、自然を満喫する「神奈川邸」の2拠点生活


造形作家として全国各地にオブジェやモニュメントなどのアート作品を提供するほか、
デザインの領域を超越して多種多様なクリエイティブ活動を展開する鈴木尚和さん。
神奈川県にあるマンションでお話を伺いました。

東京・表参道に仕事場兼住居のマンション(表参道邸)を所有する鈴木さんですが、神奈川にあるマンション(神奈川邸)は、横浜から引っ越しされたご両親の家近くに住むため、20数年前に探したものだそうです。

鈴木さん当時母の体調が良くなかったので、行き来しやすいように神奈川にある実家の近くでマンションを探しました。大京の新宿にあるモデルルームを見て、一目で気に入りました。内装も自由にカスタマイズできるということでしたし、最寄りの主要駅から少し離れている点も良かった。表参道では駅から徒歩数分の便利な場所に住んでいますから、せっかくこちらに住むならば、逆に駅から離れて豊かな自然が楽しめる、静かな住環境の方が良かったのです。


鈴木さんが「神奈川邸」と呼ぶマンションのバルコニーからは、
一面の田畑、彼方には大山連邦が見渡せ、一幅の絵のような景色が広がります。
「朝から夕暮れまで飽きずに景色を眺め続けられる」と鈴木さん。
花火大会の日には、友人を招いてホームパーティを催すこともあるそうです。

「バルコニーからの眺めは、四季を通して癒やされる」と、鈴木さん。
周辺を散歩すると田んぼや土の匂いを感じ、夜空で満月の美しさを眺め、
鈴木さんの作品テーマである「自然と摂理」を感じる住環境です。

鈴木さん実家にも車で5分の距離で、我々が引っ越したら母の体調も良くなりました(笑)。「神奈川邸」は安らぎの場、「表参道邸」は仕事と人と出会う交流の場、そして川崎にあるファクトリー(提携工場)は創造の場。この3つの居場所があって、それぞれが密接に機能している感じですね。

これまでのMAJOR’S BLOGでも、2拠点生活の方のマンションライフを紹介しました。皆さん、自然豊かな地方と便利な都市、それぞれの拠点の魅力を楽しんでいらっしゃいます。2拠点生活は憧れですね。

30年前からテレワーク&シェアオフィスを導入


海外との仕事も多い鈴木さん。10年以上前からテレワークを実践されています。
ノートPC、タブレット、スマホ、スケッチブックを広げれば、
そこがリモートオフィスに早変わり。

鈴木さん「表参道邸」のオフィスは、仕事を学びたい・働きたいという若い人たちに、オープンデスク的に場を提供してきました。一緒にプロジェクトに参加させて、実際に仕事をしながら学ぶ場づくりです。机上の空論では、仕事は学べません。私は、何事に於いてもとにかく現場主義。仕事で神棚をデザインするときは、伊勢神宮へ。霊園をデザインすることになったときは、エジプトのピラミッドを見てきました(笑)。


「自宅でテレワークをするなら、大きなテーブルは必須です」と鈴木さん。
さまざまなデザインの椅子があるのも、それぞれの座り心地を試すため。
鈴木さんの生活は、すべてがクリエイティブの発想につながっています。

2m×1mの大テーブルには両側に小引き出しがあって、必要なものはすべてそこに格納。
だからテーブルの上にモノが散らかりません。
ご夫婦でそれぞれ使う引き出しが決まっているそうです。

鈴木さん大テーブルに広げたノートPCもさっと片づければ、すぐプライベートに戻せます。この他に、ロッカー付きのサイドテーブルがあれば、家庭でのテレワークでも、大勢を招いてのパーティでも、大切な仕事道具をすぐにしまえて便利です。よく“デザインは江戸に倣え”と言っているのですが、江戸の箱膳のようなミニマルな道具や六畳一間に暮らすコンパクトな住まい方は、現代でも参考になるものが多いですね。

さすがに10年以上テレワークを実践している鈴木さんです。現在も日本全国、そしてベトナムでのプロジェクトもテレビ会議で進行中とのこと。国内外のプロジェクトが同時進行する働き方は、2拠点を行き来する鈴木さんのフットワークの軽さにつながっているのかもしれません。

マンションの共用部に!専有部に!アート作品を


「パークホームズ東陽町 四季の庭」(三井不動産レジデンシャル)の
エントランスホールに設置された鈴木さんのオブジェ「つながるわ 01」。

鈴木さんのオブジェやレリーフなどのアート作品は、「パークホームズ東陽町 四季の庭」「パークホームズ田無 ザ ガーデン」(三井不動産レジデンシャル)、「ザ・センター東京」(三菱地所)など、さまざまなマンションの共用部に設置されています。鈴木さんは、暮らしの場であるマンションにこそ、もっとアートを導入していくべきだと言います。


「パークホームズ田無 ザ ガーデン」(三井不動産レジデンシャル)の
エントランスホールに設置されたオブジェ作品「つながるわ 02」。

鈴木さん日本の教育で抜け落ちているのは、“感じる”ことだという気がしています。私は、小さい頃、父に連れられて見た数々の美術作品や工芸品が、いまだに心に残っています。住まいの場であるマンションで、毎日アートに触れて見て感じることは、特に子どもにとって大切な情操教育です。子どもは、先入観なしにまっすぐな心でアートを感じてくれます。
また、アートは住民同士の会話のきっかけにもなります。「あれ、何でしょうね?」みたいな話でもいいんです。そこからコミュニケーションが始まるのですから。アートは、心や暮らしを豊かにするものです。


鈴木さんが「マンションにも神社の御札を納める神棚がほしい」と考えて
自分のためにデザインした神棚は、好評で製品化展開することになりました。
伊勢神宮の御膝元、伊勢地の檜で制作した特注品神棚「心礼(しんれい)」(写真左)や、
銀座 伊東屋で販売されている「御神札額(おふだがく)」(写真右)。

鈴木さん共用部だけでなく、自分の住まいにもどんどんアートを飾ってほしいですね。絵画、陶芸、オブジェなど、自分が「好きだ」と感じた作品なら、小さくても安くてもいいんです。四季を通じて毎日見ていると作品の表情が変わってくるし、好きなものが身近にあるだけで心も満たされます。いま、世代問わず、ギャラリーで作品を買ったことのない人が多すぎると危惧しています。「もっとふだんの生活にアートを!」と、声を大にして言いたいですね。

かつて日本家屋にあった床の間は、ハレの空間である客間に掛け軸や活け花、美術品を飾る場であり、仏間は心の拠り所でした。鈴木さんは、「マンション設計の段階でも、廊下や玄関、リビングなどに、アートを飾るニッチな床の間的空間があればよいのではないでしょうか?」と言います。心を豊かにするアートを暮らしの中に。コロナ禍で、自宅時間で過ごす時間が長いいまこそ、アートが私たちの心を癒やしてくれるのではないでしょうか?


埼玉県ふじみ野駅前モニュメント「富士見 夢の舟」&時計オブジェ、駅前広場計画。
モニュメントは、空中枯山水をイメージしたものだそうです。

武蔵小杉駅前モニュメント「家族の絆」。
頭部のネジ、心臓部の歯車は、昔この土地が工業都市であった象徴の記憶としました。

武蔵小杉で暮らす人々の心にも、このモニュメントが街の顔として親しまれていくのでしょう。
武蔵小杉のタワーマンションで住み替え2回! 「コスギフェスタ」仕掛け人のマンションライフ

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ドイツ文化センター(現・ゲーテ・インスティトゥート東京)の依頼により作成した、
天皇杯全日本サッカー選手権大会優勝チームに贈呈される
ドイツカップ「魂のきせき」(写真左)。
前浦和レッズ監督のブッフバルト監督と一緒に(写真中央)。
第85回天皇杯で25年ぶりに優勝したポンテ選手がカップを手にした姿(写真右)。

鈴木さんのマンションのエリア選びは、公私ともに明確です。
実家の両親の傍で近居したいために選んだ「神奈川邸」。クリエイターとしての仕事のために選んだ「表参道邸」。「仕事に於いては、住むエリアが自分の意識を変える」と鈴木さんは言います。

鈴木さん表参道は、先鋭的なクリエイターや企業が集まり、時代をリードする感性の街。若い頃に独立して、クリエイターとして挑戦していくために、どうしてもこのエリアに身を置きたいと考えて表参道限定でマンションを探しました。住んでみて気付いたのは、この街の住人は本当に表参道が好きでたまらない、という街への愛情でした。便利で何でも手に入るのに、大通りから1本入ると、静かでよく手入れされた家やマンションが建ち並んでいます。住民がこよなく街を愛するエリアは住みやすく心地良い。住めば住むほど、私の表参道愛も深まりました。

——これからマンション購入を検討している方々にアドバイスをいただけますか?

鈴木さん買うなら、20〜30代の若いうちの方がいいと思います。たいてい35年ローンを組んで買うのですから、若くてパワーのあるうちの方が絶対いい。はじめは小さいマンションでもいいじゃないですか。自分のものになれば、買い替えても賃貸に出してもいいですし。
またマンションを購入すると、契約のプロセスも勉強できます。税金、保険、金利、契約…、そうした社会の仕組みをきちんと学べる良い機会です。買うなら、早く!若いうちに!がおすすめですね(笑)。


都市の良い部分、自然豊かな土地の良い部分をうまく楽しめる鈴木さんの2拠点生活でした。テレワークの社会的な浸透で、都市部だけでなく、自然豊かな郊外のマンションに目を向ける方々も徐々に増えているようです。それも選択肢のひとつです。MAJOR7サイトで、いままで考えていなかったエリアにも目を向けてみてはいかがでしょうか?

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造形作家・デザイナー
鈴木尚和さん

スパッジオ ワークス代表。作家活動として全国各地にモニュメントやオブジェを設置。また、インテリア・プロダクト・環境&空間デザインまでデザインの領域を超越して活動を展開。近年は、地方自治体の企画デザインアドバイザーも兼務し、地方に眠る技術を生かしたプロダクトデザインを多数発表。JAPANブランドにも参加。個展・グループ展等多数発表。「自然と摂理」をテーマとし、環境が作風となり、技術や伝統等を加味した製品作りを心掛け、考え方を見せる手法により、オリジナル性を醸し出している。
SPAZIO WORKS(スパッジオ ワークス)

記事監修:鈴木尚和

取材内容は2020年7月30日現在のもので変更になる可能性があります

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