高気密・高断熱の新築分譲マンションで、夏の熱をためない工夫 一級建築士 直町常容子さん

MAJOR'S Column

2026年8月18日

高気密・高断熱の新築分譲マンションで、室内に熱をためない工夫や電気代を抑えながら快適に過ごすコツ、見落としがちな室温ムラ対策について、一級建築士の直町常容子さんにお話を伺います。

●新築分譲マンションの温熱環境のメリット


これから購入予定のマンション、猛暑の夏も心地よく過ごしたいものですね。

——新築分譲マンションには、どのような夏のメリットがありますか?

直町さん 2025年4月から、マンションを含むすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務付けられました。「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4」以上が義務化され、2025年4月以降販売されている新築分譲マンションでは、建築物省エネ法に合致したLow-E複層ガラスなどは標準装備となりました。そのため皆さんがこれから購入を予定されている新築分譲マンションは、以前に比べると省エネや断熱性能がかなり高くなっています。
高気密・高断熱のマンションであれば、夏場は外からの熱を室内に入れないようにさえ注意すれば、心地よい室温を保持できますよ。
※複層ガラスの内側に熱の伝わりを抑えるLow-E膜をコーティングし、高断熱・高遮熱性能を有したガラス。

●熱を室内にためない工夫で、夏を快適に


一日のうちで一番陽当たりがよい部屋の窓を遮熱することで、
夏を涼しく過ごすことができます。

——夏の日差しを避けるためにどんなことができますか?

直町さん 外からの熱を室内に入れないためには、バルコニーや窓からの日光を遮る、遮熱(外からの熱を遮断する)や断熱(熱を入れない・逃さない)効果のあるカーテンやブラインドを選んでください。
東向きの窓なら太陽の上がってくる朝の時間帯、西向きの窓なら西日があたる午後から夕方の時間帯には、遮熱または断熱カーテンやブラインドを閉めることで、外からの熱が室内に入るのを和らげることができます。最近は、高機能かつデザインの美しいカーテンやブラインドが各社から販売されていますので、デザイン面で妥協せずによいものが選べるはずです。


「エアコンの設定温度=室温ではないのですが、
そのことを理解されていない方も多いようです。
室温計を付けて、部屋の室温を確認するようにしましょう」

●「空気の流れ」を考えてエアコンや家電を配置


サーキュレーターや扇風機を補助的に用いて、
部屋全体に空気の流れをつくって快適な室温にします。

——マンションでは、エアコンや換気設備をどのように使うのがおすすめですか?

直町さん エアコンを点けていても、場所によって暑く感じる「室温ムラ」が発生することがあります。部屋全体にエアコンの冷気が行き渡るように、サーキュレーターや扇風機などの家電を補助的に使って、「室温ムラ」をなくすとよいと思います。


一般的な3LDKにエアコンとサーキュレーター(または扇風機)の位置を考えた配置例。
黄色【夏用】エアコンの下に設置。エアコンを背面にして冷たい空気を上に拡散する。
赤色【冬用】エアコンから離れた位置に、エアコンの正面または対角線上に向けて設置。天井付近にたまった暖かい空気を拡散する。
※リビング・ダイニングのエアコンを、①または②(もしくは両方)に設置した場合のサーキュレーターの位置は図のように設置する。
※参考間取り図: 3LDK+2WIC(68.63㎡)南向き住戸

直町さん 実際に代表的な3LDKの間取りを使って、エアコンの設置位置とサーキュレーター(または扇風機)を置く位置をご紹介してみました。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に流れるので、サーキュレーターは、夏と冬とでは上記の図のように置く位置を変えます。


機密性が高いマンションで、換気と給気を行い。快適に過ごすための24時間換気設備。

直町さん また、新築分譲マンションには24時間換気設備(マンションによって名称はさまざまあります)があります。これは必ず点けっぱなしにしておいてください。「節電のために24時間換気は時々オフにした方がいいのでは?」という方が稀にいらっしゃいますが、24時間換気には、結露やカビを防ぎ、室内の空気を回して常に新鮮な空気を入れ換える役割があり、年中点けっぱなしにしておく必要があります。

●温熱環境面から物件をチェックするポイント

【温熱環境面からのチェックポイント】

□ 間取り、方角、階数

□ 窓の位置・大きさ・窓性能(Low-Eガラスなど)

□ 換気設備:吸気口、換気扇の位置

□ バルコニーの形状

□ 建物の断熱性能・省エネ性能

——最後にこれから新築分譲マンションを選ぶ方に向けて、「夏の快適性」を判断する際にチェックしておきたいポイントを教えてください。

直町さん 年々夏の暑さが厳しくなっている日本です。物件を選ぶ時に、温熱環境の観点からも、お部屋の方角や窓の大きさをチェックしてみてください。従来は北向きの間取りを敬遠する傾向にありましたが、夏涼しく直射日光が当たらず、日中の光の変化がゆるやかなため、敢えて北向きの間取りを好む方もいらっしゃいます。また、角部屋は窓が多くなるため、風通しが良くなり、空気の流れが出来ます。
室内の空気の流れを間取り図に記載している物件も多くあります。ぜひその物件の断熱性能や空気の流れについて、積極的に質問なさってみてください。温熱環境面で、いろいろと参考になると思います。


これから永く住むことになるマンション。夏も冬も、快適な室内で過ごしたいものですね。新築分譲マンションの間取り図を豊富に紹介しているMAJOR7サイトで、各社の物件を検索してみてください。

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一級建築士 直町常容子

一級建築士事務所 直町建築設計室主宰。清水建設株式会社設計部を経て独立。個人住宅、2~3世帯住宅の設計、リノベーションを行う。顧客のニーズを丁寧に読み取り、80〜90歳代が自立した生活を続ける住まい設計を数多く手がける。50代以上の人々や障がいをお持ちの方の住まいに特化した設計やリノベーションを手がけるケアリングデザインアーキテクツ代表。
ケアリングデザインアーキテクツ

記事監修:直町常容子

取材内容は2026年8月18日現在のもので変更になる可能性があります。

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