
最新の構造や断熱性能を装備した新築分譲マンションは、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるように設計されています。しかし最近の猛暑を考えると、室内で過ごしていても、紫外線の影響に配慮したいものです。遮熱性能やUVカット効果があり、インテリアとしても美しいカーテンやブラインド選びについて、インテリアデザイナーの小野由記子さんにアドバイスしていただきました。
夏の遮熱対策、「光を遮ることなく熱を遮る」製品を選ぶ

インテリアデザイナーの小野由記子さん。
マンションや個人住宅・コマーシャルスペースのほか、世界遺産である京都・仁和寺の
文化体験型「食堂(ジキドウ)」や宿坊・松林庵などのインテリアデザインを手がけています。
——遮熱カーテンや遮熱ブラインドは、今人気ですか?
小野さん
最近は、新築入居時に窓周りの日射についてのお悩みやご相談が増え、UVカットや遮熱機能のあるカーテンやブラインドをお勧めすることが多くなりました。いまや必須機能ですし、メーカー側も対応すべく商品開発が充実してきました。
ただレースの場合、遮熱効果が高いものほど、透過性(カーテンが光を通す度合い)が低くなります。透過性の高さは、室内の明るさやプライバシーにも影響するので、どちらもバランスが釣り合った素材や製品を選びたいですね。
●遮熱性と遮光性の違い
・遮熱性:赤外線を遮って、室温を快適に保つ。採光性がある。冷房効率をよくする。
・遮光性:光を遮って、部屋全体を暗くする。遮熱効果もあるが、採光性はない。
●遮光率(カーテン/布製ブラインド)の等級(一般社団法人日本インテリア協会の基準)
1級:遮光率99.99%以上 人の顔の表情が識別できないレベル
2級:遮光率99.80%以上 99.99%未満 人の顔あるいは表情がわかるレベル
3級:遮光率99.40%以上 99.80%未満 人の表情はわかるが事務作業には低いレベル
●UVカット:(紫外線)を防ぐ。床や家具などのインテリアが日焼けする原因にもなる。
小野さんタワーマンションは、高層階からの景色を楽しみたいもの。でも都心だとビルやマンションが近距離に連立している場合もありますから、プライバシーも確保したい。日中は室温を快適に保つために遮熱しつつ、景色を楽しみたい、室内のプライバシーもある程度守りたいというニーズをかなえる製品も、最近は増えてきましたのでご紹介しますね。
●遮熱性能が高く、美しさも備えたカーテン

クリエーション バウマンの「SHINE TWO(シャインツー)」。
織りあげた生地を染色した後に、アルミニウムでメタライズ加工を施したファブリック。
透けすぎず、光·熱·UVをカットし、グレア(まぶしさ)も防止してくれる、人気の遮熱カーテンです。
→クリエーション バウマン「SHINE TWO(シャインツー)」
小野さん
レースカーテンというと白い生地が一般的ですが、こちらも遮熱機能のあるものを選びたいものです。そして最近は、白以外のカラーのレースカーテンもあります。
スイスのクリエーション バウマンは、テキスタイルの老舗メーカー。遮熱レースカーテンについては「世界のパイオニア」です。遮熱レースカーテンは、15アイテム95色揃っていて、色・柄のバリエーションが豊富。遮熱機能だけで選ぶのではなく、インテリアに合わせて、好みの柄や質感までちゃんと選べるのが嬉しい点です。
すべての遮熱レースカーテンで、公的機関による光・UV・熱の透過性・吸収性・反射性の実証試験データを提供している点も安心できます。

クリエーション バウマンの「ALU NET(アルネット)」。
生地裏面に金属加工を施したメッシュファブリックは、
ゴールド、シルバー、コッパーなどのメタルカラーの糸がスタイリッシュ。
高い遮熱機能と透け感を同時に実現します。
小野さんクリエーション バウマンの遮熱カーテンには、アルミニウムでメタライズ加工を施した薄い膜をカーテン生地に形成する高度な技術を採用しており、遮熱効果がありつつ、透過性にも優れているという、2つのニーズをちゃんと実現してくれますね。
●ブラインドやスクリーンもオススメ

タチカワブラインドのタテ型ブラインド「ラインドレープ ペア アンサンブル」。
1台のタテ型ブラインドに、
ドレープ(厚手生地)とレースのスラット(羽板)を交互に配置したもの。
光と視界を調整でき、眺望もプライバシーも、両方のニーズを叶えます。
→タチカワブラインド タテ型ブラインド「ラインドレープ ペア アンサンブル」
小野さんカーテンの他に、ブラインドやスクリーンもオススメです。昔のブラインドと比べると、最近の製品は、格段に機能もデザインもアップデートされています。私もよくインテリアの仕事で、導入をお勧めしています。
町屋の格子窓のようなタテ型ブラインドは、交互にドレープとレースのスラット(羽板、一般的にはルーバーとも呼ぶ)を配していて、スラットの角度を変えるだけで、採光や眺望を調整できます。

「ラインドレープ ペア アンサンブル」を
すべてドレープだけにした場合(向かって左)と、レースだけにした場合(右)の採光。
→タチカワブラインド タテ型ブラインド「ラインドレープ ペア アンサンブル」
小野さん「ペア アンサンブル」のレースは、生地の裏面に光沢糸を編み込んだ「ミラーレース」という生地を使用しています。また、遮熱性に優れたUVカット性能もある「フィラレ遮熱」のドレープを選べば、遮熱性も透過性も得られます。

タチカワブラインドの「プリーツスクリーン フィーユ ペア」。
1台のブラインドに、ドレープとレースの2枚の生地を上下に配置した「ペア」は、
上下の調整で採光と視線を遮ります。
→タチカワブラインドの「プリーツスクリーン フィーユ ペア」
小野さんタチカワブラインドの「プリーツスクリーンフィーユ ペア」は、生地部分に光が漏れるコード穴がないので、光が漏れてくることもありません。また奥行きが小さいので、窓枠内に取り付けた時のすきまが小さくきれいに収まります。

ニチベイのプリーツスクリーン「もなみグランツ」。
ツインスタイルは、不透明生地とシースルー生地を上下のどちらかに配置し、
採光を調整できます。
和紙や障子のような質感、和空間にも洋空間にも合います。
ニチベイのプリーツスクリーン「もなみグランツ」のツインスタイルは、上下のどちらかに透け感のあるシースルー生地を配して、外の景色や光を取り込むことができます。こちらもコード穴が見えずすっきりしたデザインとなります。遮熱効果のある生地が充実しているので、眺望性や調光性に優れた生地を選んで、ツインスタイルにするといいですね。和のスタイルにも洋のスタイルにも溶け込みます。
●カーテンやブラインドはインテリアを左右する要

天井高が高く、開口部の広い新築分譲マンションが増えています。
猛暑の遮熱対策もできてインテリアとしても美しい
カーテンやブラインドを見つけたいですね。
小野さん ウインドウ トリートメント(窓周りを装飾的に演出すること)であるカーテンやブラインドは、部屋の中で広い面を占めますし、インテリアコーディネートの大切な要素の一つです。部屋の大きさ、窓の高さ、インテリアスタイルとのバランスを取るように計画したいものです。 メーカーのショールームに行ったり、webサイトを見たりして、最新の種類・機能・デザインを知っておくと、いざ必要になった時に役立ちます。また、ふだんから意識して、好みのホテルなどの窓周りを見ていると、機能とデザインのバランスがわかってきますよ。
新築分譲マンション購入前から、遮熱効果の高いカーテンやブラインドを知って情報を持っておくことって大切ですね。モデルルームや間取り図を見て、この部屋にはどんなものを取り付けようとインテリアコーディネートを考えるのも楽しい時間です。もちろん、肝心のマンション選びはMAJOR7で検索してくださいね。
【MAJOR7で新築物件特集マンション一覧を見てみよう!】

一般社団法人ケアリングデザイン 代表理事、小野意匠計画代表。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科インテリア専攻卒業。株式会社乃村工藝社、ロンドン研修を経て独立。インテリアの企画からコンセプト、デザイン、デコレーションまで行う。文化学園大学、多摩美術大学非常勤講師(〜2017)。
記事監修:小野由記子
取材内容は2025年7月15日現在のもので変更になる可能性があります。