キッチンキャビネットで「定位置と定量」をととのえる!—エディター・インテリアデザイナー 加藤登紀子さん

MAJOR'S Column

2023年3月9日

キッチン、洗面所、バスルーム、お部屋の中でも水周りの場所は、毎日頻繁に使う大切な場所です。著書『心をととのえる水周りのインテリア キッチン・洗面・バスルーム』が人気のエディター・インテリアデザイナー 加藤登紀子さんに、水周りの中でも特に気になるキッチンの家具や収納についてお話を伺いました。

空きスペースに収まる機能的なキッチンキャビネットを


新築分譲マンションの独立型キッチンには、この間取り図のように
シンクの背面に、冷蔵庫置場と食器棚のためのスペースが空けてあることが多いです。
(造り付けの食器棚がすでに設置されている場合もあります)

水周りの空間、特にキッチンは「使っては片付けて」の繰り返しが多い場所。何かと煩雑になりがちです。マンションを買ったら、理想のキッチンをととのえたいと考える方も多いはず。最近のマンションは収納豊富ですが、やはり食器類もきちんと収納したいものです。

——キッチンスペースに置く食器棚はどのようなものがいいのでしょうか?

加藤さん間取りやキッチンのサイズによりますが、マンションのキッチンでは、シンクの背面に、幅180㎝程のスペースが設けられていることがよく見られます。既成の食器棚もありますが、作業と空間の快適性を考えればスペースに合わせてオーダーしてみるのも一案です。使い勝手を考え抜いたキッチンキャビネットがあれば、気持ちのいい「モノの持ち方」が身に付きます。


180㎝幅に収まるキッチンキャビネット(幅180×奥行60×高さ220㎝)。
向かって左下の大きい引き出しに、ごみ箱2個が収まります。
下段の引き出しは少しずつ深さを変えてあり、無駄のない収納が考えられています。
(FILE)

加藤さん書籍でもご紹介しているのが、「FILE」のキッチンキャビネットです。
「FILE」は、代表の石川敬子さんがご自身の経験値をベースに、住む人の暮らしをより心地よく豊かにする空間づくりを考えたデザインブランドです。東京の一軒家のショールームはご自宅を兼ねていて、「FILE」のプロダクトを使った暮らしを見せていただけます。
なかでもオーダーのキッチンキャビネットは、アイデアが満載です。


180㎝幅に収まるキッチンキャビネット(幅180×奥行60×高さ220㎝)の別パターン。
下段左右の引き出しは、片側がごみ箱用、
もう片方が炊飯器などを収めるスライド棚として活用できます。
(FILE)

加藤さん自分は収納下手……と思い込んで、キッチンの収納に困っていらっしゃる方は多いですね。
けれど、その箱自体がそのご家庭の生活にフィットしていないのかもしれません。
石川さんからうかがった収納の大原則は「ものが一目で見渡せる」「出しやすくてしまいやすい」「定位置と定量を決めること」。実際しまいっぱなしで忘れ去られたもの、必要以上のストック品で溢れているキッチンは少なくないでしょう。ものを循環させていくことは、SDGsの今、大切な課題です。キッチンキャビネットで「収納の定型」をつくることは、暮らしを心地よく循環させる手助けになると思います。

キッチンキャビネットの棚&引き出し活用方法


カウンターのあるキッチンキャビネット(幅130×奥行60×高さ220㎝)は、
引き残しのないフルスライドの引き出し、
ジューサーなどの家電が使いやすい92㎝高さのカウンターなど、
一目で見渡せて取り出しやすく使いやすい設計がなされています。
(FILE)

城さん実際にFILEのキッチンキャビネットの中を見てみましょう。
カウンター下の引き出しは全10杯、深さは8㎝・11㎝・16㎝の3種類。フルスライドで引き出せるので、ストック品なども一目瞭然です。
上部の開き戸は、グラスや食器を取り出しやすくするために、棚板の数は多めに設定されています。


上部の扉付きの棚を開けたところ。
下段の棚は、よく使う茶缶やティーポット(右)、
ワイングラスやマグカップ(左)が取り出しやすい高さになっています。

カウンター下の引き出し・深さ8㎝には、ふだんよく使うスパイス類を入れて。
コンテナは「OXO」のロックトップコンテナで、上から中味が分かるようになっています。

カウンター下の引き出し・深さ11㎝には、カップを重ねずに収納。
カップ&ソーサーは18セット入っています。

カウンター下の引き出し・深さ16㎝には、缶詰、小麦粉、パスタなどのストック品。
立てたり寝かせたりして、「顔が見える」収納を心がけます。

加藤さん引き出しの3種類の深さも、非常に考え抜かれています。ご覧いただいたように、一目で見渡せてデッドスペースがありません。こうした優秀なキッチンキャビネットがあれば、キッチン周り小物もきれいに収まります。作業性がよくなり、時短にも繋がるのではないでしょうか。

最新スペックの調理家電


真空機能のあるバキュームドロワーは、保存と調理のマルチな活躍をします。
専用袋に食材と調味料を入れてボタンを押すだけで真空にパッキング。
数分で味の染み込んだサーモンマリネができます。もちろん食材の保管にも大助かりです。
(ASKO/ツナシマ商事)

電気オーブン、スチーマー、スチームオーブンの1台3役のスチームオーブン。
蒸す、煮る、炊く、焼く調理がこれ1台でできます。低温真空調理モードも完備。
ただグリルしただけの野菜もおいしく仕上げます。
(ASKO/ツナシマ商事)

加藤さんこちらは、FILE京都のショールームで実際の調理プロセスを見せていただいた最新の調理家電です。食にこだわりのある方は、バキュームドロワーとスチームオーブンをセットで導入する方もいらっしゃいます。ご飯の温め直しもスチームオーブンで代用できるので、電子レンジはもう必要ないという方もいらっしゃるようです。両方ビルトイン仕様になります。

暮らしの根幹を支える水周りを快適に


今回の記事は、加藤さんの著書
『心をととのえる水周りのインテリア キッチン・洗面・バスルーム』から紹介しました。
他にも水周りの実例やアイデアが数多く取り上げられています。

加藤登紀子著『心をととのえる水周りのインテリア キッチン・洗面・バスルーム』(光文社)

加藤さん手を洗い、食事をつくり、入浴をする。水周りは暮らしの根幹、身体と心を支える大切な場所です。新居のキッチンにぴったりの収納がととのえば、自然と明日への元気が育まれていきます。紹介したキッチンキャビネットを参考に、自分に合ったモノを見つけていただければと思います。


マンション探しで素敵なキッチンを見ると夢が広がります。間取り図を見ながら、どんなキッチンにするか計画してみてください。

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エディター、ライター、インテリアプランナー 加藤 登紀子さん

東京生まれ。日本女子大卒業。 フリーのエディター、ライター。 「住む人を幸せにするインテリア」をライフワークとし、 国内外の1,000軒以上の家を取材。幅広いネットワークをもち、 ライフスタイルに関わる企画も多数手がける。また「デザインオフィスシュエット」を主宰し、住宅・商業施設のインテリアコーディネートも行う。著書に、雑誌『HERS』の連載をまとめた『大人の幸せなインテリア』、『心をととのえるインテリア』、『心をととのえる水周りのインテリア~キッチン・洗面・バスルーム』(すべて光文社)がある。

→インスタグラム@tokiko.maison

記事監修:加藤登紀子

※掲載の商品情報は、書籍発売当時(2021年8月30日)のものです。予告なく終売・仕様変更となる可能性があります。

※写真撮影:金子美由紀(Nacása & Partners Inc.)

※取材協力:FILEASKO/ツナシマ商事光文社

2023年3月9日

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