手描きのインテリアプラン提案が、わかりやすくて大好評のインテリアコーディネーター東樹麻理子さん。今回は、子育て中のママ2人からのインテリア相談にお答えいただきました。お2人共ちょうど入居して10年以上が過ぎ、そろそろリビングのインテリアチェンジや小学校高学年になったお子さんのために子ども部屋を整えたい時期に差し掛かってきたそうです。
リビングのソファ問題+雰囲気をシフトチェンジするには?
一番目のご相談者の坂井美穂さん。
小学生高学年の男の子と夫の3人暮らしです。
3LDK(61平米)の部屋。
リビングにある勉強机は、6畳の子ども部屋に移動したいと考えています。
坂井さん息子が大きくなって、3人家族の誰かが2人掛けソファに座れなくて床に座っている状態です(笑)。10年使っているソファの張り地もへたってきたので、3人掛けに買い替えるべきか、もう一脚椅子を増やすべきか悩んでいます。
東樹さん現在の2人掛けソファ+パーソナルチェアか3人掛けのソファに買い替えるか、どちらもよいと思います。2人掛けソファはせっかく良いものをお使いなので、購入した家具屋さんで張り替えてもらい、一人掛けのパーソナルチェアを買い足すことをおすすめします。
3人掛けのソファに買い替える場合、問題はサイズですね。3人掛けソファだと210〜240cmの幅になります。いまの位置では邪魔になるので、壁面に移動した方が良いでしょう。それに、現状だとテレビが窓を背にして配置されています。窓からの採光を遮ってしまいますし、逆光で画面が見づらいので、窓を背にしてテレビを置くのはお勧めできません。ソファを壁面に移動して、その対面にテレビが来るように配置した方が良いですね。
現在のリビングのレイアウト。奥の扉が子ども部屋です。
坂井さん勉強机は子ども部屋に移動したいのですが、本棚はこのままここに置きたいです。リビングはナチュラルカラーですが、実は夫と、ブラックを取り入れたインテリアへシフトしたいと話していて…。手始めに、照明をDULTON(ダルトン)のブラックアイアンのものに替えたいと考えています。
北欧風ナチュラルテイストに、ブラックアイアンを取り入れた提案イメージ。
現在の2人掛けソファに、少し個性的なデザインの1人掛けソファをプラスします。
温かみのあるラグを敷いて、くつろぎの場としてのゾーニングを明確に。
東樹さんDULTONはインダストリアル(工業的)テイストになりますが、現状の北欧風ナチュラルテイストと好相性だと思います。ブラックアイアンの照明に合わせて、壁面にブラックフレームのポスターをディスプレイし、ブラックアイアンとガラストップのテーブルを取り入れると、全体に引き締まってモダンな印象になります。パーソナルチェアを選ぶ際は、既存のソファの色味に合わせようとするのではなく、逆に異なる色味や形で遊び心のあるデザインのものを選ぶと、こなれたインテリアになるのでお薦めです。ソファまわりのラグの色は、あまり主張しすぎない汚れが目立たないグレージュ(グレー+ベージュ)がオススメです。
子ども部屋が狭くてベッドと机でいっぱいになりそう!
もう一つの相談は、長男の子ども部屋を勉強しやすく整えること。
しかし、棚や本棚がたくさんあって狭くなるのが悩みです。
坂井さん子どもが高学年になったのを機に、おもちゃだらけの子ども部屋からお兄さんらしい部屋にしてベッドや勉強机を置きたいと思っています。でも部屋が狭くてベッドでいっぱいになりそう。ロフトベッドも検討していますが、部屋が暗くなるのも良くないし、どこから手をつけて良いやらお手上げ状態です。
棚は思い切って取り除き、収納付きベッドを置いて、衣類や物をそこに収めます。
東樹さん2つの棚を処分して収納付きベッドにしてみてはいかがでしょう? 長さ2m×幅1m位で収納力はありますし、高さがない分ロフトベッドより圧迫感がありません。背の低いタンスはぬいぐるみを飾っていますが、大きくなったら必要なくなりそうです。移動して代わりにリビングの勉強机を入れましょう。
またリビングも子ども部屋も遮光カーテンを使っていらっしゃいますが、自然な目覚めを促すためにも、子ども部屋に遮光カーテンはおすすめしません。部屋を広く見せる白いブラインドか普通のカーテンに取り替えてはいかがでしょう?
坂井さんなぜかカーテンは遮光だと思い込んでいました。目から鱗なことばかりでした(笑)。
バリから取り寄せたソファの存在感がありすぎる?
2人目の相談者は、関川房代さん。
小学校高学年の長女、低学年の長男、夫の4人家族です。
お父様が亡くなって実家を処分した際の荷物がまだ片付かないことも、お悩みのひとつ。
3LDK(75平米)の部屋。
リビング・ダイニングに隣接した和室は、ふだん開けたままで使用。
長女が中学生になるまでは、2人で一緒の子ども部屋(寝室)を使う予定。
関川さん15年ほど前マンションを購入したときに、インテリアコーディネーターさんと相談して、バリ・モダンテイストの家具を買い揃えました。バリから取り寄せたシングルベッドほどある大きなソファやテーブル、ダイニングテーブルからカーテン、床までを濃い茶系でまとめています。子ども2人が成長したいま、リビングの中心を占めるソファの存在感が強すぎて、もっと小さなソファに買い替えるべきか悩み中です。
東樹さんわざわざバリから取り寄せたほどですから、お気に入りのソファを処分するのはもったいない気がします。バリ・モダンのテイストでシックにリビングをまとめていらっしゃいますが、少し地味で暗い印象を与えます。イエロー、グリーン、薄いブルーなどのアクセントカラーを取り入れて、リビングの雰囲気を明るくしてみてはいかがでしょう?
たとえば、アクセントカラーにイエローを取り入れたインテリア提案。
少し光沢感のある明るいイエロー系のオリエンタル調花柄のカーテンに替え、
観葉植物やフロアランプで部屋に潤いとリラックス感をプラスしましょう。
東樹さんイエローは、心理的にも気持ちを明るく前向きにする効果が期待できます。色を加える場合は、1か所だけだと唐突に感じるので、カーテンと同じ色合いのクッションをソファに置き、色を繰り返し使うことで馴染ませます。面積の広いカーテンやクッションカバーを替えるだけでも雰囲気が一新しますよ。
関川さんイラストを拝見して、イメージチェンジに俄然意欲が湧きました(笑)。できるところから取り入れていこうと思います。
和室を子どもの勉強部屋にしたいけれど制約が多くて悩む
現在の和室のレイアウト。家具の色が統一されていないのも気になる点だそうです。
関川さんリビングに隣接した和室に長女の勉強机を置いていますが、新たに長男の机も置いて、2人の勉強部屋にしたいと考えています。ただ中央に1畳分の床下収納があって、そこを避けて家具を配置しないといけないのです。いつも和室の扉は開けたままでリビングからすぐ目に入るので、家具の色がバラバラなことも気になります。
東樹さん第一印象として、和室にある家具が多いですね。少し家具の取捨選択をしてはいかがでしょうか? おもちゃ棚はそろそろ不要になるでしょうし、処分を考えてもいいかもしれません。気になる家具の色は、自分でペインティングして統一してみてもいいですよ。
勉強部屋のレイアウトは、
子どもの勉強机を2つ並べて、おもちゃ棚を処分するのがオススメ。
東樹さん2つの勉強机を並べて細長いラグを敷き、勉強エリアのゾーニングを明確にします。ラグの色は、隣接しているリビング・ダイニングのフローリングの色と揃えれば全体の統一感が出ますよ。
関川さん実は数年前に父が亡くなって、実家の荷物の入ったダンボールや仏壇などがまだ片付かないまま。それもあって家が片付かなくて、子ども部屋を整えたいと考えても、どこから手を付けていいのかわからなくなっていました。一人で悩んでいたけれど、相談してなんとなく気持ちの整理がつきました(笑)。
東樹さん思い出のある物は、関川さんの気持ちが落ちつくまで無理せずに置いておき、それ以外のものから片付ければと良いと思います。「全部片付けないと!」と思うとブルーな気分になりますが、1か所だけでもキレイになるとすっきりとして気持ちが前向きになりますから。関川さんの場合は、まずリビングに明るい色を取り入れて、気持ちを切り替えてみると良いですね。
偶然ですがご相談様は2人共、入居から10〜15年ほど経ってお子さんが成長したこともあり、リビングや子ども部屋のインテリアチェンジが共通したお悩みでした。子どもの成長に応じて、10年、20年先のライフスタイルの変化にもうまく対応出来るインテリアプランを考えておくのが重要なのですね。これからマンション購入を検討している皆さんも、少しこのことを念頭に入れておくと良さそうです。
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東樹 麻理子(とうじゅ まりこ)さん
インテリアコーディネーター、生活空間コーディネーター、フラワーデザイナー。フラワーアレンジ教室Atelier Ecru主宰、LAVENDEL代表。大手インテリア専門商社に勤務。インテリアコーディネーターとして個人宅、店舗のコーディネート、インテリアセミナー講師など、多岐にわたる業務に従事。現在は、フリーのインテリアコーディネーターとして主に住宅のインテリアコンサルティングを手掛ける。
記事監修:東樹麻理子
2019年5月30日