23区内に東京ドーム3個分の敷地・雑木林5万本を有するマンション「サンシティ」で、住民が自ら育んだ資産価値

MAJOR'S Column

2017年6月27日

23区内に東京ドーム3個分という広大な敷地を有し、雄大な緑の環境にある大規模集合住宅サンシティ。多数の賞を受賞している豊かな緑の環境は、実は住民ボランティアの力で支えられています。今回は、サンシティグリーンボランティアの方にその魅力の秘訣を伺いました。

豊かな緑の環境とコミュニティが魅力のマンション「サンシティ」


東京ドーム3個分の広大な敷地に1,872戸・約5,000人が住むサンシティ全体図。
黄緑色の部分がすべて緑地です!

東京都板橋区にあるサンシティは1977〜1980年にかけて、東京都板橋区に開発分譲された大規模集合住宅です。武蔵野の丘陵地形を生かした広大な敷地約12万5千㎡(9.7ヘクタール:東京ドーム3個分)に建てられた14棟、1,872戸、居住人口約5,000人。築約40年経っても人気のマンションである秘訣は、都心へのアクセスの良さと生活環境の充実、部会やクラブ活動を通じた住民コミュニティの形成、きめ細かな管理による資産価値の維持など数多く挙げられますが、何といっても集合住宅としては都内有数の豊かな緑の環境に要因があるのではないでしょうか。

この広大な敷地の植栽を管理しているのは、サンシティグリーンボランティア(以下SGV)と呼ばれる住民有志の方々だというから驚きです。関係者の皆様にこれまでの経緯についてお話を伺いました。

ジャングルのように生い茂った植栽、20年前に住民有志で伐採したのがSGVのきっかけ


(写真向かって左から)サンシティ管理組合理事長 森さん、
サンシティグリーンボランティア世話人代表 金本さん、
理事・植栽環境部会長の鳥田さんに、お話を伺いました。

——サンシティを訪れて驚いたのは、森の中にマンション棟が点在する緑豊かな環境です。これほどの環境を維持するには、40年の間に大変なご努力があったのではないでしょうか?

金本さん私は1977年の竣工当初に入居した住民の一人です。マンション建設時に植えた樹木の中には、成長の早いケヤキなどもあり、10年も経つと驚くほど成長して、あたかもジャングルのような様相になってしまいました。植物が成長するエネルギーは凄いものです。住戸近くで生い茂った樹木のおかげで、低層階の住戸では、太陽を遮られ、虫に悩まされるようになりました。ところが高層階の住戸では、低層階の被害の実情がわかりません。伐採しようとすると「なぜせっかくの緑を伐採するのだ」と反対され、“こちら立てればあちら立たず”な状態に陥ってしまいました。また、高樹齢化や病害虫にかかった樹木の倒木の危険、立木の過密化などによって見通しが悪くなって夜間の一人歩きを避けたくなる場所も一部にはあり、景観だけでなく安全・安心まで損なわれかねない深刻な事態に陥っていました。

——住戸間の弊害の格差だけでなく、実質的な危険や景観の問題も生まれていたのですね。

金本さんサンシティが豊かな緑の環境に恵まれているがゆえの問題です。住戸による弊害の格差は、多数決で決めて平等に解決するような簡単な問題ではありません。管理組合は植栽管理問題を解決する必要がありました。専門家に相談して調査した結果、敷地内の樹木の剪定、枝落とし、伐採を実行するには、当時の植栽管理予算の1年分に相当する約800万円もの費用が新たに必要になるという結果でした。しかし住民決議で新たな予算承認をとるのは難しく、理事役員らがボランティアとして植栽管理を行うしかない、ということでSGVが設立されました。

——やむを得ない状況に対して、住民が立ち上がった訳ですね。

金本さん伐採しなければならない樹木は670本と算出されましたが、当時の住民6,200人の共有財産です。住民の合意形成を得るために、1994年に専門家を招いて「サンシティみどりの植栽シンポジウム」を開催し、植栽の現状を伝え、討論と質疑応答を行いました。またシンポジウムの結果は、全棟に掲示し、サンシティの機関誌「サンシティライフ」に掲載して、周知徹底を図りました。その後賛否意見の提出を促した結果、反対意見もなく、ようやく670本の伐採実施が決定しました。

伐採作業は素人ばかり、しかし「自分達でマンションの森林を守る」意識が芽生える


3つのエリア分けが行われたサンシティの緑の管理図。

サンシティの植栽コンセプトは、当時サンシティに住んでいた学識者の方が1986年に提案された「サンシティ緑の管理の目標」というコンセプトに基づいていています。
これは、サンシティの植栽を住戸近くの「庭園(ガーデン)」、住民のための「公園(パーク)」、武蔵野の自然を残す「森林(フォレスト)」という3つのエリアに分けて、各エリアに適した管理目標を考えるというものです。サンシティの植栽管理は、いまもこの考えを基本として行動しています。伐採計画も、この3つのゾーニングに合わせて計画されました。

——伐採決定後はボランティアが実作業されたということですが、どなたか専門家はいらっしゃったのですか?

金本さん住民ボランティアは、みんな素人でした。管理組合で環境専門部会を組織し、住民参加の森づくり事例を参考にして、段階を追って伐採計画を立てて、その都度ボランティアを募集し、みんなで伐採作業を行いました。結局、住民ボランティアに手による伐採作業で約600万円以上の費用を浮かすことができました。

鳥田さん私は当時のことを知らないのですが、1996年の機関誌「サンシティライフ」を見ると、「私達の街だから出来ることは私達の手で行いたい」「汗びっしょり、楽な作業ではなかったが、これもすべてサンシティを住みやすくするための捨石的存在だと思われます」など、参加者からの建設的な意見が多く、「私達のサンシティ」へ住民の意識がチェンジしたのを感じますね。

金本さん伐採した樹木や枝葉は、斜面地の土砂流出防止のための土留めに用いるなど、業者任せだとここまできめ細かく廃棄物の利用や処理を考えることはなかったと思います。森は自分達の財産だという思いが深まった気がしました。


伐採した枝葉は、小型チップ機でその場で処理して労力軽減や作業の効率化を図る。

金本さん達は、この伐採作業をきっかけに、サンシティの植栽を守っていくには2年交代制の管理組合理事ではなく、組織だって継続的に続けていかなければならないことを痛感し、SGVの設立を決意。理事会から植栽部会に予算を割り当てて、SGVに植栽の自主管理を委託するというスタイルをとっています。

金本さん植栽管理は、1〜2年の短期間で結果は出ません。10年単位で、ようやくやってきたことの成果が見えてくるものです。SGVは理事会とは別組織にしたので、活動計画については状況に応じて自由な採択が許されています。SGVは今年2017年で20年活動してきたことになりますが、当初は素人だったメンバーも、20年の時間を掛けてレベルアップしてきました。いまでは伐採や植栽管理の専門家ですよ(笑)。

SGVスタート時会員は約40名でしたが、現在までに年間44回、延べ年間平均出席者1,200〜1,400名という規模で約20年間の活動を行っています。また、すべての植栽管理をSGVが行うのではなく、危険度や負荷の高い高所での作業については業者に依頼するというフレキシビリティもあります。


サンシティの見事なシンボルツリー、
樹齢250年以上といわれる御神木「スダジイ」。

——SGVと専門業者の作業分担はどのようなルールで行われているのでしょうか?

金本さん7メートル以上の高木については専門の植栽業者に依頼し、7メートル以下の低木の剪定・枝葉落とし・伐採、生け垣の剪定、下刈り、土留作業などについてはボランティが担当して棲み分けしています。それでもSGVが年間約1,300万円の作業を行っていることになります。
伐採については、個々の棟や住戸の住民に理解していただく作業は欠かせません。
例えば、住戸の近くに高い木があると日当たりなどの問題が出るため、住戸まわりの「庭園(ガーデン)」エリアでは、ベランダから外に向かって8メートル以内の場所には、高さ7メートル以上の木を置かないという基準を策定。住民の皆さんにそう説明して伐採させていただいています。防災の観点から倒木の危険性がある樹木については、10年がかりで伐採の理解を得たこともあります。マンションの住環境を守るには、丁寧なコミュニケーションが必要です。

植栽活動から生まれた波及効果は、コミュニティ力アップなど無限大


SGVが設計・製作した竹垣で囲み、
美しくライトアップされた竹林。

——SGVは植栽イベントも数多く行っていらっしゃるとか?

金本さん結局SGVの皆は、緑が好きなのですよね。夏になって雑草が生い茂れば、住戸まわりの「庭」エリアに雑草が生えないためにはどうしたらいいか、苦心してアイデアを募って実施していくという繰り返しです。
SGVは、原木椎茸づくり、焼き芋、炭焼き、筍掘りなどのイベントの他、過去には近隣の小学生を集めて敷地の落ち葉を使った「落ち葉図鑑づくり」や「バードウォッチング」などを行ったこともあります。

鳥田さんサンシティには約625㎡の竹林があって、現在100本ほどの孟宗竹が育っています。1997年頃には、近隣の人が筍を勝手に採ったり折ったりするので瀕死の状態でした。うちの娘が幼稚園くらいのときに、勝手に竹林に入って筍を掘ってきたこともあります(笑)。SGVが竹垣をつくって、3年位かけて100本ほどの竹林を整備しました。竹林以外のエリアに広がらないよう、毎年間引きや肥料をやって管理しています。

——植栽活動がきっかけとなって、マンションコミュニティに良い影響はありましたか?

森さん四季の移り変わりが感じられる緑の環境そのものがマンションの資産価値であり、人を惹きつける魅力なのだと思っています。植栽活動を通じて住民の心もつながりました。SGVだけでなく、各棟の住民が、自主的に落ち葉を拾ってくれるようになりました。住民全員に「サンシティの緑を守る」という共通の意識が根付いたのでしょうね。

金本さんボランティア活動で一緒に皆でお昼を食べると、ふだん銀座の数千円のランチを食べていた元エリートサラリーマンの方が、ボランティアにお渡ししているスーパーのお弁当とビール1缶を「うまい、うまい」と喜んでくださる。一緒に汗を流して苦労を共にした時間が、お互いの垣根をポーンと越えて心が通じ合う瞬間になっているのだと気付かされます。

住民が考える資産価値とは?故郷としての「巣戻りマンション」


例年行われる「サンシティ祭り」の様子。
子ども達が楽しそうです。

——SGVの植栽の自主管理は、資産価値の面でも影響があると思われますか?

鳥田さんサンシティの現在の中古取引価格は、当初購入したときと比べると、むしろ上がっています。
もちろん駅からの近さや、生活環境の便利さも要因でしょうが、植栽がきれいに維持管理されている見た目も、資産価値が高い要因のひとつではないでしょうか?

森さんサンシティの資産価値は、高く転売するためのマンションの資産価値だけではなく、住民の皆さんが心から気に入って長く住んでいるという点が特徴です。皆さんが住み心地に満足しているというのが感じられます。
サンシティは「巣戻りマンション」とも呼ばれていて、お子さんが結婚後に、親の住むサンシティ内の別住戸に戻ってくるケースが多くあります。若いお子さん世帯の方々にお話を伺ったことがありますが、子世帯が結婚してサンシティに戻ってくる理由は2つです。①高齢の親の近くに住みたい②同じマンションを買うなら自分が住んでいた緑豊かなマンションに帰りたいという思いです。親との近居が安心、住み慣れている、資産価値も高い、緑が多い、教育や病院などの住環境が整備されているなど、子育て世帯に欠かせない要素が多いからでしょうね。

鳥田さんまた、サンシティの緑の環境は温暖化防止に貢献しています。駅周辺とサンシティ敷地内「滝の上」の、夏場の気温差を比較したことがありますが、日中の駅前との温度差は約3.3℃。サンシティに入ると、体感温度でも5℃位違います。この緑化効果を評価いただき、「緑の都市賞」受賞など数々の受賞歴があります。

——ご苦労もあったけれど、20年間の努力が結実してきているかたちですね。最後にSGVの今後の課題は何でしょうか?

金本さんグリーンボランティアの若返り化は、長年の課題です。発足当時60代だった主要メンバーは現在80代。セミプロ並みに培ってきた技術やノウハウの継承をするためにも、若い世代の参加が望まれます。

鳥田さんもちろん一気に若返りする必要はなくて、現在団塊の世代が管理組合の担い手となっているので、「巣戻り」で戻ってこられた若いお子さん世代に期待したいところです。

森さんサンシティは、SGV以外に、数多くの芸術系・運動系の趣味のクラブ活動が盛んです。住民同士の交流がクラブ活動を通じて何重にも重なっていて、幹の太い住民交流があります。SGVが20年かけてサンシティの森を守ってきたように、こうした住民交流の輪が、サンシティのシンボルツリー「スダジイ」の木のように太く豊かなコミュニティの枝葉をかたちづくってくれればいいですね。


マンションの植栽の課題解決のために住民ボランティアが集結し、予算削減の実現だけでなく、コミュニティの意識を変えることにも成功したサンシティ。ボランティアによる緑の環境の維持、ヴィンテージマンションとしての資産価値を維持している点は、数々の後輩マンションがロールモデルとして参考にしているほどです。
40年経っても資産価値が下がらない、サンシティのような上質なロングライフマンションを目指すには、住民参加が欠かせないということがよくわかりました。逆に考えれば、これからのマンションをいかに良く変えていくのかは、住民の意識次第にかかっていると言えます。これからマンション購入を検討している方々の参考になれば幸いです。

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サンシティ

東京都板橋区中台にある日本有数の大規模集合住宅。1977〜1980年にかけて開発分譲された、敷地面積約12万5千㎡(9.7ヘクタール:東京ドーム3個分)の広大な敷地に立てられた14棟、1,872戸、居住人口約5,000人を擁す。雑木林5万本、集合住宅としては都内有数の豊かな植栽を自主管理していることでも有名。

⇒公式HP

2017年6月27日

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