今回ご紹介する人気の街の住みごこちは、川崎です。
JR川崎駅は現在大規模な拡張整備が進み、駅前には大型商業施設が建ち並び、ますます活気溢れる街へと進化しています。今回は、川崎経済新聞の編集長 田村寛之さんや、街の活性化を推進する「ハッピーサークル」代表の徳植由美子さんに、川崎の街の住み心地を伺いました。
新しい川崎は、ダイバーシティ(多様性)の街として成長している
川崎経済新聞 編集長の田村寛之さん。
田村さん僕は5年ほど前に、川崎駅近くに引っ越してきました。川崎というと、工場や労働者の街という一面的なイメージがあると思います。僕もそうでした。しかし、ここ数年でどんどん街が変化しています。人口も増えているし、面白いことをやりたい若者も集まってきている。
一方で昔から住み続けている地元の人もいて、新旧の人々がお互いを受け容れながら、街全体がいい意味で変わろうとしている気がする。雑多な川崎のイメージも、映画「ブレードランナー」の未来都市のように、外国人も含めてさまざまな人々がいるカッコいいものに転化できる。その多様性が、川崎駅周辺の魅力なんじゃないでしょうか。
田村さんが運営するコワーキングスペース「創荘〜soso〜」。
築55年のビルの古い雰囲気をそのまま残したリノベーションがなされています。
田村さん労働者の街といえば、この「創荘〜soso〜」がある日進町エリアがまさにそうです。日進町は、高度経済成長時代に工場労働者が泊まる簡易宿泊所が建ち並んでいた場所ですが、ここにもマンションが建設されて新しい住民が増えつつあります。
「創荘〜soso〜」が入っているこのビル「unico A」は、築55年の古いビルをリノベーションして、カフェ、クラフトビールのブルワリー、デジタル木工工房VUILD、中目卓球ラウンジ川崎分室など、多種多様な業種が集まって、地域に根ざした共創の場をつくりだしています。
——昔ながらの川崎の街に、新しい拠点がレイヤーのように重なっているんですね。治安はいかがでしょうか?
田村さん川崎というと治安が悪いというイメージがあるかもしれませんが、21ある大都市(政令指定都市および東京都区部)の中で、川崎市は人口千人当たりの刑法犯認知件数が、横浜市と並んで最も少ないんですよ(※1)。刑法犯認知件数当たりの検挙率も、横浜市に次いで高いし、交通事故発生件数も最も低い。実は治安の良い安全な街です。それに平成27年の国勢調査によると、平均年齢も21都市中最も低くて42.8歳、若い世代が多い都市でもあるんです。
※1 川崎市「平成27年版大都市データランキング カワサキをカイセキ!」
若者が多い街・川崎駅周辺では、自然発生的に面白いことが起こっている!?
昔の靴屋さんのショーウインドウをそのまま活かした、
味わいのあるMOOSE COFFEE(むーすこーひー)。
田村さん自治体も街の人も2020年に向けたインバウンド施策に取り組んでいて、川崎駅周辺は街全体が活気付いています。若者が川崎に集まってきて、自然発生的に自分たちで面白いことをやり始めている気がしますね。
川崎駅東口エリアの貝塚商店街には、昭和30年代に建てられた靴屋さんを改装して、MOOSE COFFEEというハンドドリップのコーヒーショップをやっている30代の店主 松田佳祐君という若者がいます。お店にはコーヒー好きな若い子達も来るし、近所のおじいちゃんもやってくる。自然に地元に溶け込んでいている。都内に比べれば賃料も安いし、いろんな意味で若い世代が新しいビジネスを起こしやすい街なんじゃないかなと思います。
簡易宿泊所をリノベーションしたゲストハウス「日進月歩」。
若手アーティストが「川崎らしさ」を表現した内装の部屋が若者や外国人旅行者に人気。
田村さん「unico A」をプロデュース・施工・リーシングまで手掛けた建築・不動産会社のNENGOさんは、日進町の築55年の簡易宿泊所をリノベーションしたゲストハウス「日進月歩」も運営しています。昔ながらの簡易宿泊所を、新しく甦らせた、いかにも川崎らしい試みのひとつです。
川崎駅前には、ラゾーナ川崎プラザや川崎アゼリア、LA CITTADELLAといった大型商業施設がある一方で、こういった昔ながらの川崎らしい施設がリノベーションされて共存している。見方を変えれば、川崎には独自のコンテンツが豊富にある。そこが川崎の面白い点ですね。
川崎駅東口の例:一日2万人を集客した銀柳街「ウィロードマルシェ」
銀柳街「ウィロードマルシェ」は、
「川崎らしさ」を追求した地元イベントとして大盛況でした。
田村さん川崎駅東口には、昔から銀柳街というアーケード商店街があるんですが、我々もその活性化のお手伝いで関わっていて、今年の5月の連休には銀柳街「ウィロードマルシェ」というイベントを開催しました。
川崎の地場野菜や特産品のマルシェ「カワサキノメグミ」や、地元の子育てママの手仕事作品の販売や手作り体験、ダンスパフォーマンスなどを2日間にわたって繰り広げ、LA CITTADELLA で毎年行われている「はいさいFESTA」もあって、1日2万人位の人が集まりました。
——川崎では、こうした地元イベントやエンターテインメントが活発に行われているのですね。
田村さんそうですね。チネチッタを始めとした文化施設も多いですし、土日に都内へ出かける必要はないですね。スポーツでは、サッカーの川崎フロンターレはもちろん、プロバスケットボールの川崎ブレイブサンダースがぐんぐん人気が出ていて、地域ぐるみでスポーツを応援しています。
川崎駅西口の例:地元に根ざした個人商店が「街ゼミ」を開催!
川崎駅西口方面の南幸町にある新岩城菓子舗の三代目女将 徳植由美子さん。
毎朝焼きたての「朝どら」焼きを始め、地元農家の旬の素材を使った和菓子を販売している。
川崎では、草の根的ともいえる地元の個人商店の活動も活発です。
創業昭和6年の老舗和菓子屋さん新岩城菓子舗の徳植由美子さんは、幸区・川崎駅西口周辺の商業者(店舗)を中心に立ち上げた「ハッピーサークル」の代表を務め、地域コミュニティ活性化のためのイベントを手掛けています。
徳植さん「ハッピーサークル」は、地元のお店の方々と8年前から立ち上げました。
今年6月に開催した商店の専門知識や技術を学ぶ場「街ゼミ」では、近隣の会員店舗12店が協力してくれて、カレー屋さんの「本場インドの人が教えるカレー」、居酒屋さんによる「三種類の日本酒の飲み比べ」などの講座を開催して好評でした。うちでは親子連れの方に和菓子作りをお教えしました。「街ゼミ」をきっかけに、地元のお店を知ってもらえれば嬉しいですね。
夏の和菓子「紫陽花」と「ひまわり」作りに挑戦! 親子で参加できる「街ゼミ」の様子。
イベントをきっかけにお店へ立ち寄るお客様が多いのだそうです。
——昔から地元で営んでいる和菓子屋さんとして、ご近所付き合いはいかがですか?
徳植さん駅前マンションにお住まいの親子連れの方々も、小学校での和菓子作り体験授業をきっかけに、お店に来てくれるようになりました。いまでは店の前を通学する子ども達は顔なじみです。
東日本大震災後に計画停電が行われたときには、ロウソクを点けてお店を開けてお茶やトイレを提供しました。会社帰りの人達が「灯りが点いていてホッとした」と喜んで立ち寄ってくださいました。地元の商店が地域に貢献できることはたくさんあるんだなと思いました。
いまも店頭にお茶を用意してあって、子ども達が塾へ行く途中に立ち寄ったりします。
人と人がつながる地元イベントを通じて、誰もが顔なじみになれる街・川崎であり続けたいですね。
川崎の地元愛に溢れる、街を支える地域活動に取り組むお二人にお話を伺い、住みごこちが良い街というのは、住民みんなで作り出していくものなのだなと感じました。
川崎には一年を通じてたくさんのイベントが開催されています。マンション購入を検討している方はぜひ一度イベント参加から、川崎の街の魅力を知ってみはいかがでしょうか?
【MAJOR7で川崎市のマンションを見てみよう!】
広域川崎圏のビジネス&カルチャーニュースを届けるインターネットの情報配信サービス川崎経済新聞の編集長。サニーワンステップ株式会社の代表取締役として、川崎区日進町のコワーキングスペース「創荘〜soso〜」を運営するなど、多岐にわたる川崎の地域活動に取り組む。
⇒川崎経済新聞
川崎駅西口にある、創業昭和6年の老舗和菓子屋。国産や地元農家の素材を取り入れた商品開発を行う。「川崎ポテト」や「四代目の朝焼きどら焼きなどのオリジナル商品が人気。地元に根ざした商店を中心に立ち上げた「ハッピーサークル」で、街づくり活動を積極的に行う。
⇒新岩城菓子舗
記事監修:川崎経済新聞
取材内容は2018年7月31日現在のもので変更になる可能性があります