最近のシステム家具は、デザイン性や機能性が高く、マンションの間取りやニーズにきめ細かく合わせて施工できます。また、将来のライフステージの変化に応じて、作り替えや移設もできるのがシステム家具の利点です。システム家具の活用事例やその可能性について、住まいと暮らしのスタイリスト三宮佳美さんにお話を伺いました。
子ども部屋の間仕切りとしても活用できるシステム家具
——システム家具の魅力は何でしょう？
三宮さん第１には、空間に合わせて省スペースでも多機能な家具として利用できること。第２に、これからの住まいは、部屋一つとっても、限定された用途ではなく多用途に使える要素を兼ね備えるといいように感じます。その点、多機能なシステム家具は、こうした多様なニーズにうまく応えてくれます。第３に、家族に子どもやペットが増えたり副業が当たり前になったりと、居住者のライフスタイルは変化が伴います。その変化にも柔軟に対応してくれる点でしょうか。いくつか、事例でご紹介していきますね。
子ども部屋の間仕切りとしてシステム家具を活用した事例
三宮さんこちらは、ドイツ生まれのシステム家具「ip20」を使って、1つの部屋を２つの子ども部屋として分割する提案です。2023年8月に伊勢丹新宿店で企画展示されました。
長いスパンで見ると、子ども用家具を都度買い替えるのではなく、システム家具なら、欲しい用途や個性に合わせた機能を搭載しつつ、成長に合わせてシステム家具の移設や作り替えも行え、長年使い続けることができてサスティナブルです。個室化するのに必要なリフォーム工事に比べると、期間も短く済む上、家具を解体すれば元の部屋の状態に容易に戻せる点も利点のひとつといえるでしょう。
8畳の部屋を、システム家具「ip20」の「両面使い間仕切り収納」で仕切って子ども2人の部屋（RoomA/B）として活用する案。
（ip20／株式会社ブシ）
たとえば「階段収納システム」などは、単品としてまずは使い、間仕切のタイミングではロフトへ登る階段として活用も可能。欲しい要素、趣味や個性、空間に合わせて自在にパーツを組み合わせてお部屋を構成します。
（ip20／株式会社ブシ）
写真中央が「ip20」の「両面使い間仕切り収納」。写真向かって左を男の子の部屋（RoomA）、右を女の子の部屋（RoomB）として２つに分けて使います。大人も羨むちょっとした秘密基地ですね。
（ip20／株式会社ブシ）
【RoomB】「階段収納システム」を活用したロフト付きベッド＆デスクのイメージ
階段には、収納スペースがたっぷり。腰かけて本を読んだりもできますよね。
（ip20／株式会社ブシ）
【RoomB】「両面使い間仕切り収納」は、スライド式開閉で場所を取りません。女の子の部屋ではドレッサーやクローゼットを組み合わせて。
（ip20／株式会社ブシ）
三宮さん「ip20」のこの事例は、お子様が楽しみながら自分で収納ができるようになるいわば「収育®家具」です。小さい頃から独立した自分のスペースと家具を使って、インテリアや収納を学んでいけます。扉1枚、鏡1枚でも、後から付け足していくことが可能ですので、まさに一生のお付き合いができる家具といえるでしょう。
【RoomA】側の「両面使い間仕切り収納」
収納棚には引き出し式作業台もセットできて、使うときだけ引き出すことが可能です！
（ip20／株式会社ブシ）
三宮さん「ip20」の収納には、最小奥行き120mm（内寸80mm）からの規格があり、どんなに薄いスペースも逃さず、床から天井まで余すことなく収納に活用できます。さまざまなパーツを組み合わせれば、限られたスペースに驚くほどの機能が搭載可能です。このワクワクする機能を支えるのは、mm単位でオーダーメイド設計できるフレキシビリティと、種類豊富で頑健な金物、そしてip20を知り尽くしたプランナーの提案力です。また、床から天井まで作ることで、家具の倒壊もしにくく、耐震対策面でも安心です。
来客用寝具、煩雑なキッチン家電収納問題も解決！
【収納ベッド】
マットレスだけでなく、専用ベルトで固定して掛布団ごとそのまま収納できます。油圧式の金物で、簡単に壁からの開閉が可能。ベッドを使わない場合は、扉を閉めておけば圧迫感もありません。
（ip20／株式会社ブシ）
三宮さん「ip20」のシステム家具は、壁面を有効利用するノウハウが豊富なので、たとえば嵩張るゲスト用寝具の収納に悩むような場合はベッドごと壁面に設置するのもいいでしょう。
「収納ベッド」なら、上部はブランケットなどの収納スペースにして、デッドスペースなく壁面をフル活用できます。日中ベッドを壁面にしまっておくことで、お部屋を広々と使えます。ゲスト用に限らずふだんの居室使いにも欲しくなるアイデアですよね。
コーナー部分を開閉させて２面から使えるカップボード収納。キッチン家電棚には、それぞれコンセントも付帯していて、その場で使うことも可能。家具工事と一緒に、コンセントやスイッチの移設や増設もできます。左側の引き出し部には、引き出し式のカトラリー収納などもあります。
（ip20／株式会社ブシ）
三宮さん最近は多様なキッチン家電が増えて、収納にお困りだという声も聞きます。キッチンのカップボードは、既製品の食器棚を置くよりも、ご自分のマンションのキッチンサイズや持ち物の量に合わせて、床から壁まで余すことないようにシステム家具で組むと空間の無駄がありません。写真のように角スペースをうまく利用したり、どんなスペースもうまく活用できるのは、秀逸な金物のおかげ。さすが質実剛健なドイツ生まれのシステム家具です。
こんな風に困りごとの解決や小さなスペースを活用できるのも、システム家具の魅力です。
キャットハウスにもなる！飼い猫に特化したシステム家具
「猫ハウス&キャットタワー 六角BOXセット（連結用）」
床置きでも壁に取り付けても使える猫ハウス＆キャットタワー。同じ形の箱を組み合わせてさまざまな形が作れます。まるでインテリアのオブジェのようにも見える家具です。
（猫のための木工所）
三宮さん少し目先を変えた秀逸なものでは「猫のための木工所」の商品。いわば猫に特化したシステム家具と言えばよいでしょうか。老舗木材会社が作る木製の猫用家具です。システム家具の中でも、木質感たっぷりの商品自体がめずらしく、猫好きの方にはかなりおすすめです。天然木材を使い、国内製造で職人さんが丁寧に作っているため、温もりあるシステム家具となっています。商品はあえて無塗装になっていますが、インテリアに合うようにDIYでペインティングしてみてもいいですよね。
「キャットタワー猫棚・アスレチックセット」
猫棚6×2、4×2、3段に「四角BOX④横扉丸」が付いたセット。本を収納するのか猫の遊び場にするのか悩むところです。
（猫のための木工所）
三宮さん他にも、多種多様なキャットウォークパーツとの組み合わせで、猫にとっては楽しい遊び場、人間にとってはおしゃれなインテリアとしても心が躍ります。もちろん猫が遊ぶため以外に、本棚などの収納家具として使えるのですが、猫好きの方なら、すべて愛猫スペースとして譲ってしまうかもしれませんね。
将来のライフステージの変化にも対応可能！
【ファイブリッジ＋ドレッサー収納】
木目面材を使用したファイブリッジパネルに、ドレッサー、フロート家具（※床から浮いている家具は背面ビス固定）、ハンガーパイプなどのパーツを取り付けて構成しています。ダウンライトなども仕込むことができます。
（CUUMA）
三宮さんCUUMA（クーマ）は、株式会社板久が展開するシステム収納家具ブランドです。
キャビネットや棚など、様々な収納の要望に応えてくれますが、たとえば将来のライフステージの変化を見越して、より可変性のあるシステム家具にしておきたいという場合にぴったりなのがこちら。最初に専用のファイブリッジパネルを部屋の壁面に張っておきます。まずは、衣類クローゼットとしてハンガーパイプと棚板だけ。将来はラグジュアリーにドレッサーを組み込んだり、ワークコーナーとしてデスクを組み合わせたり、と用途に合わせて変幻自在。将来の拡張性があるのも、システム家具の魅力です。
三宮さんシステム家具の中にも、フルオーダー、セミオーダー、完全ユニット品、それらのハイブリッドなど、さまざまな選択肢があります。予算や納期に応じて検討されるとよいと思います。どのメーカーのシステム家具も、プロのプランナーが相談にのってくださいます。ショールームなどへ相談に行く際には、マンションの平面図や天井高さなどの採寸データを持参することをおすすめします。
新築マンションを購入した時点で、システム家具の導入も併せて検討してみると良さそうですね。システム家具でカスタマイズできるのも、自分のマンションならでは！ 新築マンション探しは、MAJOR7サイトでどうぞ。
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インテリアスタイリスト、住空間収納プランナー、家事セラピスト。24時間365日をいかに快適に住まうかをテーマに、人と住まい、人と暮らしのより良い関係をさまざまな見地から、研究・提案している。各種モデルハウスや個人邸の暮らし提案・インテリアディレクション・スタイリング、暮らしに関する各種研修企画・講師、住関連企業へのコンサルティング（商品企画・販売企画など）を行う。これまで手がけた建物は400棟を超える。
記事監修：三宮佳美
株式会社ブシ［ip20部門］ ※「ip20」は、株式会社ブシの登録商標です。
取材内容は2023年10月17日現在のもので変更になる可能性があります
