廊下ギャラリー、階段簞笥のキャットタワー、美術家のマツバラリエさんの自宅はアップサイクルなアイデアいっぱい

MAJOR'S Column

2021年12月3日

美術家のマツバラリエさんは、自宅兼アトリエをセルフDIYで造作して素敵なインテリアに設えていらっしゃいます。実家から引き継いだ古い簞笥などの家具や道具も、ヴィンテージマンションにうまく融合しています。まさに、古いものに新しい命を与えるアップサイクルの手法を具現化されているマツバラさんのご自宅を拝見しました。キャットタワーのアイデアもありますよ!

古いものに新しい命を与えるアップサイクルな住まい


造形作品、イラスト、絵本など、多彩に活躍する美術家マツバラリエさん。
ワインやシャンパンのコルクを使った立体作品(写真)は、
林真理子さんなどの本の装幀にも起用されています。

マツバラさんの自宅兼アトリエは、公園の近くにあるヴィンテージマンション。元々、外国仕様のマンションだったらしく、玄関は靴で入れるように部屋の外と内の床がフラットにつながっています。天井も高くどこかヨーロッパのアパートメントのような雰囲気なのは、マンションの仕様だけでなく、ご自身の作品やアート、時を重ねたものが在るからかもしれません。


玄関からリビングへ続く廊下の左右の壁には、
大小の好きなアーチストや自身の作品、フレームなどが飾られていて、
美術館の回廊のような雰囲気です。

マツバラさん「5年ほど前に購入して入居しました。大がかりなリノベーションはせず、住みながら気になる部分に手を入れていくという一人DIYスタイルでやってきて、現在も続いています。部屋にいると、あそこはこうした方がいいなとか、あちこち気になってしまうんですよね(笑)」


浴室と洗面所の気になる部分には、新たにタイルを貼りました。

玄関の壁に飾られている左側の棚は、なんと古い柱時計。
飾り棚として改造されたものを骨董店で見つけて購入。
香水の飾り棚として使っています。

マツバラさんの創作理念「捨てられていたり見過ごされていた儚きものを再生させる」は、インテリアにも活かされています。古くて味わいのある道具や家具が、マツバラさんの手によって新しい命を与えられ、この部屋でまた静かに時を刻んでいるのです。

こちらの記事でも、マツバラリエさんのお部屋の一部を紹介しています。
アートギャラリーの山本詩野さんに教わる、マンションで感性豊かにアートを飾る方法

実家の階段簞笥がキャットタワーに


キャットタワーとして使われている、ご実家の階段簞笥。
階段簞笥から天井に続く棒は、麻縄を編んでつくった自作の爪研ぎ。
壁を抜いて設けた四角い穴は、隣室へつながる猫専用出入り口です。

お部屋に入って驚いたのが、リビングにさりげなく置かれた階段簞笥がなんとも贅沢なキャットタワーとして活用されていることでした。これは猫も楽しいに違いありません!

マツバラさん親が亡くなり、遺された実家の整理を少しずつ進めてきました。実家で使っていた和箪笥などは、そのまま使うとよくありがちな和風モダンになってしまうので、私なりのアレンジを加えて、インテリアの雰囲気と融合するように工夫しています。


自分で麻を編んでスツールカバーも自作します。
階段簞笥のキャットタワーには、段ボールの爪研ぎも置いてあります。

洗面所下のスペースを活用して、中に猫トイレを設置。
開き戸に出入り用の穴を開けましたが、
猫には不評だったらしく、扉は開けたままで使うことに。
あくまで猫ファーストのお住まいです。

リビングのコーナー。
真ん中の鏡は、幼稚園時代から使っていた実家の鏡台から取り外したもの。
額縁をつけて小さなコーナーを設けました。

このコーナーは、小さな額縁に入ったご両親の写真や愛猫の写真、お香、小作品を置き、
ひそやかな祈りのスペースとなりました。
このようなスタイルなら、部屋に自然と溶け込みます。

よくあるペットグッズや仏壇は、なかなか好みのインテリアと馴染まないもの。でもマツバラさんのように、古い家具やその一部を活用したアップサイクルなDIYを施すと、見違えるほどお洒落になります。また、家具やものに含まれる思い出も一緒にそこにあると思うと、心が温かくなりますよね。

いまあるものと古いものとが調和したキッチン


奥の作り付けのクラシックな木製キャビネットは、元からあったものです。
右端のクリーム色の扉は、裏側の冷蔵庫の目隠しとして、
中央のキッチンカウンターは、実は水屋箪笥。漆喰で塗った板を取り付けました。

マツバラさん元々あったキッチンの木製キャビネットは、日本のシステムキッチンとは違って規格外の大きさの棚になっています。冷蔵庫やキッチンカウンター替わりに使っている水屋簞笥は目隠しして、リビングダイニング側からの雰囲気を統一しています。


使いづらいスプーンとフォークを、ウインドチャイムとしてアップサイクル。
冷蔵庫の目隠しも漆喰を塗った板で味わいがあります。

ダイニングテーブルも自作。天板にタイルを貼ってあることで、
漆喰のキッチンカウンターとお揃いのように見えます。

キッチンカウンターの裏側は、実家から引き継いだ水屋簞笥でした。
漆喰を塗った板は、この水屋簞笥をうまく隠すように設計しました。

実家にあった入れ子の重箱。ピカピカした塗りの具合が気に入らなかったので
やすりをかけて好みの風合いに落ちつかせたそうです。
調味料やサプリメントなど、キッチン周りのこまごましたものを収めています。

——塗りの重箱にやすりをかけるのは、ちょっと躊躇してしまいますが、良い感じでエイジングしていて、漆喰のカウンターに似合っていますね。

マツバラさんやすりをかけるだけなので、意外と簡単ですよ。ダメモトでとにかくやってみることですね(笑)。使わなかったら余計にもったいないので、なんとかうまく活用する方法はないかと、常に考えています。

失敗を恐れず、遊ばせてもらう感覚で挑戦を


インテリアのアイデアを思いついたらすぐ取りかかることができるよう、
愛用のノートに、家具・もの・部屋の寸法のすべてが書き込んであります。
これは真似したいアイデアです!

——まるでガウディの未完の建築物のように、次から次へとおうちDIYの創作アイデアが湧いてくるようですね。材料などはどこで入手するのでしょうか?

マツバラさん次はアトリエスペースを板張りにしたいなとか、家にいると部屋のいろいろな部分が気になるから、気が休まらないですね(笑)。いつもノートを持って家のどこかの工作をしている感じです。漆喰の材料などは、ホームセンターやネットショッピングなどでも容易に手に入ります。


この部屋に住み始めて最初に着手したリビングの漆喰の壁。
右側はアトリエの仕切り壁。
使った絵筆の絵の具を壁にあしらって、まるで作品のように仕上がっています。

マツバラさん最初に一人で漆喰を塗った壁は、今見るとムラだらけで、やり直したくてたまらなくなります(笑)。やっているうちに段々上手になるものですね。私の自宅DIYは、飽きたらまた模様替えのように、簡単に替えられるのが基本。ちゃんときれいに仕上げようと思うとハードルが高くなりますが、「遊ばせてもらっている」という感覚でやっています。多少失敗してもそれもまた味だと思って楽しんでいます。


古い家具をうまくインテリアに溶け込ませて活用するアイデアや階段簞笥をキャットタワー代わりにするアイデアは、すぐにも真似できそう! ぜひマツバラさんのインテリアを参考になさってください。部屋を自由にセルフDIYできるのは、自分が所有するマンションだからこそ。まずはMAJOR7サイトでマンション探しから!始めたいですね。

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美術家、絵本作家 マツバラリエさん

1995年、多摩美術大学・芸術学部映像学科を卒業。自身のオブジェを使った短編アートアニメーションは、海外の映画祭でも数多く上映された。ワインやシャンパンコルクを使った造形作品に、古い日用品や道具を組み合わせ、「捨てられていたり見過ごされていた儚きものを再生させる」という理念を投影しながら制作活動を行う。自宅やアトリエも得意のDIYで、心豊かな暮らしを追求している。2022年春、青山ギャルリーワッツで個展開催予定。
インスタグラム

取材内容は2021年12月3日現在のもので変更になる可能性があります

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