フリーランスとして、Web構築から、イベントディレクター、グラフィックデザインまで、さまざまな想いを具現化するために、ジャンルを超えた幅広い分野で活躍するデザイナー井村晋作さん。港区三田にある築40数年のヴィンテージマンションのオフィス兼自宅で、2歳のお子さんと奥様とお住まいです。職住一体型マンションライフについて、お話を伺いました。
港区にある築40数年のヴィンテージマンション
さまざまな分野でマルチに活躍するフリーランスデザイナーの井村さん。
10年前から港区に住み、現在の三田のマンションには2年前に引っ越してきました。
——港区三田という場所を選んで住んでいる理由は何でしょうか?
井村さん以前から港区に住んでいたのですが、やはりどこへ行くにもアクセスがいいのがメリットですね。地方出張へ行くにも東京駅や品川駅のどちらにも出やすい。羽田空港は車で20分位で間に合いますね。都内だと自転車で移動することもあります。都内の会社に勤めている妻は、通勤時間30分ほどです。
近くにバスの便が充実していて、渋谷、品川、丸の内、目黒、田町、新橋に直接行けるのが便利です。週末の午前中など、混んでいない時間を選んでベビーカーに子供を乗せて使っています。
——マンションの住み心地はいかがですか?
井村さん築40数年の大規模マンションですが、管理がしっかりしていてきれいに維持されています。「小さい子どもがいるのでうるさいかもしれません」と両隣・上下階の部屋へ挨拶に行ったら、子育て家族やシニアのお二人暮らしの方々が「泣いても大丈夫よ」とおっしゃってくださって。ヴィンテージマンションは子育てに優しい環境だなと思いました。
仕事で参加できていないのですが、近隣のマンションと合同で防災訓練をするなど、防災にも熱心に取り組んでいるようです。
自転車で10分ほどの距離にある芝公園。都心にも豊かな緑の公園があります。
——マンションの共用施設はいかがですか?
井村さん2013年に改修されたばかりの集会室は、住民がウクレレやワインテイスティングの会などの趣味の集まりで活用されているようです。うちも今度10人程の友人を子ども連れで招いて、パーティをする予定です。ほかに、ママチャリのシェアサイクルが数台あります。うちには1台自転車があるので、ママチャリを借りて家族3人で芝浦公園や芝公園に遊びに行くこともあります。
井村さんそれからこのマンションで良かったなと思うのは、外出中の荷物や書類の受け取りなどを、管理員さんに代わりに受け取ってもらえること。ありがたいです。独立当時に住んでいたのは住居使用半分・オフィス使用半分の雑居ビルのようなところでしたので、受け取ってくださる管理員の方も常駐しておらず。引っ越してよかったと感じています。
集中しやすいコックピット型オフィスをDIY
井村さんのオフィススペース。
仕事に集中できるよう、書棚とシェルフで2面を囲むレイアウトに。
井村さんのお住まいは2LDK。リビングの一角を仕切ってオフィススペースとして使っています。 デザイナー井村さんが手がける仕事は、2014年度グッドデザイン賞を受賞した早めのヘッドライト点灯を呼びかける「おもいやりライト運動」(日産自動車)プロジェクトのディレクター、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワークでの段ボールジオラマキットのデザイン、企業・団体のWeb構築、展覧会やイベントのプロデューサーなど、多岐にわたります。
井村さんが手がけた仕事の数々。お米やお餅は現在販促を手がけているプロジェクト、
横浜市神奈川区で全戸配付される「自分でつくるmy防災マップ」のアートディレクション、
新宿区の段ボールジオラマなど。これらさまざまな仕事の資料を収納する必要があります。
井村さん不定型な資料が多いので、ワイヤーシェルフにバンカーズボックス(収納用ダンボール箱)を並べて収納しています。自分が使いやすいように部屋に合わせたオフィススペースをつくっています。オフィス用の家具は、以前のマンションからそのまま持ってきたものをそのままこの部屋に合わせて使っているものが多いですね。
IoTやDIY、アイデアを凝らして居心地よい住まいづくり
リビングにDIYした有孔ボードの壁面には、
お子さんのミニデスクや壁掛けテレビなどがうまくレイアウトされています。
向かって右側の本棚の奥が井村さんのホームオフィスエリア。
奥様が使うノートパソコンを置く引き出し式の簡易デスクも、井村さんのDIY。
お子さんが本棚の下に潜り込んだり蔵書を引き出さないように、
特注の強化ダンボールで本棚下段を塞ぐ仕様にしました。右側は、自作のベビーフェンス。
Philips Hueの「ライトリボン」を、リビングの壁上部に張り巡らせたIoT間接照明。
スマホの操作で照明色を自由に変更できます。
井村さん有孔ボードウォールや簡易デスクなどのDIY、リボンを接着するだけの間接照明のように、大掛かりな工事が不要&現状復帰が可能なツールが最近は充実してきているので、持っている物に合わせたり、掃除しやすい形の家具を作ったりすることで、狭い面積でもより使いやすい部屋にできるな〜、というのは今回床貼り&壁紙貼り&棚・机作りをして実感しました。
「仕事環境は自分でつくるもの」職住一体と育児の共存
子育て中の使い勝手を考えて小さな工夫がたくさん施されたリビングは、
とても居心地が良い雰囲気。お子さんにとっても楽しいに違いありません。
——お子さんがまだ小さいですが、育児と職住一体の両立はいかがですか?
井村さん子どもの保育園へは、朝は僕が連れて行き、帰りは妻が迎えに行くというように役割を分担しています。子どもを保育園に送っていった後、僕はそのまま自転車でコワーキングスペースに行ってメールチェックや仕事をしたりすることもあります。都内にはコワーキングスペースが多くあるので、煮詰まったら外で仕事をするなど、気持ちの切り替えがしやすいですね。
お子さんを病院へ連れて行くときに必要なもの一式を入れたポーチを壁にセット。
いつも目につく場所にあるので、探したり忘れたりすることがないそうです。
——政府のテレワーク推進もあり、今後は会社員でも在宅勤務やサテライトオフィス勤務が進んでいくと予想されます。職住一体マンションライフを考えている方へのアドバイスをいただけますか?
井村さん独立してからずっと職住一体で仕事をしてきたので、仕事環境は自分でつくるものだと思っています。自分が仕事に集中しやすい形であれば、どんな間取りでもうまく仕事スペースを切り分けできると思います。ときには外のコワーキングスペースを活用しながら、自分にも家族にも居心地のいい空間づくりができるといいですね。
前回の記事でも、リモートワークスタイルを実践している松本道雄さんをご紹介しました。今後はこんな住まい方がどんどん増えていきそうですね。これからのマンション選びの参考にしてみてください。
【MAJOR7で港区のマンションを見てみよう!】
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井村 晋作さん
難しいものは楽しく、堅いものはやわらかくをモットーに活動。交通安全、まちづくりなどの社会課題に対する提案も実践しながら、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク理事として、地形をキーワードにした防災授業のツール開発や防災授業も実施している。
記事監修:井村晋作
取材内容は2019年12月26日現在のもので変更になる可能性があります