発達した交通網、充実した図書館、多様な文化施設…。目黒区の魅力をデータで解析!

MAJOR'S Column

2019年2月28日

オープンデータってご存じですか? オープンデータは誰でも自由に無償で営利目的、非営利目的に限らず、2次利用(再配布や再加工)が可能なライセンスで公開されたデータです。このオープンデータを活用して街の魅力を発掘するイベント「川崎シビックパワーバトル」などを開催している、オープン川崎/Code for Kawasakiの小俣博司さんに、お話を伺いました。今回は、オープンデータを活用して、目黒区の街の魅力を読み解いてみます!

オープンデータを活用して見えてくる、新たな街の魅力


オープン川崎/Code for Kawasakiの小俣博司さん。

——オープンデータについて簡単に教えていただけますか?

小俣さんオープンデータは、誰でも自由に無償で営利目的、非営利目的に限らず、2次利用(再配布や再加工)が可能なライセンスで公開されたデータです。つまり、誰でも自由に利用が出来るデータとなります。現在、国や地方自治体がオープンデータの取組を推進しています。

——誰でも利用できるならば、データで街の魅力を語れればおもしろいですね。しかしオープンデータというと、統計や調査といったややこしくて固いイメージの数字を想起しがちです。難しくはないですか?

小俣さん2月に開催した「川崎シビックパワーバトル2018」は、オープンデータを使って、川崎市民が南北エリアの地元自慢をするというチーム対抗イベントというバトルスタイルでした。バトルする南北チームも応援する人も、会場のこたつに入って、各チームのプレゼンテーションを聞いたり質問したりします。今回初めてデータ解析をしたという人もいました。
「一人当たりの公園面積は、北部の方が大きい」「南部は勾配も少なくて歩きやすい。病院もカラオケも多くて、高齢単身就業者数も多いから老後が楽しい!」など、オープンデータをエビデンスとして、さまざまな街の一面を引きだしながら、住民視点でプレゼンテーションしていました。


「川崎シビックパワーバトル2018」の様子。
南北チームのプレゼンターと応援者は、なんとコタツに!

——市民レベルでデータがそんな風に活用できれば、楽しそうですね!

小俣さん参加者の方からも、「オープンデータの分析を聞いていると、自分たちの知らなかった街の魅力が新たに見えてきた」という声がありました。新しい魅力を知ることで、「自分たちの住む街への誇り=シビックプライド」が育まれます。データをもとにして、さまざまな街を読み取る楽しさを、多くの人に知ってもらいたいですね。

そこで今回は、小俣さんのアドバイスを受けながら、もうひとつの記事でご紹介した「目黒区」の街のデータを読み取っていきたいと思います。目黒区がホームページで公開しているオープンデータ、東京都や政府のデータを使って、目黒区の特長を調べてみました。

目黒区のアクセスの良さや環境を数字で見る!


目黒区の基本データ。
23区内で比較すると、やや小ぶりの面積と、少な目の人口です。意外ですね!
参考:目黒区ホームページ 統計 目黒区の今月の人口(2019-02-13)
参考:「めぐろ区報」平成31年11月25日号 第2面 区の財政状況(平成29年度決算報告)

面積が広いとはいえない目黒区に、主要な6路線が乗り入れているだけでなく、
隣接した区境にもJRやその他路線の駅が、目黒区を囲むように点在しているのがわかります。
参考:めぐろ観光まちづくり協会「目黒区エリア紹介」(2019-02-13)

中目黒駅と目黒駅から、主要ターミナル駅までの分数を書き出してみました。
横浜はもちろん、どこへ行くにも乗車30分以内で到着するアクセスの良さです。
※1 朝のラッシュ時の時間帯の最短分数(2019-02-13)
※2 目黒駅は品川区上大崎に所在しますが、目黒区と品川区の区境に位置し、目黒区の玄関口として機能している主要駅のため採用しています。

目黒区にお住まいの2組のご夫婦を取材した記事では、街の魅力のひとつとして、アクセスの良さを挙げておられました。確かに目黒区には主要な電車路線が複数本横断してます。また、地図には記載していませんが、この電車路線の間をつなぐように、路線バスの交通網が発達しています。


目黒区の図書館情報。夜間開館している図書館が、中目黒駅前にあるのは便利そう!
出典:「目黒区の教育 平成28年度事業報告書」 生涯学習 3.図書館 P.86-87(2019-02-13)
出典:1人当たりの蔵書数については、以下のデータを元に改変(蔵書数を在住人口で割った順位)。
東京都公立図書館調査 平成30年度 (2019-02-14)

区立、都立、公団・公社設置を含めた公園数は130と23区中16位ですが、
池尻大橋のジャンクション屋上にある公園は、日本初のもの!
出典:東京都建設局 公園調書データ(平成30年4月1日現在)(2019-02-14)

目黒区内の各公園の詳細説明については、目黒区のホームページをご覧ください。

目黒区公式ホームページ>施設案内>公園

国立大学、大使館、個性的な文化施設やお店がある街


能楽堂や映画館、ユニークな目黒寄生虫館があるのも見逃せません!
出典:目黒区ホームページ 施設案内 美術館・博物館(2019-02-13)

以前の記事でも、目黒駅前新聞さんから目黒駅500km圏内のお話を伺いました。こちらもあわせてお読みください。

ハロウィンイベント、能楽堂、小さな映画館… 目黒駅前新聞さんに聞く!住んでみたい街「目黒」のボーダーレスな魅力


目黒区に多い業種は、生活関連のものが多いようです。
出典:RESAS(地域経済分析システム)(2019-02-13)

大型チェーン店だけでなく、個人で営んでいるおしゃれなショップやカフェ、昔ながらの商店街が多いのも、目黒区の特色。目黒通りにはインテリアストリートと称される通りがあるほか、自由ヶ丘、学芸大学、中目黒にも個性的なショップや飲食店が多く、目黒区でしかできないショッピングが楽しめます。


子育て世帯に気になる教育施設。東京大学と東京工業大学、2つの国立大学があるんですね。
さらに13カ国の大使館があって、多様性溢れる雰囲気です。
出典:目黒区ホームページ 施設案内 保育園/幼稚園・こども園/小学校・中学校.高校・大学(2019-02-13)

2045年の高齢社会に人口はどうなる?


目黒区の人口ピラミッド、2015年から30年後の2045年までの人口推移予想。
出典:RESAS(地域経済分析システム)(2019-02-13)

——データから目黒区の将来性についても読み解くことはできますか?

小俣さん人口ピラミッドで目黒区の推移値を見てみましょう。
2015年は特に30〜40代の女性が多く、女性に人気の街だということがわかります。警察庁の犯罪統計資料を見ても、目黒区は23区内でも犯罪発生率が低く、治安面の不安が少ない街であることがその理由かもしれません。
また通常の人口ピラミッドは、時間の経過と共に高齢化していくものですが、高齢化率は微小です。2045年の予測を見ても、15歳〜64歳の生産年齢人口の層が厚く、30年後も街の賑わいが期待できそうです。


目黒区の財政状況を全国平均と比較してみました。
出典:RESAS(地域経済分析システム)(2019-02-13)

小俣さん「実質公債費比率」とは、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に定める4つの財政指標のうちのひとつです。1年間に支払った借金(地方債)返済額と、収入(財政規模)の割合を指し、もちろん借金の比率は低いほうが良いため、指標が低いほど財政が健全であるといえます。ですので、「実質公債費比率」の低い目黒区は優秀ということになります。

また、公式ホームページによると、これからの目黒区は、2020年を目標に「目黒区観光ビジョン」や「目黒区産業振興ビジョン」による地域の活性化を掲げて、知的産業やファッション性の高い業種、生活に関連する業種などの特性を活かした振興計画を展開していこうとしています。

目黒区公式ホームページ>行政情報>計画・政策

——こうやって、さまざまな角度のデータで目黒区という街を見ると面白いですね!

小俣さん自分が住む地域のデータを調べて読むと、その地域の現在や将来までもが見えてきます。そして何より、その地域への愛着が湧いてくるから不思議です。ぜひオープンデータを身近なものにして活用してみてください。


オープンデータを調べると、いままで目黒区ってこういう街なんだとぼんやり思っていたことに、骨格が付いた感じがします。
オープンデータに興味が湧いた方は、ぜひ各自治体のホームページで公開しているオープンデータをチェックしてみてください。今回活用した、産業構造や人口動態・人の流れなどの官民ビッグデータを集約して可視化するシステム「地域経済分析システムRESAS」で比較してみても良いと思います。他には、いま大ベストセラーの本、ハンス・ロスリング他著『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP社)もおすすめです。
目黒区だけに限らず、これから住みたい街のオープンデータを読んで、マンション購入の手がかりにしてみると良さそうですね。

【MAJOR7で目黒区のマンションを見てみよう!】

オープン川崎/Code for Kawasaki 主宰
東京大学生産技術研究所特任研究員
小俣 博司(おまた ひろし)

福井県鯖江市のオープンデータの取り組みを支援し、 その後 Code for Japan のフェローとして福島県浪江町役場に勤務、Androidタブレット事業に従事する。現在は東京大学生産技術研究所特任研究員として研究に従事しながら、シビックテックやオープンデータ/オープンガバメントの普及に向けて精力的に活動している。オープン川崎/Code for Kawasaki 主宰、アーバンデータチャレンジ事務局、CivicWave運営、CIVIC TECH FORUM 2018実行委員なども務める。共著に『シビックテック』(勁草書房)がある。

オープン川崎/Code for Kawasaki

記事協力:小俣博司

取材内容は2019年2月28日現在のもので変更になる可能性があります

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