災害時にペットを守るためのマンション防災 ドッグアドバイザー高田由香さん

MAJOR'S Column

2025年9月16日

新築分譲マンションのペット飼育可能物件が増えています。ペットは家族同然の存在。普段も災害時も安全にペットを守れるように、マンションライフでの備えやトレーニングについて、ドッグアドバイザーであり犬の保育園「カーネ保育園」園長でもある高田由香さんに、お話を伺いました。

●東日本大震災でも、預かり犬を安全に守った「わんこの保育園」


ご自身も4匹の愛犬と一緒に暮らす、ドッグトレーナーの高田由香さん。
わんこの保育園「カーネ保育園」でお話を伺いました。

——わんこの保育園は、どんなことをする場所ですか?

高田さん 朝、飼い主さんからわんちゃんをお預かりして、夕方お迎えに来ていただきます。園では、他のわんちゃんたちと仲良くなる方法を学び、お散歩、お昼寝、お勉強(トレーニング)をします。お子様の保育園と同じシステムですね(笑)。わんちゃんによって苦手なこと・得意なことが違いますので、個性に合わせてトレーニングします。他に、しつけ教室、シニア犬デイケアサービスなども行っています。

——2011年の東日本大震災の日、保育園にいたわんちゃんは、ケガひとつなく安全だったそうですね?

高田さん 当園は世田谷区にありますが、やはりあの日は建物が大きく揺れました。その時は12匹のわんちゃんをお預かりしていました。園では、ふだんから自分のクレート(ペット用キャリーやケージのこと)でお昼寝するようにしつけをしていましたので、その時もみんな自分のクレートでお昼寝中。どのわんちゃんも慌てず騒がず、余震でもパニックになって怖がることなく、クレートで安全に過ごしてくれました。交通機関も麻痺している中で飼い主さんはお迎えに来るまで大変だったと思いますが、無事全部のわんちゃんを、安全に飼い主さんにお渡しすることができました。

——ふだんからのしつけやトレーニングが、災害時にペットを守ってくれるんですね。

高田さん 災害時には、マンションの室内でモノが落ちてわんちゃんがケガする可能性もあります。頑丈なクレートに入ってさえいてくれれば、わんちゃんを守ることができます。最近は、ペット同行避難可能な避難所もありますし、地震に強いマンションでは避難所に行かず在宅避難する場合もあります。各マンションの管理規約に沿ったペットとの同行避難のために、日頃のしつけやクレートトレーニングが役立ちます。次にクレートトレーニングの方法をご紹介しますね。

●いつものクレートトレーニングが、災害時に愛犬を守る!


①クレートの前でわんちゃんをお座りさせます。
ひとつの動作ができる度に、ご褒美として小さくカットしたおやつをあげます。

②「ハウス!」の声で、自分からクレートの中に入るように練習します。
なかなか入らない場合は、クレートの中にご褒美のおやつを入れておいて、中に入るように仕向けます。

③クレートの中に入ったら、おやつをあげて褒めてから、扉を閉めます。
クレートの中で少し静かに過ごさせます。

④クレートの扉を開けて出てきたら、またおやつをあげて褒めます。
①〜④を繰り返して、クレートで過ごすのは楽しいことだと覚えさせます。

写真は保育園でのお昼寝風景。みんな自分のクレートにいます。
タオルをかけて覆ってあげると、さらに安心して過ごせます。
クレートはいつもマンションの室内に置いて、わんちゃんにとって安全で安心できる場所として覚えさせます。

高田さん ペット同行可能な避難所では、クレートに入れていないペットは預かってもらえません。クレートは災害時に必須のアイテムです。クレートは、わんちゃんが中に入って一回転できるのが適正サイズです。ハードタイプで、国際航空運送協会の安全基準に合致している製品を選んでくださいね。
わんちゃんにとって、クレートに入るのは楽しくて落ち着けるということを覚えさせてください。お部屋にいても安心してそこで過ごせる、クレートに入ると遠出の楽しいお散歩ができるなどの嬉しい体験を繰り返すと、クレートに入ること自体が楽しくなります。

●愛犬のフードやグッズもローリングストックで備蓄


ふだん食べているペットフードやおやつは、少し多めにストックして、使ったら買い足していく、
ローリングストック方式で備蓄しておくと便利です。
<ペット防災備蓄品リスト>
防災用品は定期的に確認しましょう。
フードとおやつ(食べ慣れているもの)

飲み水

ペット用マナーおむつ

ペットシーツ&消臭エチケット袋

持病のある場合は、常備薬
※上記は1週間分を目安にストックします

暑さ・寒さ対策
(夏はクールシートや冷感Tシャツ、冬は毛布やペット用の洋服を用意)

懐中電灯
迷子札付き首輪
(サイズが合っているかどうか常時確認)

スマートタグ(迷子時に役立つ)

リード

おもちゃ

フードと飲み水用のお皿
(避難所では、携帯用のシリコン製折りたたみ式皿も便利です)

人間用ビニール手袋

高田さん我が家は4匹の愛犬がいるので、これらペット用防災備蓄品×4匹分を用意しています。また、マンションからの避難にあたっては、「ペット同行避難は人間とは別経路の避難ルートを利用する」「マンション内避難所はペット同行避難専用の場所を使う」など、マンションの管理規約によって異なります。あらかじめ、居住者同士で災害時のペット同行避難についても確認しておくとよいですね。同じマンションの飼い主同士で、災害時の行動やペット防災の情報交換をして助け合うのもオススメです。


ペット用の自着性伸縮包帯。
「ケガや傷舐め防止用の包帯ですが、避難時にペットの足をカバーする
ペットシューズ的な使い方もできるので、防災バッグに入れておくといいですよ」
と高田さん。

●災害時に愛犬を守るために、飼い主さんの心構えも必要


今回のクレートトレーニングに協力してくれたメグちゃん。

高田さん わんちゃんのしつけやトレーニングはもちろん必要なことですが、災害時にはまず飼い主さんがパニックにならないことが重要です。飼い主さんが慌ててパニックになると、その気持ちがわんちゃんにも伝わります。わんちゃんもどうしたらいいかわからずに一緒にパニックに陥ることもあります。緊急地震速報の音にも不安になります。わんちゃんに「大丈夫よ」と優しく声がけして、まずクレートに入れるようにしましょう。ペットにとっては、飼い主さんだけが頼りです。そのためにも、普段の備えやしつけをがんばってくださいね。


「マンションを買ったら、ペットと一緒に暮らしたい!」とお考えの方も多いはず。ペットフレンドリーな新築分譲マンションも増えています。ペット飼育可能マンションは、MAJOR7でお探しください。

【MAJOR7で新着物件特集のマンション一覧を見てみよう!】

ドッグアドバイザー 高田由香さん


Parco del Caneカーネ保育園 園長。日本ドッグパーク普及協会認定ドッグアドバイザーA 級。日本ペットマッサージ協会認定ペットマッサージセラピスト。2006年、世田谷・用賀に「犬の保育園 Parco del Caneカーネ保育園」を開園。園長となる。犬の保育園の他、ペット共生マンションでのしつけ教室やセミナー、ペット博でのペットマッサージのデモンストレーション、ウェブサイトでのペット相談やコラム執筆など、多分野で犬に関わる毎日を送っている。現在の愛犬・スタッフ犬は、双子のチワワ・あんにん♀&ころね♂、まどれーぬ(ポメラニアン♀)、さぶれ(パピヨン♂)。

Parco del Caneカーネ保育園

記事監修:高田由香

取材内容は2025年9月16日現在のもので変更になる可能性があります。

※ペットの飼育方法やペット防災のルールは、マンションの管理規約によって異なります。

編集部のおすすめ記事

カテゴリ一覧

物件をお探しの方へ ※大手不動産デベロッパー7社の物件情報に特化したポータルサイト『メジャーセブン』の物件一覧ページに遷移します