ジャズフェス、「ニクオン」など市民発イベント多数!子育て支援も活発な街「墨田区」レポート

今回の「人気の街の住みごこち」で紹介するのは、墨田区です。
すみだ経済新聞の編集長 山田直大さんと、墨田区の飲食店の会「すみだ食堂」を開催しているNPO法人すみだすくすくネットワークの荘司美幸さんに、墨田区の住みごこちを伺いました。

「音楽都市すみだ」を体現する、ストリートジャズや「ニクオン」フェス


墨田区の音楽フェスの数々をプロデュースしてきた、
すみだ経済新聞編集長の山田直大さん。

——墨田区は「音楽都市づくり」をめざしているそうですね。

山田さん1985年に、国技館が蔵前から両国へ36年ぶりに戻ってきたことを祝って、墨田区民5,000人による第九の大合唱を行ったのがきっかけです。その後、四半世紀にわたって墨田区民による「国技館5,000人の第九コンサート」が続いています。
1988年には「音楽都市構想」を発表し、音楽を通した街づくり・人づくりに着手してきました。世界屈指の音響設備を持つ「すみだトリフォニーホール」の建設、そこを拠点とする新日本フィルハーモニー交響楽団の活動もその一環です。


街中がライブステージになる「すみだストリートジャズフェスティバル」の1シーン。
JR錦糸町駅南口広場でのRicky with FSPのパフォーマンス。

——山田さんは、墨田区の音楽フェス「すみだストリートジャズフェスティバル」の仕掛け人でもあるそうですが、いつから始められたのですか?

山田さん2010年から始めて、今年で9回目になります。「すみだストリートジャズフェスティバル」は、墨田区の街全体が会場です。この期間だけは、街のいたるところでミュージシャンが生の音楽を演奏し、通りかかった誰もが気軽に楽しめるという入場無料のイベントです。
それに加えて、2016年からは、地元の飲食店の食フェスと音楽フェスをコラボさせた「ニクオン」も毎年6月に開催しています。


錦糸公園で開催した、食と音楽フェスコラボ「ニクオン2017」の様子。
食は地元飲食店中心の屋台、音楽はROLLYや大槻ケンジなどのそうそうたるメンバーが出演。

——どちらのフェスも、主催は実行委員会の皆さん、つまり住民パワーということですね?

山田さん企画・運営の中心は、住民、商店街メンバー、ミュージシャン、地元企業などです。みんながフェスを成功させるために、資金集めからそれこそ音量対策に至るまで、すべての運営をボランティアとして行っています。一生懸命街を盛り上げている大人の背中を見た子どもたちが「この街ってかっこいい」と、誇りに思える社会にしたい。そんな思いでみんなが一丸となって活動を続けています。

川、公園、駄菓子屋、子育てファミリーにピッタリな環境


錦糸町駅から徒歩5分の場所にある竪川親水公園。
テニスコートなどのスポーツ施設、遊具広場、多目的広場、噴水施設がある。

——子育てファミリーにとっての環境はいかがですか?

山田さん隅田川、荒川、堅川など、街の縦横に川が流れていて、川沿いの遊歩道や公園は、子どもを遊ばせる場所も多いです。道も平坦で坂がないから、お子さんを乗せて自転車で走る子育てママにはぴったりじゃないかな。駅前は、大型商業施設やスーパーもあって買い物も便利です。
錦糸町は、昔は菓子問屋街だったそうで、いまも「駄菓子とおかしのみせ エワタリ」があるし、「うまい棒」で有名な「やおきん」もあります。地元企業なので、フェスにも協賛していただいています。

伝統と歴史を守り、コミュニケーション好きな墨田区民


食と音楽フェスのコラボイベント「ニクオン」と、
「すみだストリートジャズフェスティバル」のリーフレット。

——墨田区や住民の魅力は、どういう点でしょうか?

山田さん江戸時代からのものづくり=職人文化が続いていて、国技・相撲の街でもあり、江戸の食文化も根付いていて、本物に触れる機会が多い。その根底には、人と人のコミュニケーションがあるんですよね。コミュニケーション能力のあるスタッフがいない飲食店はすぐに廃れていくほど、会話やつながりを重視する。
「すみだストリートジャズフェスティバル」では、墨田区以外の人もボランティアとして手伝ってくれるんですが、ボランティア同士で結婚してこっちへ引っ越してきたカップルがいました。この街やそこに住む人と一度仲良くなっちゃうと離れられなくなるのかもしれませんね。

——街の人と仲良くなるにはどうしたらよいでしょう?

山田さん音楽や食フェスも、街を知るきっかけのひとつです。「ニクオン」は、地元の商店街を中心に「安心・安全な食を提供する」個店を応援するイベントなので、そこで味が気に入ったら、次はお店へ行ってみればきっと仲良くなれるはずです。
フェス以外にも、隅田川縁のお花見、お祭り、花火大会、たくさんある季節のイベントに参加して、ぜひ自分から街に溶け込んでいく行動を起こしてほしいですね。

地元の飲食店が始めた、地域の多世代交流の場としての「すみだ食堂」


荘司美幸さんのお店「二階の食堂kanegafuchi」は、
丁寧にお出汁をひいたお料理の提供や食のイベントを開催するなど、地域に開かれた食堂です。

NPO法人すみだすくすくネットワークの荘司美幸さんは、墨田区最北部にある鐘ヶ淵で「二階の食堂kanegafuchi」という、地域に開かれた食堂を営みながら、地元の飲食店と連携して、毎月「すみだ食堂」を開催していらっしゃいます。

——「すみだ食堂」は、どういう主旨で開催されたのですか?

荘司さんいま子どもの貧困が問題になっています。一日一食、もしくは学校給食だけという子どもが存在するのは事実です。でも子どもの貧困という視点だけじゃなくて、お母さん、お父さん、シニアの方、みんながそれぞれの問題を抱えていて複雑に絡み合っている。これは地域の課題なんですよね。
それなら、食を通じて地域が支え合う仕組みをつくって、赤ちゃんからシニアまで、みんなで食べることが楽しい・嬉しい場づくりをするのが良いのではないかと考え、2016年4月から「すみだ食堂」をスタートしました。


7月に「二階の食堂kanegafuchi」で開催した「すみだ食堂」は、
米粉のカレーとポテトサラダのメニュー。美味しそう!

——「すみだ食堂」は、誰でも参加できるのですか?

荘司さんお店によって開催頻度・開催日は違いますが、安心・安全な家庭料理を、大人500円・子ども300円で提供しています。地元の方が、ボランティアとして料理の提供やお片づけの手伝いから、参加者とお喋りしたりお子さんと遊んだりしてくれます。一緒に食事を楽しみながら、地元の方々と交流してもらえる場になればと考えています。
だから「子ども食堂」ではなく、「すみだ食堂」という名前にしました。

——「すみだ食堂」は、子どもだけではない多世代の地域交流の場ということですか?

荘司さんお手伝いする学生やシニアの方が、子どもと遊ぶことも叱ることもあります。「すみだ食堂」は、「孤育て」に追い詰められがちなお母さんに「一人で抱え込まなくても大丈夫だから」と言える場でありたいです。
先日、それぞれ3人のお子さんを連れたママ2人が参加されました。私達がお子さんの相手をしていたので、「2人でゆっくり食事と話が出来て助かった」と喜ばれました。「ああ、私達の役割ってこういうことなんだな」と逆に気付かされました。

あげてもらって♪子ども服のおさがり交換会「もちもちマーケット」


子ども服のおさがり交換会「もちもちマーケット」は、「持ちつ持たれつ」がテーマ。
特にベビー服のサイズや種類が豊富!とママに大人気です。

——墨田区には、他にも子育てママが交流できる場はありますか?

荘司さんもうひとつの子育て支援団体「すみだkomachi」では、子ども服のおさがり交換会「もちもちマーケット」を、墨田区のこそだてひろばや子育て支援センターで開催しています。
子ども服ってすぐに着られなくなっていくでしょう? 不用になった子ども服を持参して、替わりに欲しい子ども服をもらえるという物々交換システムです。いま、墨田区は人口増加中で子育て世帯も増えていますから、区内のママはもちろん、区外のママさんにも人気です。


子育て世帯に役立つ情報、ワークショップ、親子で楽しめる料理教室、
ステージでのパフォーマンスが催される「すみだ子育てメッセ」(入場無料)。

荘司さんまた、「すみだ子育てメッセ」では、子育てしている人と、子育てを応援する人をつなぐきっかけづくりのイベントです。第5回「すみだ子育てメッセ2018」は、11月4日(日)に八広地域プラザ 吾嬬の里にて開催します。私は2013年の第1回目から実行委員長として関わらせていただいており、地域のさまざまな方々にご協力いただいております。こちらもぜひ参加してみてください。

——マタニティママや子育てママには嬉しいイベントばかりですね。最後に、墨田区はどんなタイプの住民の方が多いですか? 仲良くなるコツがあれば。

荘司さん墨田区は、良い意味でおせっかいな人が多いです(笑)。何をするにしても、すぐ察してサポートしてくれる。下町の人ってイエス・ノーがはっきりしているから、言葉はきつく感じるかもしれませんが寛容性があるので、ありがたくおせっかいを受けちゃうのがコツかも。
「すみだ食堂」や「もちもちマーケット」を交流の場として活用するのもいいし、皆さんもおせっかいな人になって、手伝う立場になっていくと良いと思いますよ。


墨田区の取材をして、音楽イベントや子育て支援が活発な街だと知りました。「良い意味でおせっかい」な人が多い街って、あたたかくていいですね。皆さんもイベントに参加して、墨田区を体感してみてはいかがでしょうか?

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すみだ経済新聞 編集長 山田直大さん

広域墨田圏のビジネス&カルチャーニュースをお届けするインターネットの情報配信サービス、すみだ経済新聞の編集長。株式会社東京アート代表取締役。墨田区の音楽イベント「すみだストリートジャズフェスティバル」や、フードフェスと音楽フェスのコラボイベント「ニクオン」の企画・開催に関わる。

⇒すみだ経済新聞

NPO法人すみだすくすくネットワーク 荘司美幸さん

4人の子育てをしながら、食生活アドバイザー、だしソムリエ、子育て支援団体「すみだkomachi」代表、すみだこそだてメッセの代表など、さまざまな活動を展開。食を通じて地域が支え合う仕組みづくりを目指し、墨田区の飲食店が集まって毎月「すみだ子ども食堂飲食店の会」を開催している。

⇒NPO法人すみだすくすくネットワーク
⇒二階の食堂kanegafuchi

記事監修:すみだ経済新聞、NPO法人すみだすくすくネットワーク

取材内容は2018年9月27日現在のもので変更になる可能性があります

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