第2回 芦屋、百年の時を過ぎてもその憧憬は変わらない

芦屋、百年の時を過ぎてもその憧憬は変わらない

街ぶらり散歩・第2回の舞台は、のんびりとした空気が流れるハイソな街「芦屋」です。メジャーセブンの住んでみたい街アンケート・関西圏で、開始以来4年連続で第1位となるなど、関西で圧倒的人気の街です。そんな、関西有数の高級住宅地でありながら、洗練されたショップが点在するお洒落な街・芦屋の立寄りスポットをご紹介していきます。

  • 芦屋の歴史や街並み商業施設等をご紹介
  • 芦屋発祥の洋菓子店とパン屋、その本店へ
  • ふらっと立ち寄りたい癒しスポットと、おもちゃ屋へ
  • 上質な老舗レストラン、芦屋散歩コースのご紹介

風光明媚と謳われし面影が、いまも随所に

谷崎潤一郎や高浜虚子など、多くの文化人が愛したのも頷ける。山手へ目を向ければ、六甲山の清々しい緑の木々。四季折々その表情を変える芦屋川。川沿いを海へたどれば、広がる白砂青松の景勝。

明治・大正の頃に宅地開発が進んだ芦屋は、その恵まれた気候風土と景観、神戸・大阪から十数キロの距離にある利便性が人気を呼び、阪神間の旦那衆がこぞって邸宅を構えたという。この街の独特の気品は、本物を知り、審美眼にすぐれた人々がつくり上げてきたものなのだ。

六麓荘をはじめ、山手あたりでは大邸宅が多く見られる。大正13年に竣工した国指定重要文化財であるヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)も、当時の芦屋を偲ばせる名建築だ。フランク・ロイド・ライトによる建築は、端正なデザインが随所に施された風格あるモダニズム。一般公開もされているので、ぜひとも入館をおすすめしたい。

芦屋路線図

ハイソサエティを感じさせる、専門店の数々

芦屋市は総面積18.57km2いう小さな市だ。その中央を山手から海側へ向けて順に阪急、JR、阪神の3つの電鉄が平行に走っている。

3電鉄の真ん中を走るJRの芦屋駅付近は、もっとも商業施設が集まっている地域だ。駅前に広がるショッピングモール「ラポルテ」には、洒落たブティックやフラワーショップ、紅茶専門店などが並ぶ。洗練されたショーウィンドウのディスプレイは、この街の住人たちが要求するセンスの高さを表しているようだ。昼間なら、家庭画報や婦人画報のファッションページから抜け出したような芦屋マダムが、ショッピングしているシーンに出会うだろう。

手入れの行き届いた街路樹が続く歩道も、景観を大切にしている芦屋ならでは。駅前とはいえ、都心のように高層ビルが建ち並ぶこともなく、広く抜けた空の開放感が心地よい。

JR芦屋駅前は他にも大丸百貨店、南側にはいかりスーパーもあり、高級食材も手に入る。芦屋の中心的なショッピングスポットである。

芦屋散歩の写真:ウィンドウショッピングも楽しい、ラポルテ周辺
ウィンドウショッピングも楽しい、ラポルテ周辺

ハイクラスからカジュアルまで多彩な芦屋のいま

芦屋の顔は高級ブティックや洒落たレストランだけではない。商店街では八百屋や魚屋、生活雑貨店などが、昔ながらの商売を営んでいる。阪急芦屋川駅を降りてすぐの山手サンモールは、そんな懐かしい商店と、おしゃれな雑貨店やパン屋などが仲良く軒を並べる商店街だ。異国テイストあふれる店構えのベトナム料理やトルコ料理のレストランにも興味をそそられる。新旧入り交じった商店街には近隣の住人はもちろん、おしゃれやグルメに敏感な若い女性たちも訪れる。

芦屋の街を歩いていると気づくのは教会の多さだ。神戸・三宮からそう遠くない芦屋では、異国文化も柔軟に受け入れる素地があったのだろう。

阪神芦屋駅近くにある蔦で覆われた緑の教会。1993年に設立された芦屋クリスチャンセンターだ。安藤忠雄建築のチャペルで、月に25組ほどのカップルが式を挙げる。チャペルで挙式の後、レストランで披露宴というのが近年の傾向だが、この街なら幸せな二人が望む洒落たレストランを探すのもたやすいはずだ。

芦屋散歩の写真:ステンドグラスも美しい芦屋クリスチャンセンター
ステンドグラスも美しい芦屋クリスチャンセンター
芦屋散歩の写真:新旧のショップが軒を並べる山手サンモール
新旧のショップが軒を並べる山手サンモール

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