第2回 長期投資・分散投資

リスクをコントロールし、安定した資産運用を目指す

安定した資産運用を行う、つまり、リスクをコントロールするためには「分散投資」が有効です。“卵はひとつのかごに盛るな”という格言はあまりにも有名でしょう。分散投資では同じ金融商品に資産を集中するのではなく、複数の金融商品に分けて運用します。いずれかの商品で損失が出ても他の金融商品がその損失を補ってくれる組み合わせを作ることで、安定的な目標利回りが実現できる可能性を高めることができるのです。

例えば株の場合、IT関連に代表される新興市場などの株の中には、短期間のうちに激しい値動きを繰り返す株もあります。上場する銘柄に対し、複数分散して投資していたとしたら1銘柄だけに投資しているときに比較して、値動きはかなり安定します。それぞれの銘柄は日々大きく変動していても、全体としてはある程度打ち消し合って大きく負けにくい状況になります。ただし、株だけで運用していては、株が全体的に大幅に下げるようなこともありえますので、株と債券、株と投資信託、債券と投資信託などの、株以外の金融商品の組み合わせを考えるとよりリスクが分散できます。ここで、どのように資産を分散させれば良いかを考えていきましょう。

目的に応じて資産を分散させることをアセット・アロケーションといいます。似たような意味の言葉で、ポートフォリオがありますが、ポートフォリオは元来「紙ばさみ」を指す言葉で、欧米では資産の明細書を「紙ばさみ」に入れていたことから転じて、現在では個々人が保有する金融資産の全体のことを表すようになっています。ポートフォリオを最適に組むためにアセット・アロケーションを行う必要があるのです。

アセット・アロケーションを行うためには、投資活動が行われるマーケットにどのようなリスクがあるかを考えることが必要です。マーケットリスクには大きく「価格変動リスク」「金利変動リスク」「為替リスク」の3つがあげられます。もちろん、信用リスク、流動性リスク、カントリーリスク、季節リスクなど他にもリスクはまだまだ存在しますが、まずはこの3つのリスクをしっかり把握することが大切です。

まず把握すべき3つのマーケットリスク

「価格変動リスク」はマーケットでの取引価格が変動することにより、金融商品の価格が変化することをいいます。ニュースでもよく耳にするように、株式市場は常に取引価格が変化しています。価格の変化には業績の良し悪しなど明確なものもありますが、需給関係や、市場の雰囲気などで変わることもあります。もちろん、株式ばかりではなく、債券、投資信託なども同様のリスクがあります。

「金利変動リスク」は金利の水準が変動することによって、価格が変動するリスクです。金利変動リスクなのに、価格が変動するということに違和感を覚える方もいるでしょう。例えば、1日に1個卵を産むニワトリを10万円で購入したとします。しばらくして、毎日卵生活も飽きてきたので、ニワトリを誰かに売ろうと市場まで来たところ1日に卵を2個産むニワトリが売りに出されていました。

購入した金額と同じ10万円で売ろうとしても、みんな1日2個産むニワトリを購入するため、しかたなく5万円で売りました。卵が利率でニワトリの価格が金融商品の価格と考えれば理解しやすいのではないでしょうか。

「為替リスク」は、自国(日本)の通貨と外国の通貨の交換価値(為替レート)が変化することにより、価格が変化するリスクのことです。基本的には、自国の金融商品のみを購入していれば発生しないリスクですが、日本の金利水準は諸外国と比べかなり低くなっているので、金利が高い外国の金融商品を購入しようとする時には為替リスクを考えなければなりません。

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