ファブリックは部屋の空気感をつくる大切なアイテム—インテリアプランナー加藤登紀子さん

MAJOR'S Column

2021年11月4日

さまざまなファブリックを取り入れたマンション空間づくりについて、新刊『心をととのえる水周りのインテリア~キッチン・洗面・バスルーム』が好評のエディター、ライター、インテリアプランナーの加藤登紀子さんにアドバイスをいただきました。美しいファブリックを取り入れることで、部屋の空気感が上質なものに一新しますよ!

重すぎず甘すぎない、リビングのカーテンの選び方


エディター、ライター、インテリアプランナーの加藤登紀子さん。
住宅や商業施設のインテリアコーディネートも手がけています。

——今回は、さまざまな空間のファブリック(カーテン、テーブルクロス、クッションなどの布地や織物のこと)選びで、インテリアを一新させる方法を知りたいです。まず、カーテンのファブリックの選び方を教えていただけますか?

加藤さん最近のマンションのリビングは、ワイドスパン(横長)のプロポーション(かたち)が多いですね。採光部分が広く明るい窓辺を活かして、インテリアとのバランスをとるためには、「素材やボリュームが重すぎず、色柄が甘すぎない」ファブリック選びを心がけるとよいと思います。


「セミ・トランスペアレンス」のカーテン生地は、
重すぎず甘すぎず、存在感のあるリビングを演出してくれます。
ファブリックの織模様やテクスチャーが上質な空間を彩ります。
(写真提供:チェルシーインターナショナル)

加藤さんマンションの高層階などで、周囲の視線がさほど気にならないお部屋であれば、最近人気の高い「セミ・トランスペアレンス」を、シングルで掛けるのもお勧めです。
カーテンというと、シンプルで扱いがラクなポリエステルのボイル生地(細い糸を使った織物)と、ドレープのダブル掛けに慣れてしまっています。ですが今、光を通しながら、ほどよい目隠し効果でプライバシーも保てる「セミ・トランスペアレンツ」がとても充実しています。洗練されたナチュラルな素材感、ほどよい軽やかさは、ファブリックならではの魅力です。


リネン、コットン、和紙などのナチュラルな素材をつかい、
織りや加工のテクニックで表情をつけた「セミ・トランスペアレンス」。
さまざまなバリエーションが揃っています。
昼と夜、それぞれ窓辺に洗練されたオーラを。
写真は、欧米へ輸出もしている国内トップクラスの技術による
「MATERIA」(チェルシーインターナショナル)。

加藤さんインテリアの中でも、カーテンのオーラは、やはり大きいと思います。きちんと採寸したジャストサイズのオーダーメイドのカーテンは、掛けたときの美しさが違います。カーテンを引き分けたときのボリューム感も計算して、ファブリック選びを考えたいですね。

マンションの窓の腰高カウンターを特等席に設える


高層マンションの腰高窓のカウンターを、ファブリックでカバーリングした窓辺の特等席。
リモートワーク中の気分転換になりそうなコーナーです!
(写真提供:チェルシーインターナショナル)

加藤さんタワーマンションでは、写真左のように開閉できない腰高窓がカウンターになっているケースがあります。このカウンターに、厚み10㎝程度のウレタンをお好きなファブリックでカバーリングしたシートクッションを置いて、特等席に設えることもできます。ちょっとした寛ぎのコーナーにも、一人の時間を楽しむエスケイプ空間にもなると、お客様にも喜んでいただいています。


アート作品や大小のクッションをプラスすれば、お気に入りのコーナーが出来上がります。
「部屋のコーナーがファブリックで美しく設えられていると、
視線が奥まで届き、インテリアの効果も大きいです」と加藤さん。
(写真提供:チェルシーインターナショナル)

クッションやテーブルクロスで気軽にアップデート


仕事柄さまざまなショールームやショップで新作ファブリックを見て回る加藤さん。
こちらはスペイン「James Malone」のファブリックによるテーブルコーディネイト。
「伝統的な文様に、James Maloneならではのモダンエスニック感をプラスした
デザインと色使いも新鮮です」

——加藤さんの著書やインスタグラムの投稿で、さまざまなブランドの素敵なファブリックが紹介されています。ファブリックの、色×色、柄×柄のコーディネートは難しいものでしょうか?

加藤さんクッションやテーブルクロスで、思い切った色柄の組み合わせを楽しめば、気軽な模様替えになりますし、そう難しくはありません。たとえばテーブルクロスが多色使いのものであれば、その中から気に入った色をピックアップして、プレースマットやクッションなどの小物の色を選べば、色×色も失敗しません。


「素材感と色調を合わせれば、柄×柄も難しくありません。
こちらは映画『007』のインテリアデザインを手掛けたこともある、
英国「アンドリュー・マーティン」のファブリック。
写真のようにリズム感が生まれてきます」
(写真提供:チェルシーインターナショナル)

加藤さん来客や季節イベントで、クッションカバーやテーブルクロスを替えるだけでも、非日常感が出て、手軽に場の雰囲気を変えることができます。色×色や柄×柄の思い切った組み合わせにチャレンジして、インテリアをアップデートしてみてください。

水廻りのタオルを揃えるだけでも変わる!


「パウダールームは、自分と向き合う場所です。
ホテルのパウダールームが落ちつくのは、色やモノの数が抑えてあり
目と心がざわつかないからです」
(写真提供:FILE東京 撮影:吉澤健太)

——コロナ禍で頻繁に手洗いをするようになったせいか、洗面所やバスルームのインテリアやタオル類が、以前より気になってきました。

加藤さん水廻りのファブリックでいえば、タオルはパウダールームのインテリア的な存在です。私は一軒家からマンションへ移ってから、タオル選びの考え方が変わりました。タオルの収納場所が限られるので、多くのタオルストックを持つのではなく、乾きやすくかさばらない上質なタオルを選ぶようになりました。


リネン(写真左)は、パイル織やワッフル織などのバリエーションが増えました。
モダール(写真右)は、シルクのような肌触りと光沢が楽しめます。
(写真提供:(左)リネンアンドデコール、撮影:吉澤健太 (右)撮影:川上輝明)

加藤さん吸放湿性に優れたリネンや、肌触りがよく乾きやすいモダール(ブナの植物繊維を原料としたもの)のタオルは、畳んでもかさばらなくてお勧めです。毎日触れて目にするタオルなどのファブリックこそ、長く使える上質な素材や色を厳選することで、暮らしの心地よさが向上するはずです。


加藤さんの著書『心をととのえるインテリア』と、8月に発売されたばかりの
『心をととのえる水周りのインテリア~キッチン・洗面・バスルーム』(すべて光文社)。
国内外の素敵な事例がふんだんに紹介されている「心をととのえる」シリーズは、
インテリアプランを考えるのにぴったりです。

加藤さんコロナ禍により、家で過ごす時間やキッチンに立つ時間が圧倒的に増え、いま多くの方が「家」の大切さに気づいたのだと思います。今回ご紹介したように、生活空間のファブリック選びだけでも、目に嬉しい心地よい空間に変化させることができます。ファブリック選びの楽しさにも着眼して、インテリアに取り入れてみてください。


インテリアというと、家具などの大きなものを揃えることから考えがちですが、ファブリックから考えると、さらに楽しく自由度の高いインテリア選びができそうです。マンションのモデルルームのインテリアコーディネートも、新しい住まいや暮らしのイメージづくりの参考になるはず。MAJOR7のマンションのモデルルームに出かけてみませんか?

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加藤 登紀子

東京生まれ。日本女子大卒業。 フリーのエディター、ライター。 「住む人を幸せにするインテリア」をライフワークとし、 国内外の1,000軒以上の家を取材。幅広いネットワークをもち、 ライフスタイルに関わる企画も多数手がける。また「デザインオフィスシュエット」を主宰し、住宅・商業施設のインテリアコーディネートも行う。著書に、雑誌『HERS』の連載をまとめた『大人の幸せなインテリア』、『心をととのえるインテリア』、『心をととのえる水周りのインテリア~キッチン・洗面・バスルーム』(すべて光文社)がある。
インスタグラム@tokiko.maison

記事監修:加藤登紀子

取材内容は2021年11月4日現在のもので変更になる可能性があります

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