80代のお母さまがワンちゃんと一緒に、息子夫婦が暮らす東京へ “肉じゃが”の冷めない距離に住む「マンション近居」の安心感とは

MAJOR'S Column

2016年1月26日

最近、お子さん家族と親御さんとが近い場所に住む「近居」が人気です。

孫育てのため、高齢となった親の見守りのためなど、さまざまな理由から「近居」という選択肢を選ぶ人達が増えていますが、今回は同じマンションで「近居」することを選んだディンクスご夫妻にお話をお伺いしました。

親子で同じマンション住まい、後押しになったのはワンちゃん問題

50代のKさんご夫妻は、東京でそれぞれ忙しく働いていましたが、関西郊外で一戸建てに暮らす83歳のお母さまが数年前にひとり暮らしになり、東京と関西を頻繁に行き来する日々が続いていました。

Kさん夫の母は、持病もあり、一戸建ての家にひとりで暮らすことがだんだんと心細くなっていたようです。

足腰が弱ってきたお母さまは、階段の上り下りがつらくなり二階の掃除もままならない状態でした。寝たきりになるほどではなくても、歳を重ねるに伴い日々の暮らしが不自由になり、漠然とした不安を感じていらっしゃったにちがいありません。

Kさん可愛がっていたペット、シーズー犬のぶーちゃんも、その当時11歳と高齢で、母が朝晩の散歩に連れていけないため運動不足に陥り、十分世話ができなくて毛艶も悪く、いまよりずっと老けてみえました。


東京のマンションでお母さまと一緒に暮らすシーズー犬のぶーちゃん(現在15歳)。
東京行きの決断は、ぶーちゃんのためでもあったのです。

そんなあるとき、お母さまの方から「私が東京に行ってもええよ」と言い出されたのだとか。

Kさん母もひとりで将来のことを考えていたんだと思います。ペットのぶーちゃんのことも心配だったんでしょう。でもまさか、自分から東京へ行きたいと言い出すとは思いもしませんでした。心配したのは逆に私達の方で、『友達も親戚もいない東京で大丈夫?』と訊いたくらいです。

母は、一旦決心したらその後は悩まない、思い切りのいい性格の人。『そんなん、親戚も一年に一度会うか会わへんか程度やし、東京にいてても同じや。二人のマンションの近くのアパートでも借りてくれたらええ』とさばさばしたものでした。

お母さまは、自分の生活を大切にしたいタイプ。同居ではなく、ご夫婦の近くに住む「近居」を最初から望んでいました。

当時ご夫婦は、山手線内の下町エリアの場所が気に入って賃貸マンションに居住。お母様のために近隣のペット可マンションを探しましたが、80代のひとり暮らし向きのペット可賃貸物件はほとんどないという状況でした。

Kさんエリア的にファミリー層向け物件がほとんどだったこともありますが、シニアの独居+ペット可物件がないとは、思いもしませんでした。

ちょうど駅前にできた新築マンションのモデルルームを見学したことがきっかけで、お母さまのためにマンション購入を決定。購入の手続きに通っているうちに気に入り、いっそ同じマンションに住んだらさらに安心なのではないかと、ご夫婦自身も購入を決定されたのでした。

ご夫婦がマンション購入を決定したのは、防災面の理由もありました。

Kさん母の部屋探しとは別に、東日本大震災のときに住んでいた賃貸マンションの壁面に亀裂が走り、耐震性に不安を感じて、同じエリアでの住み替えを検討していた頃だったんです。

母の部屋探しを優先していたのですが、担当者の方から耐震構造のマンションの説明を聞いていると、防災面でも魅力的なマンションだと感じました。震災のことが頭にこびりついていたので、我々にとってもいいマンションだな、と。それに同じマンションだったら、もっと安心だしいいか、ということになりました(笑)

部屋探しを二人に一任していたお母さまも、一緒のマンションで暮らすなら、さらに安心できたにちがいありません。

お手製の「肉じゃが」が冷めない距離、互いが安心できる距離感


お料理好きのお母さまは、いまでもごはんづくりを欠かしません。
肉じゃがや煮物ができあがったら、「お部屋に取りに来てね」と連絡が。(写真はイメージです)

お二人の部屋とお母さまの部屋は、数戸離れた同じフロア。お互いの生活を大切にしたいものですが、「近居」暮らしの距離感はどんな感じなのでしょうか?

Kさん最初は階数違いの部屋がいいかとも考えていたのですが、同じフロアにしたことで、遠すぎず近すぎず、お互いが必要なときに一緒にいられる、ちょうどいい距離感になりました。

若い頃お料理の先生をやっていた母は、“タケノコの炊いたん”や“肉じゃが”などのお総菜をつくっては、うちにお裾分けしてくれて助かっています。関西の実家が、東京に引っ越してきたような感覚ですね(笑)

お裾分けのお総菜が冷めない距離は、家族で暮らすにはピッタリの距離感だといえますね。

Kさん夕食は私たちの部屋で一緒にいただいています。近所へ一緒に外食へ行くのも大好き。犬の散歩は、朝晩私達がしますが、母がシルバーカーに乗せて一緒に出かけることも。出かけるのが好きな母は、週に3回のデイサービスに出かけたり、一人で駅前にコーヒーを飲みに行ったりして、東京ライフを楽しんでくれているようです。

お住まいのエリアは近隣に学校があり、マンション周辺の道が通学路になっていて、日中は車が入らないことも安心できる点だとか。
文教エリアに位置するマンションは、小さいお子さんだけでなくシニアにとっても安心できる環境になるのですね。これは意外な視点でした。


お部屋は、あたたかな南向き。
マンションは機密性も高いので、「日中はほんまに暖房いらずですわ」とお母さま。バルコニーや室内には、お母さまが関西から持ってきた植物が50〜60鉢ほどあり、緑豊かなお部屋になっています。

関西の一戸建てから東京のマンションへ引っ越すには、さぞ荷物の整理が大変だったのではないでしょうか?

Kさん主人が引越の荷物の処分は手伝いましたが、引越自体は母の負担にならないように、おまかせパックで済ませました。大きな家具は処分しましたが、大切な仏壇などはこちらへ運びました。あとは、母の趣味の小物や絵、たくさん育てていた植物は持ってきました。

いままでの暮らしをそのまま運んでくるのは無理としても、愛着のあるものを身の回りに置くことは大切です。これもまた、シニアの住み替えの参考になりそうです。


お母さまのリビングの壁に飾ってあるのは、ペットのぶーちゃんのイラスト。
お気に入りのものが身の回りにある暮らしは大切です。

Kさんたまに東京暮らしは寂しくない?と母に聞くこともありますが、『そんなん、考えてもしょうがない』と言うくらい、本当に前向きな性格なんです(笑)

お母さま東京、いいですよ。デイケアサービスで、ディズニーランドへも行きましたし、二人に東京スカイツリーや新宿御苑のお花見にも連れていってもらいました。関西の友達や親戚も、泊まりがけで遊びに来てくれますしね。

好奇心旺盛なお母さまですが、やはりお子さん夫婦と近くに暮らしていることが、なにより一番の心の支えとなっているのでしょう。

ゆるく一緒にいる感じが「近居」のよさ


ダイニングテーブルは前の家から運んできたもの。
お花や観葉植物、金魚、お人形、お母さまの好きなものに囲まれた暮らしづくりを心がけているそうです。

Kさん母には持病があって、年に一度くらい発作が起きるんです。このマンションへ引っ越してからも発作がありましたが、私達がそばにいたことですぐに病院へ連れて行くことができました。あのまま関西に一人で住んでいたら、どうなっていたかと思うと、一緒に東京で暮らすことにして本当によかったです。

高齢になると、いつどんなことが起きるかわかりません。必要なときにすぐ頼れる、駆けつけられる、そんな距離感が「近居」のよさといえます。

Kさん性格にもよると思いますが、前向きで好奇心のある母のようなタイプだから、住み替えの決断も早く、結果的にうまくいったのだと思います。
いま、東京に暮らしはじめて3年目、母も86歳になりました。これがもっと後になっていたら、体力的に難しかったかもしれません。いいタイミングだったんですね。

元気なうちに「近居」を選択することが、結局は、病気の予防や気持ちの若返りにつながって、よいサイクルに動き始めるのかもしれません。


ペットのぶーちゃんも、東京に来て運動や食生活が改善されたこともあり、見違えるように元気になったそうです。そのことも、お母さまにとっては嬉しいことのひとつに違いありません。「ぶーちゃんも関西にいる頃はもっと老けてたのに、東京で暮らすようになってこんなに元気に。若返ったみたいです(笑)」とKさん。

シニアのひとり暮らしに、ペットは大きな存在。家を住み替えても一緒に暮らせるペット可マンションは、今後も需要が高まるにちがいありません。

Kさん同じマンションの中に、お互いの部屋があって、好きなときに行き来ができる。ちょっとゆるい距離感が、『近居』のよさなのだと思います。一戸建てに一緒に住まないかと言って親を呼び寄せようとした友達もいましたが、親御さんの方から『自分たちの暮らしがあるから』と断られたそうです。

やはり元気なうちは、同居はむずかしい。『近居』は、お互いの生活を尊重するという意味でも、よい選択なのかもしれませんね。

マンションでの「近居」は、お子さん夫婦にとっては、親への目配りや一緒に出かけることができ、親御さんにとっては、防犯や健康面でも安心しつつ自立して暮らせるというメリットがあります。

一戸建ての二世帯住宅ほど近すぎず、住戸間のプライベートの区切りがしっかりしているマンションでの「近居」は、これからの高齢化時代の新しいライフスタイルトレンドになっていくかもしれません。

2016年1月26日

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