第4回 投資のタイミング

投資のタイミングを予測するのは困難

株式でも債券でも、あるいは金や原油などの商品でも、マーケットには価格が上昇する時期と下降する時期があり、その価格の変動を利用することによって利益を得ることは確かに重要です。「安く買って高く売る」「頭と尻尾はくれてやれ」などの格言が相場用語として数多くあり、資産運用で成功するための秘訣として語られることは多いのですが、これを長期間に渡って正確に予測し続けるのは大変難しいです。

市場が下降基調にあるときは「種をまく時期」であり、市場が上昇基調にあるときは「まいた種が成長していく時」だと捉えることができます。
投資する立場としては、もちろん市場が低迷している時期は静観し、種が成長する時期だけに投資すればもっとも効率が良いのでしょうが、タイミングを見計らっているうちに、資産が成長するタイミングさえも逃してしまうことの方が多いようです。

静観したことで、結果的に投資のタイミングは逃してしまったが、多くの人が大きな損失を抱えてしまったのに対し、損はしなかったとほっとする方もいることでしょう。ただ、その場合も確かに金銭的には損失は出ておりませんが、時間という大切な資産を損失していることを忘れてはなりません。

投資する時間を分散する

このように投資のタイミングを計り、実際に行動することは難しいことですが、一つの解決策として、投資する時間を分散する「ドルコスト平均法」がありますので紹介します。

ドルコスト平均法には、(1)毎回一定の金額を決めて買い付ける方法と(2)投資単位を決めて買い付ける方法があります。投資単位は、投資信託でいえば口数、株式でいえば株数が該当します。

ドルコスト平均法を利用した資産運用のシミュレーションを「1年目から5年目まで一貫して価格が下落していった場合」「3年目まで急激に価格が低下し、その後徐々に上昇した場合」「初年度から一貫して価格が上昇した場合」の3つのケースに分けて見ていきましょう。

【ケース1:1年目から5年目まで一貫して価格が下落しいった場合】

(1)毎回一定額(10,000円)を購入した場合と、(2)1.0口単位で購入した場合と比較すると、(1)の方が、平均買コストが低く抑えられていて、運用利回りのマイナス幅も小さくなることがわかります。ちなみに1年目に資金全額を集中投資した場合では、運用利回りは▲40%になるのに対し(1)では▲22.5%、(2)では▲25.0%になります。

【ケース2:3年目まで急激に価格が低下し、その後徐々に上昇した場合】

(1)は(2)と比べて平均買コストが抑えられており、運用利回りがプラスとなります。また初年度に全額投資した場合、運用結果は▲60%となるのに対し、(1)では8.0%、(2)では▲20.0%になります。

【ケース3:初年度から一貫して価格が上昇した場合】

(1)、(2)ともに運用利回りはプラスですが、初年度に全額投資した場合、運用結果は50%に対し、(1)では19.5%、(2)17.2%になります。

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