Vol.14プロが語るマンションの今 ~7社ならではの取り組み~
マンションやビルなどの開発は、建物が完成すれば終了、ではありません。
特に大手不動産会社は、これまで培ってきた経験やノウハウ、多種多様なネットワーク、長期間の投資に耐えうる財務力を持ち、そのリソースを生かし、様々な特筆すべき取り組みを長い時間をかけて行っています。
今回は各社の手掛ける取り組みの中から、「建て替えプロジェクト」「経験が培う先進性」「充実するオーナーサポート」についてご紹介します。
プロフィール
【住宅アドバイザー】
高江 啓幸
(たかえ よしゆき)
かつては「契約するまでは担当者を筆頭に親身に接してくれるが、契約した後はろくにフォローも無い」などというような不満を耳にすることも少なくありませんでした。
近年ではそのような話を耳にすることはめったになくなりましたが、契約後・入居後のサポートに関して、デベロッパー各社で差があるのは事実です。
三菱地所レジデンスが管理会社の三菱地所コミュニティとともに取り組んでいるのは、契約者向け・入居者向けのWEBを中心とした会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」です。
サポートメニューは他社との比較においても非常に充実していると言えますが、最も特徴的なのは、一方的な情報発信ではなく、会員とのインタラクティブなコミュニケーションが重視されているということです。
「三菱地所のレジデンスクラブ」では、家具の割引サービスや様々な会員特典を提供するとともに、アフターサービスの受付や売買仲介、賃貸運用等の各社サービス受付のほか、オリジナルイベントの開催により会員とのコミュニケーションを促進する活動を展開しています。
中でも、三菱地所グループのCSR活動「都市と農山村をつなぐ『空と土プロジェクト』」と提携した田植え体験ツアーや野菜の収穫体験キャンプなど、グループ力を生かしたサービスが好評を博しています。
こうした一連のサポートを、管理会社のみでなく、マンションを開発・商品化し販売した事業主自らが主体的に行っていること自体が重要であり、顧客と真剣に向き合う企業ポリシーと言えます。
※三菱地所のレジデンスクラブは、三菱地所コミュニティとともに運営している関係で、三菱地所コミュニティが管理している物件に限られます。(購入されてから管理会社が変わってしまった物件にお住まいのお客様につきましては対象となりません)
既に不動産各社のオーナーサポートには様々な違いがあることは記しましたが、東急不動産の展開する「ブランズサポート」にも特徴的なメニューがあります。ひとつは「緑をつなぐ」プロジェクトです。これはユーザーが購入したマンションの専有面積と同じ面積の森を1年間保全する、というものです。東急不動産グループが社会貢献のひとつとして行っている活動とマンション購入者へのサービスを結びつけるというアイディア。購入者の直接的なメリットではありませんが、間接的であれ社会貢献に資するというのは誰しも悪い気はしないでしょう。また、その対象は新築分譲のみならずグループの仲介会社で取引された中古マンションなどグループ全体での購入・利用なども対象となるので、保全される森林の面積も相当なもの(約8,400,000㎡/2014年1月現在)になっています。
またグループの管理会社が行っている「家族力プラス」は有償サービス(※年会費は5年間無償)ですが、実生活の中では必要なのにもかかわらず、いざとなると対応に困ってしまうような水回りの修理や家具の移動など細やかなサービスが好評を博しています。さらに2013年秋からは新築マンションの住宅設備機器に関して、アフターサービス期間終了後でも5年間は電話一本で訪問修理を無償で行うサービスも一部導入を始めました。こうしたサービスメニューは、入居者の暮らしの実態をきちんと把握できていなければ、そのニーズに気付くこともできないでしょう。長期に事業を継続し、これまで行ってきたサービスをきちんと振り返り、より良いサービスメニューへ進化させているからこそ可能なことですし、それを実践していることも評価されるべきものだと言えます。