前述の通り、節約はすぐに効果が現れます。効果が出るとやる気が段々出てきますが、節約は経済的なモノサシだけで判断すると間違った選択をしてしまうということがあります。
節約をするということは今まで支出をしている何かを削ることになります。生活していくうえで必ずお金を使わなければならないものもあるので、自然と節約できるものは余暇、レジャー、趣味、嗜好品といったものが対象になります。大抵これらのものは、ストレスを発散させるためにお金を使っていますので、節約する対象を間違えてしまうとご家庭の空気を悪くしてしまうことが多いです。また、節約する対象が、旦那さまのみに負担がかかる、もしくは奥さまのみに負担がかかるといった公平感に欠けることになりますと、協力が得られず、なかなか効果が上がりません。
まず、ご家族みんなで共通の目標を作り、それに向かって節約をするという体制を作りましょう。途中で挫折してしまったご家庭を見ると、A.共通認識を持っていない、B.コミュニケーションが取れていない、C.当事者意識を持たれていない(他力本願)であることが多いからです。
例えば、節約することで、1年間で60万円の貯蓄を増やし、そのうちの10万円(15%相当)で旅行に行き、残り50万円で株式(株主優待目的)を購入し、その優待制度を利用して食事をするなど、あらかじめ具体的な共通目標を決めておくことです。
それを意識し続けることで、家族間のコミュニケーションが取れ、とても楽しい投資になります。
また、節約をする上での一般論ですが、まず、食費や住宅ローン、生命保険料などの比較的大きな支出を見直した方が節約の効果が大きくなるはずです。
金融広報中央委員会HP「知るぽると」で公表している「暮らしと金融なんでもデータ」に「世帯人員別標準生計費」というデータ(PDFファイル)があります。
この中を見てみると
という傾向が分かります。
ただ、それでもなかなか原資が作れないという方がいます。そう言う方は、以下のように発想の転換を行う必要があります。
「収入-支出=収益」→「収入-収益=支出」
つまり、収入から支出を引いた残りを積立てるという発想ではなく、収入からまず毎月目標にしている積立額などを天引きし、残った金額で生活していくという発想です。そうすることで収益ができますし、節約も自ずと実行することになります。
この発想は、住宅購入時に今までよりも住居費が増加する際にも活用できます。例えば、今まで月10万円だった住居費が、住宅購入に伴い15万円になると決まっている場合は、事前に増加する5万円を天引きすることで、購入後と同様の家計状況を想定でき、購入後の環境を先取りすることができます。具体的にどうしたらいいかというと・・・私のお客さまも実践している比較的無理なく対応している方法で「袋分け」があります。
この方法のメリットは、
ということです。
家計を「視覚化」することで、家族みんなが協力し合える環境が作れるのです。