第4回 投資のタイミング

ドルコスト平均法のメリットとデメリット

前ページのシミュレーション結果では、(1)毎回一定額を購入したケースが最も優れていましたが、ドルコスト平均法が万能というわけではありません。
ケース3のように、運用期間を通じ一貫して投資した商品の価格が上昇するようなケースでは、初年度に集中投資した方が、ドルコスト平均法によって投資した場合よりも良い運用結果となります。

ドルコスト平均法のような分散投資と、タイミングを見計らっての集中投資には、運用結果という観点からみると、どちらが優れているかについて断言することはできません。
しかし、投資する時間を分散することによって、保有資産の大半を価格の高いところで投資してしまい、その後の下落時に損失を横目に身動きが取れなくなってしまう(天井買い)というリスクを避けることができます。

このような分散投資の考え方は、これからの毎月積み立てをお考えの方はもちろん、既にある程度まとまった資産をお持ちの方にとっても有効です。
もちろん何らかの確信、根拠をお持ちの上で、あるタイミングに集中投資されることは、最高の運用結果を目指すための一つの方法です。

しかし、もしもその運用に失敗した場合、最悪のケースではどの程度の損失を被るのか、についての見積もりはしておく必要があります。なぜなら、もしその失敗によって家計が致命的なダメージを受け、立ち行かなくなるようになってしまったら、その投資は本末転倒だったといわざるをえないからです。
そうならないためにも、ドルコスト平均法のような数回に分けて定期的に資産を移し換えていくということが重要なのです。

今後のライフプラン

資産運用の原資も確保し、分散投資できる商品も選び終わり、実際に運用を始めようという段階まで来ましたら最後に簡単で良いので今後のライフプランを確認しましょう。運用を始めた直後に、結婚や子供の出産などのライフイベントにより、本来は喜ぶべきことなのですが、運用資金がそれに伴い消えてしまう、もしくは換金するタイミングが悪く損をしてしまうことがあります。
ライフプランを確認して、予想されるライフイベントとそのイベントに必要な資金額、そのイベント時点での家計の状況を予想しておいた方がよいでしょう。
確かに、ライフプランを立てたとしても、あくまでも未来のことですから、どうなるのかは誰にも正確には予測できません。しかし年齢に関するイベント、例えば子供の養育費と住宅ローンの支払いのピークは何年後なのか、といったイベントについては、大まかに予測することが可能でしょう。

それに加えて、人生において運用資産を捻出しやすい時期がいつなのか? 逆に難しい時期がいつなのか? 運用を継続できそうなのか? 取り崩す必要がありそうなのか? といった予測を前もって立てるだけでも、資産運用のタイミングや方法を、より具体的に判断できるようになります。

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