エディター・インテリアデザイナー 加藤登紀子さんに聞く、本好きのための本棚

MAJOR'S Column

2022年9月14日

新居へ引っ越したら、どんな本棚にしたいと考えていますか? これまでに国内外の1,100軒以上の家を取材しているエディター・インテリアデザイナーの加藤 登紀子さんが実際に訪ねた家の素敵な本棚の事例や、おすすめの本棚製品を紹介していただきました。新居の本棚の参考になさってください。

それぞれに哲学のあるパリの本棚


加藤登紀子さんの著書『心をととのえるインテリア』(光文社)と、
HERS編集部『大人の幸せなインテリア 女性がくつろげる家・40軒』(光文社)。
今回は、この2冊を中心に素敵な本棚事例をご紹介します。

デンマークの収納ボックス「ミュート」を組み合わせた、オレリーさんの本棚。
サイズ違いのボックスの組み合わせが楽しい雰囲気を醸し出しています。
『心をととのえるインテリア』(光文社)より (撮影 松永学)

加藤さんパリ在住ファッションデザイナーのオレリー・フォレスティエさんにとって、本は「私の人生の一部」と言うほど大切な存在です。仕事場を兼ねたアパルトマンのダイニングの壁一面に置かれた本棚には、彼女の仕事の資料でもある画集や写真集が、アーティスト毎に分類して収められています。コーナーに置いたチェアとファブリック、またチェアと同色のスタンドのヴィヴィッドなカラーも、本棚の楽しいアクセントになっています。


同じくオレリーさんの玄関にある本棚。
白く塗ったワインの木箱を並べて作った本棚は、
敢えて色を排除して紙の色の美しさを見せる並べ方です。
『心をととのえるインテリア』(光文社)より(撮影 松永学)

加藤さんまた、玄関の小さなスペースにある本棚は、本の背表紙を見せずに並べているのが面白い。「紙の色の違いを愛でる」という発想は、クリエイターならではの美意識ですね。小さな折り畳みの椅子が置いてありますが、小さくても心地よいこの場所でひとり読書することもあるそうです。


寝室の本棚。新しい本を呼び込むために、何も入れない余白を設けています。
『心をととのえるインテリア』(光文社)より (撮影 松永学)

加藤さん「my Little Paris」のエグゼクティブ・マネージャーのアンヌ=フロール・シャブリエさんは、収納スペースに必ず余白を設けています。寝室の書棚、キッチンの引き出し、クローゼットの中、どの収納にも必ず何も入れない場所があります。フルに入れてしまうと、新しいものが入ってこない。まだ見ぬ未来を迎えるために、余白を持つ大切さを目に見えるかたちにしている、といいます。むずかしいかもしれませんが、循環する本棚をめざしてトライしてみたいアイデアです。

仕事のための本棚


デザイン事務所「FILE」代表の石川敬子さんの本棚。
打ち合わせスペースを兼ねたLDK。デンマークのヴィンテージの本棚が
インテリアに溶け込んでいます。
『大人の幸せなインテリア 女性がくつろげる家・40軒』(光文社)より (撮影 福知彰子)

加藤さん「FILE(ファイル)」は、本棚も含めたフルオーダーの収納家具の実績も豊富なデザイン事務所です。自邸をそのショールームになさっている石川さん。ダイニングは家族やスタッフの食事の場であるばかりでなく、クライアントとの打合せの場でもあります。そのためヴィンテージの本棚には、打合せに使う本も収められていますが、家具の力も手伝い、本棚がダイニング空間にしっくりと馴染んでいます。暮らしと仕事が心地よく融合したお手本です。


料理研究家 小堀紀代美さんの美しい本棚。
壁一面の本棚はオーダー家具で、色別に並べた世界の料理の本が並びます。
『大人の幸せなインテリア 女性がくつろげる家・40軒』(光文社)より(撮影 福知彰子)

加藤さん料理研究家の小堀さんの本棚には、海外で集めた料理本が色別に美しく並べられていて、ワクワクします。カラフルな琺瑯鍋などの台所道具がところどころに置かれているのも楽しくて、見せるインテリアになっています。仕事のための本棚は、その方のアイデアの源泉ですね。

「見せる」アートな本棚


林友子さん作の額に、手元に置いておきたい本や美しい本を飾っています。
(写真:加藤登紀子)

加藤さんこれは私の仕事部屋の一角です。いつも目にしていたい本や画集は、林友子さん作の額に、ディスプレイするように飾っています。林さんの額はアート。木を削りだして成形し、左官や箔で丁寧に仕上げる。すべて林さんお一人の手によるものです。唯一無二の美しさですが、実はとても軽くて、プッシュピン2本に掛けてあるだけです。本棚に収めるだけでない、こうした本の楽しみ方もいかがでしょう。


私の本棚の一角。表参道「H.P.DECO」で出会った小さなオブジェを
本棚のミューズとして飾っています。
(写真:加藤登紀子)

北欧のデザイナーが作ったブックホルダー。
紐を本に挟んで吊すだけのシンプルなデザイン。
読みかけの本をここでキープ。また本をアート的にも飾れます。
(写真:山本詩野)

加藤さん以前取材したお宅で、廊下にベンチを置いて、お子さんに読んでほしい本を置いている方がいらっしゃいました。ベンチが置けなくても、こうしたホルダーを廊下や子供部屋に設けて、新しい本との出会いをつくってみてはどうでしょう。

スペースに合わせてカスタマイズ


ドイツ・システム家具ip20 Einrichtenによる本棚を備えたワークスペース。
写真提供:エスプリブラン(ip20 Einrichten)

加藤さんお部屋のレイアウトにもよりますが、マンションの廊下、または居室内にある観音開きの収納スペースを、システム家具でリモデルして、本棚を備えたワークスペースをつくることもできます。扉をさっと閉めればすっきりとした壁面になります。

壁付け本棚でインテリアとして見せる


北欧で人気の壁付けモジュール式収納家具String®︎ (ストリング) の「String Pocket」は、
幅60cm・奥行き15cm・高さ50cmのコンパクトサイズ。
CDや文庫本の収納にぴったりです。
(写真提供:株式会社グリニッチ)

加藤さん「見せる」本棚にぴったりな、壁付け式の収納家具をご紹介します。スウェーデンString®︎ (ストリング)の「String Pocket」は、壁の色やインテリアに合わせて選べる10色展開。
モジュール式なので空間に合わせて複数連結させることもできます。下地のある位置に取り付ける必要がありますが、お手頃な価格なので取り入れやすいと思います。

いくつかの事例を見ていただきましたが、専用の本棚でなくても、工夫次第で活用できるものは多くあります。
本棚は、その方の個性。ぜひ世界に一つのインテリアを楽しんでください。


たくさんの本をいかに効率的に収めるかと考えがちな本棚ですが、インテリアとしての本棚を考えてみても良いですね。新居にぴったりな本棚を見つけてください!

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エディター、ライター、インテリアプランナー 加藤 登紀子さん

東京生まれ。日本女子大卒業。 フリーのエディター、ライター。 「住む人を幸せにするインテリア」をライフワークとし、 国内外の1,000軒以上の家を取材。幅広いネットワークをもち、 ライフスタイルに関わる企画も多数手がける。また「デザインオフィスシュエット」を主宰し、住宅・商業施設のインテリアコーディネートも行う。著書に、雑誌『HERS』の連載をまとめた『大人の幸せなインテリア』、『心をととのえるインテリア』、『心をととのえる水周りのインテリア~キッチン・洗面・バスルーム』(すべて光文社)がある。
インスタグラム@tokiko.maison

記事監修:加藤 登紀子

※紹介した事例は、各書籍発売当時のものです。
※取材協力:光文社株式会社グリニッチエスプリブラン株式会社(ip20 Einrichten)

取材内容は2022年9月14日現在のもので変更になる可能性があります

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