アートギャラリーの山本詩野さんに教わる、マンションで感性豊かにアートを飾る方法

MAJOR'S Column

2021年8月4日

東京・南青山「ギャルリーワッツ」の山本詩野さんに、マンションにアートを取り入れて楽しむ方法を教わるシリーズ第2弾。今回は、アートに興味があるけれど「どうやって飾ればいいのかわからない」「飾る場所がない」という方向けに、具体的な飾り方やアート好きな方のご自宅例をご紹介します。

飾る場所がない!という意識を変えてみる


変化できるアート。布のコラージュで出来た本のような作品は、
開いたページ、置く場所、額装によって、印象が変化します。

前回の記事では、国内外のさまざまなジャンルの作家の企画展を開催・作品販売している「ギャルリーワッツ」の山本詩野さんから、マンションライフにアートを取り入れる方法を、アート初心者向けにアドバイスしていただきました。
今回は、アートに興味がある中級者向けに、マンションにアート作品を具体的に飾るアイデアを教わります。

詩野さん前回の記事でも、部屋にスペースがないからアートを飾らないのではなく、大好きな作品を身近に置きたいという思いを大切にして、自分らしく楽しんでいただきたいとお話しました。
「うちのマンションには飾る場所がない」という意識や発想を変えてみると、実はアートを飾る場所って無限大にあります。今回は、飾り方アイデアや事例を紹介したいと思います。


昨年コロナ禍で「ギャルリーワッツ」をクローズしている間にも、
「心が嬉しくなることを発信したい!何かできることを!」と考え、オンラインで開催した
「元気が出るアートプロジェクト」(2020年4月20日〜6月6日オンライン開催)。
写真は、企画に賛同して参加してくださった作家さん達の作品です。

ギャルリーワッツ「元気が出るアートプロジェクト」

詩野さん発想の転換って大切だと思います。昨年コロナ禍で閉塞感が高まる中、作家とお客様とギャラリーがつながっている状態を継続して、未来につなげていきたいという思いから、ギャルリーワッツでオンライン企画展「元気が出るアートプロジェクト」を開催しました。お客様からは「やっぱりアートって大事」「ハードルが高かったアートにトライ出来た」という嬉しい声を多数いただきました。困難なときだからこそ、アートが心を豊かにしてくれます。


業務用カレースプーンで構築されたスツール作品。
スツールそれ自体がアートなので、部屋にポンと置くだけで雰囲気を変えてくれます。
詩野さんは、お気に入りの美術書数冊を載せてリビングに飾っています。

トイレは美術館!? コミュニケーションの場


トイレだって、アートを飾る立派な場所です。
ギャルリーワッツのトイレは、輪・赤・木など、質感やモチーフを合わせて作品を構成。
洗面ボウルの中に魚の彫刻、鏡の上下には山田一成さんのワイヤーアートの鳥と鹿が
お話するように向かい合って飾っています(写真右)。

——たとえばリビングや寝室の壁面にアートを飾りたいと思っていても、どんな作品が自分のマンションのインテリアに合うのか、どうしていいのかわからないことがあります。比較的飾りやすい場所ってありますか?

詩野さん「トイレは美術館」だとワッツでもよく言うのですが、まず小さな空間であるトイレにお気に入りの作品を飾ることから始めても良いと思います。「作家の作品をトイレに飾るなんて」という方もいそうですが、いつも目にする場所にお気に入りの作品が飾ってあれば嬉しいですよね。


「壁をイエローに塗った我が家のトイレ。壁に掛けたエッチング作品が引き立ちます。
物入れの天板は、小さなギャラリースペースとして、
彫刻家の茅木日出男さんの小品や画集を飾っています」

詩野さん私が小さい頃、実家のトイレには、世界各国で集めた動物を象ったミニチュア作品がいくつも飾ってありました。小さくて可愛いせいか、時々家族の誰かがその並べ方を変えるんです。あるときは、動物同士が向き合って会話する様子に並んでいたり、次は、全部がサークル状に並べられていたり(笑)。なんとなく家族のコミュニケーションツールになっていました。

以前の記事で、子どもの目線や動線でアートを飾ると、遊びに来た子ども達が、玄関に飾った作品に触れたり見たりして、ある種のコミュニケーションツールとなっているというお話がありました。玄関同様、人の目に触れて・見て・感じる、身近な場所にあるからこそ、コミュニケーションが生まれてくるのでしょうね。

額装ナシ、ガラスケース、影を楽しむ


大型のドローイング作品は、あえて額装せず
そのままリビングの壁に立てかけて飾っています。
大型液晶テレビがリビングの主役になっているお部屋も多いでしょうが、
アートをリビングの主役に置き換えてみるのも発想転換です。

詩野さん平面作品をちゃんと額装して飾るのも素敵ですが、額装ナシでそのまま壁や棚に立てかけるだけでも、ラフな魅力があります。アートも、ずっと同じ作品を飾っておくのではなく、時々は衣替えのように作品を取り替えると、空間の雰囲気が変わりますよ。


ドライフラワーになった紫陽花は、
詩野さんとお母様が一緒に過ごした時間を表す大切なもの。
大きなアンティークのガラス容器に、思い出ごと閉じ込めるように飾っています。
「アート同様にかけがえのない思い出の品も、心を豊かにする存在。
お子さんが拾ってきた小石や枯葉だって、
こんな風にガラス瓶に入れて飾ってアートとして見せることができます」と詩野さん。

壁に釘止めしたワイヤーオブジェ(写真左)は、山田一成さんの作品。
作品の影がうまく出るように照明を工夫するとさらに楽しい。
壁面がなければ、天井から吊して、空間を立体的に活用する方法もあります。
作品は、家族のホロスコープが入ったオブジェ(写真右)。

詩野さん必ずしもピクチャーレールのある壁面だけが、アートを飾る場所ではありません。壁面がないからといって、生活にアートを取り入れることをあきらめないでほしいですね。


「息子が作ったワイヤー人形(写真左)と、彼が拾ってきた鉄屑(写真右)。
壁面に面白い影を落とすように飾りました。釘やピンで止めるだけですが動きがでます」
ワイヤー人間が空中にかけたハシゴに飛び乗っているようにも見えて楽しい!

アート好きな仲間のご自宅拝見


詩野さんのお友達の自宅。
お客様を迎え入れる玄関の一角が、アートを飾るコーナーとなっています。

詩野さんお友達のご自宅の事例も少しご紹介しますね。
玄関の壁に取り付けて、開いた画集を飾っているのは、Chikuniさんの人気作「book on the wall」です。本や画集のお気に入りのページを開いて、アートに見立てて飾ることができます。


写真のようにテーマを決めてコーディネートすれば、そこはもう小さなギャラリー。
テーマによって、玄関の雰囲気が一新します。

こちらは詩野さんのお宅にある、スウェーデンの作家の本掛け(写真下)。
お気に入りの装幀やデザインの雑誌・本をアートに見立てて吊しています。
こうして、本をアートに見立てる飾り方っていいですね!

アーティストのマツバラリエさんのマンション。
玄関から部屋へ続く廊下の壁面に、さまざまな絵や額が飾ってあり、
額もアートのように感じられます。廊下を歩くのが楽しい飾り方です。

詩野さん訪れる人にとって、玄関はその家の顔。お気に入りのアートを飾って、お客様をおもてなしするのも素敵です。ステイホームのいまだからこそ、アートを身近に豊かな感性を育んでほしいですね。

▼お気に入りの作家のアートをリビングに飾っている事例
20年間住み続けた賃貸物件から引越しを決意した、根津のマンションライフとは?


お話を伺っていると、早速お部屋にアートを飾りたくなってきました。最近の新築マンションのモデルルームにも、インテリア提案と共にアート作品がコーディネートされています。マンションのお部屋にアートを飾る参考になるはずです。MAJOR7サイトで検索して、モデルルーム巡りをしてみてはいかがでしょう?

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山本詩野(ギャルリーワッツ)

彫刻や絵画などのアートを初め、陶芸、衣、ジュエリーなどジャンルを問わず、国内外の個性的な作家の企画展を開催する南青山のギャラリー「ギャルリーワッツ」スタッフ。「ギャルリーワッツ」は、「こだわりを持って日々を過ごそう」という思いをコンセプトに、作品や作家との出会いの場を創造する。作品は購入可能で、ギャラリーや「WA2 ONLINE STORE」で入手できる。「マグカル・ドット・ネット」にて、「kanagawaギャラリーさんぽ」を連載中。
ギャルリーワッツ
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記事監修:ギャルリーワッツ

取材内容は2021年8月4日現在のもので変更になる可能性があります

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