WIC、キッチン、洗面所…。“整理収納お悩みベスト3空間”のあの問題を一挙解決!

MAJOR'S Column

2019年4月24日

春から新生活を迎える方も多いと思います。まだ片付いていない!という方に向けて、整理収納相談で最も多い場所に関するアドバイスを、整理収納アドバイザー・望月由貴子さんに伺いました。

必要な量の見定めと行動動線を基本に考える


行動動線で考える合理的なアドバイスが人気!
整理収納アドバイザー望月由貴子さん。

——春の新生活で、よくある整理収納相談は何でしょうか?

望月さん引っ越し前だと、「いまある荷物が、すべて入りますか?」というご相談ですね。とりあえず新居に持っていってから整理しようと考える人もいますが、「あとで大変ですし、費用の面からも引っ越し前にモノを減らしましょう」とアドバイスしています。

——しかし、いまあるモノを減らすのは大変ですよね?

望月さんもし引っ越し前に選別する時間がなければ、極端な例ですがトランクルームなどの有料サービスを利用して、当座必要なモノだけを新居に持っていくのもひとつの方法ですね。利用料がかかるだけに、本当に必要なモノかどうかを真剣に考えるはずです。


フィンランド映画『365日のシンプルライフ』。©Unikino 2013
主人公の若者が失恋をきっかけに、自分の持ちものすべてを倉庫に預けて人生をリセット。
毎日1個だけ倉庫からモノを取りだしていいというルールで暮らしながら、
自分にとって本当に大切なものは何か?を見つめ直します。

望月さんなかなかモノを減らせないという方は、映画『365日のシンプルライフ』を見ると衝撃的かもしれません。整理収納意欲が湧いてくる映画ですよ。

——お片づけのイメトレですね! 整理収納の相談で多いものは何でしょう?

望月さんご相談で多いのは、ウォークインクローゼット、キッチン、洗面所の整理収納方法です。これらは、ご家族の行動動線(※)に合わせて必要なモノを必要な場所に収納することを基本に考えます。間取りに合わせてシミュレーションしていただくのが一番ですね。
※行動動線とは、人が自然に行動する経路のこと。以前の記事で詳しくご紹介しています。

お悩み1位ウォークインクローゼットは使用頻度で位置決め


L字型の場合は、ちょうど角の部分がデッドスペースになりがち。

——収納しやすいウォークインクローゼット(以下WIC)に、悩みが多いとは意外ですね。

望月さんWICには、I型、Ⅱ型、L型、コの字型などの種類がありますので、その形に合わせて整理収納を考える必要があります。たとえば我が家はL字型のWICですが、ちょうど角にあたる場所がデッドスペースになりがちです。そのため、角部分のハンガーには使用頻度の低い衣類、下にはワインボックスなどの頻繁に出し入れしないモノを収納しています。


WICの収納ルールの基本。
あとはWICの形に合わせて、使い勝手やデッドスペースの活用方法を考えます。

望月さんどの形のWICでも、基本は上段・中段のハンガーラック・下段の組み合わせだと思います。その中で行動動線を考えてみてください。出入口から入って手前にはいつも使う服や小物、奥や上段にはオフシーズンの衣類や使用頻度の低いモノを収納するというルールを用いると使いやすくなるはずです。


ストライプの袋は100円均一ショップで買った手提げ袋。
とりあえず使ってみたい場所で、トライアルとして活用します。

望月さんWICに限らず、すぐに収納用品を購入してしまう方が多いようですが、まず収納用品がそこに本当に必要かどうか、見きわめてから購入するといいですね。写真のような100円の手提げ袋やブランドのショッピング袋、バンカーズボックスのような書類箱で簡単に収納してみて、使いにくくなければ、長く使える収納用品を購入することをおすすめします。我が家では結婚した時に買った収納ケース(Fits)を25年経っても壊れずに使っています。

お悩み2位 キッチンは行動動線とライフスタイルが鍵


キッチン収納のルール。
火(コンロ)の下には火で使うモノ、水(シンク)の下には水廻りで使うモノ。

——キッチン収納は、悩みの多そうな場所ですね。

望月さん「どこに何を入れていいのかわからない」というご相談者様も多いですね。
基本は、火(コンロ)の下にはフライパンや鍋、水(シンク)の下には水廻りで使うボウルや水きり網、そして軽いモノは上・重いモノは下というルールで考えてください。


システムキッチンの収納ルールの基本。

——食器をどう整理するかでも悩みますよね?

望月さんカトラリーやふだん使いの食器は、キッチンの入口近くに収納すれば、調理作業を邪魔することなく、家族に配膳を手伝ってもらいやすくなります。
また、人を招くことが多い家庭なら、カウンターキッチンの下やリビングに、パーティ用のカトラリーや食器を収納しておけば、みんなに手伝ってもらえます。どういうライフスタイルをしたいのかイメージして、その行動動線に合わせて収納を考えてくとよいですね。


望月さんが夫と2人で組み立てたカウンターキッチン下の収納家具。
所要時間155分・費用約5,000円で完成

望月さん我が家では最近、カウンターキッチンの下に組み立て収納家具を設置しました。作り付け家具のオーダーよりもかなり安価で済みましたし、必要なくなったらまた取り除いたり置き換えることができます。ここに、ふだん使いや来客用の食器類を収納してもいいですね。

お悩み3位 洗面所は、使うモノだけを厳選収納


タオル、洗剤、バス用品、コスメなど、こまごましたものを収納する必要がある洗面所。

——次は、お悩み第3位の洗面所の整理収納ですね。

望月さん洗面所はかなり限られたスペースなので、そこで使う最小限のものだけを収納するようにしましょう。たとえばタオルは、家族の嗜好や使い方・選択頻度に応じて、数と種類を厳選します。
また洗面所に、着替え用の下着を置きたいという方もいますから、その場合は必要な数と種類だけを選んで置くといいですね。


洗面所の収納基本ルール。

——洗剤のストックがあふれすぎて困ることがあります。いい解決方法はないでしょうか?

望月さんそれは、ストックを買い過ぎて飽和状態だということですね。その場所に収納できる分量だけを買うようにしましょう。あふれたからといって別の場所にストックを収納すると、買ったことを忘れて、また重複して買い過ぎる悪循環に陥ってしまいます。

——なるほど。WICもキッチンも洗面所も、必要最低限にモノを減らす。そして使うモノ+そこに収納できる分だけのストックを、使う場所に収納するというルールを徹底するべきなんですね。

望月さんそれから防災グッズを収納する場所も、あらかじめ考えていただきたいですね。非常用持ち出し袋は玄関に近く、取り出しやすい場所に置くのがよいでしょう。水などのストックは、定位置を確保。長期保存できる水などは、可能であれば、閉じ込められた時のことを考慮して各部屋に置きたいところです。
ちなみに、日常的に購入できる飲料水も2年程度は保存可能なものがありますので、日常生活で消費しながら備蓄(追加購入)するローリングストック方式をおすすめします。この方式だと備蓄品の一定量と鮮度が保てますし、買い足した時のためにも定位置を決めておきましょう。

5年後、10年後の暮らしを想定して間取りを選ぶ


間取り図に家族の一日の行動動線を書き入れて、
間取りの使い勝手を検討してみるのもひとつの方法。
行動動線は、家族であまり重なり過ぎない方が使いやすい動線です。

——整理収納アドバイザーの視点から、購入検討者の方に向けてマンション選びのアドバイスをいただけますか?

望月さんご夫婦や家族で「どんな暮らしがしたいのか」というイメージを、一緒に考えて紙に書き出していくと、マンション選びが具体的になると思います。
また、間取り図があれば、家族がどんな動きで生活するのか、行動動線を書き入れてみてください。帰宅してから出かけるまでの一日の暮らしを想像していくと、どこに何があれば便利というのが可視化できるはずです。間取り図に行動動線を書き入れてみる作業って、結構楽しいですよ(笑)。

▼家族の行動動線で考える間取りと収納については、以下の記事でもご紹介しています。

——間取りの選び方で注意した方がよい点はありますか?

望月さんいま現在の暮らし方しか考えられないかもしれませんが、5年後、10年後にはどんな暮らしになっているのか想像し、使い道が限定されない間取りを選びたいですね。最近は、リビング・ダイニングと隣接した洋室がパーティーションで区切られていて、フレキシブルに使える間取りが増えています。5年後、10年後の暮らしの変化に応じて自由に変えられる間取りだと、暮らしやすく長く付き合えるマンションになることでしょう。


行動動線でロジックに整理収納や間取りを考えていくと、いろいろな悩みが解決していけそうですね。行動動線は、マンションの間取り選びにも役立ちそうです! ぜひいろいろな間取りで試してみてください。

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整理収納アドバイザー

望月 由貴子さん

川崎市溝の口の整理収納アドバイザー 【うきうきスタイル】  〜毎日たのしく、心地好く〜モノの整理で、自分らしさをみつけよう!

ハウスキーピング協会認定 整理収納アドバイザー、整理収納アドバイザー2級認定講師、住宅収納スペシャリスト。溝の口を拠点に講座や整理収納作業を通じて心地好い暮らしのお手伝いをおこなっている。企業でのフルタイム勤務をしているパラレルワーカー。地域の防災活動「溝の口 減災ガールズ」でも活躍中。

記事協力:望月由貴子

取材内容は2019年4月24日現在のもので変更になる可能性があります

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